平和学習:被爆電車内で体験聞く 車内で被爆、在日韓国人が証言 /広島
毎日新聞 2013年08月05日 地方版
原爆投下後も現役で走る広島電鉄の「被爆電車」に乗って被爆者の話を聞く平和学習が4日、広島市内であった。13歳の時、弟、妹と路面電車に乗っていて被爆した在日韓国人、朴南珠(パクナムジュ)さん(80)=西区=が、「人間の命は尊いというが、原爆で亡くなった命は残酷だった」と原爆の恐ろしさを語った。
被爆電車での平和学習は毎年、広島平和教育研究所などが広島電鉄の協力で開いている。親子連れなど約70人が参加し、市電の中で約1時間話を聞いた。
朴さんは、頭や体に電車のガラス片が刺さるなど大けがをした。ひどい傷を負った友達に、配給のキュウリなどをすりつぶして塗り手当したが、多くが亡くなった。「死ぬのを見るのが本当に嫌だった」と振り返り、「当時は正義の戦争だと教わったが、勝っても負けても殺し合いになる戦争は絶対に駄目だ」と力を込めた。
帰省中の29歳の息子と参加した安芸区の主婦、那須美恵さん(53)は「直接聞く朴さんの話は聞きしに勝る迫力だった。経験を語り得る方が少なくなった今、話を聞けてよかった」と話した。【加藤結花】