【コラム】「B級スピーカー」呉善花とその一味の取り扱い方

入国禁止知りながら訪韓の呉善花氏、「反韓商人」演出?
韓国人の神経逆なでする嫌韓論、日本の主なメディアでは専門家扱いされず
騒がせておいてもよし…対応の必要も価値もなし

 韓国を誹謗(ひぼう)中傷することで悪名高い韓国系日本人の呉善花氏(56)が韓国入国を拒否されると、この措置に多くの人々が拍手を送った。記者自身も小気味よさを感じた。どれだけひどく母国をけなしてきた人物であることか。韓国人にあれほど嫌な思いをさせてきたのだから、これくらいの不利益は受けて当然だというのが普通の国民感情だろう。やりたい放題やってきた日本の極右派に韓国人の怒りを見せてやるべきだという思いもある。

 しかし、よくよく考えてみると、それは違うかもしれないという気がしてきた。もしかしたらこれは呉善花氏が「企画した入国」ではなかっただろうか。同氏は6年前にも済州島に来て入国拒否されている。自分が韓国法務部(省に相当)の入国禁止リストに載っていることは同氏も知っているはずだが、それを知りながら意図的に入国拒否という場面を演出しようとしたのではないだろうか。事実、産経新聞はこのニュースを1面トップ記事として掲載、「(韓国には)人権がない」と報道した。「反韓商売」で食っている呉善花氏としては今回も一仕事したというわけだ。

 記者が呉善花氏の著作物に初めて触れたのは1990年代末に記者が東京特派員をしていたころのことだった。その時の同氏は今ほど話題になるような人物ではなかった。基本的には「韓国批判、日本称賛」という見解ではあったが、それなりに取材・調査して書いているという印象も受けた。しかし、しばらく後で同氏はその言葉通り「日本信徒」になったことを告白、嫌韓論の筆鋒(ひっぽう)をさらに鋭くしていった。

 2000年代以降、同氏が年に1・2冊のペースで出した本は題名を見ただけでも大体の内容が分かるようなものだった。『韓国併合への道』『「反日韓国」に未来はない』『「反日・親北」韓国の暴走』『韓国 倫理崩壊』『やっかいな隣人韓国の正体 なぜ「反日」なのに、日本に憧れるのか』(共著)…。同氏は「日本帝国主義による植民統治は韓国のためになった」「従軍慰安婦の強制連行は不可能だった」という極右派の歴史歪曲(わいきょく)を拡散した。ハングルしか使わないから韓国人はノーベル賞を取れないなどという詭弁(きべん)も展開した。自分が体験したごく部分的な印象をもって、それが韓国の全体像であるかのように歪曲するやり方だ。

 極右の論客は日本に大勢いるが、同氏ならではの「競争力」は韓国人だという点だった。韓国人でありながら韓国の欠点をあげつらい日本を称賛するのだから、日本人の胸にスッと入ったのだろう。極右の人々は同氏の「商品性」を見抜き、一生懸命あおって「スピーカー」として利用した。

 同氏は当時、日本国籍を取得した後だった。後になって分かったことだが、同氏は1990年代の初めに日本国籍を取得して日本人になっていた。それにもかかわらず、国籍取得を隠したまま韓国人を装った。日本人になった以上、名前も「ゴ・ゼンカ(呉善花の日本語読み)」と表記するのが正しいはずだが、「オ・ソンファ」という韓国名にこだわった。MBCの時事番組『PD手帳』がその経歴を暴いたことから、同氏は2006年になって日本国籍取得を事実と認めた。

朴正薫(パク・チョンフン)副局長・企画エディター
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