特許紛争:米政府、サムスン製品の輸入禁止に踏み切るか

 オバマ政権が米国際貿易委員会(ITC)の決定に拒否権を発動したことは、サムスンとアップルの今後の特許紛争にも直接・間接の影響を与えるとみられている。それぞれの訴訟で対象案件は異なるが、オバマ大統領が自国産業の保護という確固たる意思を示した以上、影響は避けられないとの見方だ。

 当面はサムスンがアップルの特許を侵害したか否かについて、ITCが9日(現地時間)に下す最終判断が関心事だ。オバマ政権の先ごろの拒否権発動は、サムスンがアップルをITCに提訴した事件に関するものだったが、9日の決定は反対にアップルがサムスンを提訴した事件に関するものだ。

 今のところ、ITCがサムスン製品に対するアップルの特許侵害を認め、米国への輸入禁止を決定する可能性が高い。ITCが今年3月、今回の案件に関連し、サムスンがアップルの特許4件を侵害したという仮決定を下しているからだ。

 仮に最終決定でITCが特許侵害を認めた場合、オバマ大統領は60日以内にサムスン製品の輸入を禁止するか否かを決定しなければならない。自国企業保護という批判を意識し、オバマ大統領がサムスン製品に対しても拒否権を発動することは可能だ。しかし、アップルが侵害したサムスンの特許は標準特許なのに対し、アップルがサムスンに侵害されたと主張する特許はデザイン、商用特許であり、オバマ大統領がサムスン製品には拒否権を発動しないとの見方もある。

 サムスンとアップルは、ITCでの訴訟のほか、世界9カ国で約30件の特許訴訟を展開している。米カリフォルニア州連邦地裁では、アップルとサムスンが相互に提訴している。2011年4月にアップルが特許侵害でサムスンを提訴すると、サムスンもアップルを提訴した状況だ。一審はサムスンがアップルの特許を侵害したという主張だけが認められた。双方とも控訴しており、現在控訴審の手続きに関する検討が裁判所で進んでいる。

 日本でも両社による訴訟が進んでいる。6月21日に東京地裁で下された一審判決で、サムスンはアップルに敗訴した。東京地裁は「サムスン電子がスマートフォン(高機能携帯電話)のタッチ操作に関するアップルの特許を侵害した」として、サムスンに損害賠償を命じた。

 しかし、5日後に別の特許をめぐる裁判で、日本の知的財産高等裁判所は、サムスンがアップルの特許を侵害してはいないとの判決を下した。今回の訴訟では、コンピューターのファイルなどをモバイル機器にダウンロードする技術をサムスンが侵害したかどうかが争われた。同高裁は「サムスン電子が採用した方式はアップルの技術には該当しない」と指摘した。

チェ・ミンギ記者
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