境港の医療過誤訴訟:「医師に過失なし」 被告側が逆転勝訴−−高裁支部判決 /鳥取
毎日新聞 2013年08月02日 地方版
長男(当時39歳)が細菌性髄膜炎で死亡したのは境港市内の診療所(廃止)が初診時に見逃したのが原因だとして、同市内の両親が診療所理事長だった男性医師に7440万円の損害賠償を求めた裁判で、広島高裁松江支部(塚本伊平裁判長)は31日、原告勝訴の1審判決を取り消し、被告側の逆転勝訴の判決を言い渡した。原告代理人の高橋真一弁護士は「不当な判決」として上告する意向。
1審の鳥取地裁米子支部は2010年9月、感染症専門家の鑑定結果などから「初診で髄膜炎を疑うべきで、設備の整った医療機関に転送しなかった過失がある」として、医師に5565万円の賠償を命じた。
高裁判決は、別の専門家の鑑定結果から「発熱や頭痛だけで髄膜炎の兆候とは認められない。急性気管支炎などと診断したことは当時の医療水準から不適切だったとは認められない」とし、医師に過失はなかったと結論づけた。
長男は01年12月に高熱や頭痛を訴えて同診療所で医師の診察を受け、座薬や鎮痛剤などを処方され帰宅。翌日、意識不明となり、搬送先の病院で細菌性髄膜炎と診断された。長男は05年1月に転院先の松江市内の病院で死亡した。【小松原弘人】