8月5日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドルが対円で続落、緩和策の縮小観測で-NZドル下落
5日のニューヨーク外国為替市場ではドルが対円で続落。投資家は米金融当局が緩和策を縮小させる時期を見極めようとしている。
先週発表された7月の米雇用統計で雇用者の増加幅が市場予想を下回ったことがドル売り材料。この日の円は上昇。日本株が下げ、安全資産としての円の需要が高まった。英ポンドは上昇。英国では7月のサービス業活動がエコノミスト予想を上回るペースで拡大した。ニュージーランド(NZ)・ドルは下落。中国がニュージーランドのフォンテラ・コーポラティブ・グループから粉ミルクの輸入を停止したことが影響した。
ゲイン・キャピタル・グループ(ニューヨーク)のシニア為替ストラテジスト、エリック・ビロリア氏は「雇用統計は最良の内容ではなかった。さらに米当局はいつ緩和策を縮小するのか、その見通しをまったく示していない」と述べた。「今週は日本銀行が金融政策会合を開く。日銀が近く何らかの措置を講じるとは考えていない。従ってそれも一連のクロス円(ドル以外の通貨の対円相場)での根固めの理由としてあり得る」と続けた。
ニューヨーク時間午後2時29分現在、ドルは対円で0.5%下げて1ドル=98円48銭。ドルは対ユーロで0.1%上昇して1ユーロ=1.3260ドル。円は対ユーロで0.6%上昇して1ユーロ=130円58銭。
◎米国株:反落、地区連銀総裁の発言とサービス業指数で緩和縮小観測
米株式相場は前週末に付けた最高値から反落。サービス業活動を示す指標が予想より強かったほか、地区連銀総裁の発言を受けて、金融当局の債券購入縮小が近いとの見方が強まった。
ニューヨーク時間午後4時過ぎの暫定値では、S&P500種 株価指数は前営業日比0.2%安の1707.14で終了。ダウ工業株30種平均は46.23ドル(0.3%)安の15612.13ドルで終えた。
グリーンウッド・キャピタル・アソシエーツのウォルター・トッド最高投資責任者(CIO)は「何よりも市場参加者は一服しており、非常に積極的な上げ相場の後の小休止だ」と話した。
◎米国債:下落、サービス業景況拡大が予想上回る-緩和縮小の観測
米国債相場は下落。米サービス業の景況が予想以上に拡大したことが景気回復の新たな兆候と受け止められ、年内に金融当局による債券購入の縮小が始まるとの見方が広がった。
週間ベースでみると、米国債は過去2週間を軟調 に推移。7月の米雇用統計では雇用者数の伸びが予想を下回ったものの、債券購入の縮小を可能にするほど十分なペースで景気は拡大しているとの見方が背景にあった。失業率は2008年以来の水準に低下した。ダラス連銀のフィッシャー総裁はこの日、資産購入プログラムの縮小に近づいていると発言。米財務省は今週、3年債と10年債、30年債の入札(合計720億ドル)を予定している。
ソシエテ・ジェネラルのトレーダー、ショーン・マーフィー氏(ニューヨーク在勤)は「プラスのデータが続いている」と語る。「9月縮小観測が消えていないのは失業率が低下したからだ」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後4時59分現在、10年債利回り は前営業日比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.63%。同年債(表面利回り1.75%、償還2023年5月)価格は10/32下げて92 14/32。
ブルームバーグ米国債指数によると、年初来の米国債リターンは2.6%のマイナス。2012年通年では2%のプラスだった。
「非常に強いデータ」米供給管理協会(ISM)が発表した7月の非製造業景況指数は56と、前月の52.2から上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は53.1だった。
ジェフリーズの政府債エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏(ニューヨーク在勤)は「非常に強いデータだ」と指摘。「ISM統計は景気全般が好調だと示唆した。今週は入札がある。おそらくは今の水準から少し利回りが上昇する方向になるだろう」と述べた。
米財務省は6日に3年債(320億ドル)、7日に10年債(240億ドル)、8日に30年債(160億ドル)の入札を予定している。
三菱UFJ証券USAのシニア米国債トレーダー、トーマス・ロス氏は「とにかく供給がすべてだ」と語る。「投資家はこれを買いの好機ととらえるだろうか。それとも金利が上昇に向かうと懸念するだろうか」と問いかけた。
ダラス連銀のフィッシャー総裁は、米金融当局が月間850億ドルの債券購入を縮小させる時期は近づいていると指摘し、緩和策に依存しないよう投資家に呼び掛けた。今年の米連邦公開市場委員会(FOMC)で議決権を持たない同総裁は、量的緩和に批判的な立場で知られる。
プット依存を警告フィッシャー総裁はオレゴン州ポートランドで講演し、相場が下落すれば信用が緩和されるという「米当局の『プット(売る権利)』と一部で呼ばれる考え方に金融市場は慣れ過ぎた可能性がある」と指摘。「当局が無制限に相場を支え続けると期待するようになった向きもある。これは金融資産の価格をゆがめ、深刻な資本の誤配分を招く恐れがある」と続けた。
ブルームバーグのデータによると、5年債と10年債のスプレッド(利回り差)は1.24ポイント。米国より高い格付けを付与されているソブリン債よりも幅が広くなっており、米経済が他国よりも急速に成長すると債券投資家が見ていることを示唆している。
原題:Treasuries Fall as Report Shows Services Expansion TopsEstimate(抜粋)
◎NY金:5日続落、5月以来最長-ドル堅調で代替投資の買い後退
ニューヨーク金先物相場は5営業日続落。5月以来最長の連続安となった。ドルの堅調を背景に、代替投資としての金買いが後退した。
ドルはこの日、対ユーロで一時0.4%高。金は年初から22%下落、ドルは同期間に対主要10通貨で4.2%上昇している。米金融当局が緩和策のペースを減速するとの見方も、価値保存手段としての金買いを控える要因となった。
ヘラエウス・プレシャス・メタルズ・マネジメント(ニューヨーク)のバイスプレジデント、デービッド・リー氏は電話インタビューで、「対ユーロでのドル上昇が金への売り圧力になっている」と指摘。「米当局による一段の明確さが望まれる中、様子見姿勢も見られる」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前週末比0.6%安の1オンス=1302.40ドルで終了した。
原題:Gold Posts Longest Losing Streak Since May as DollarAdvances(抜粋)
◎NY原油:続落、リビア石油相発言で増産観測が台頭
ニューヨーク原油相場は続落。リビアの増産計画が売りを誘った。またイランのロウハニ新大統領は就任宣誓の演説で、過激主義を退け穏健なアプローチをとると公約した。
リビアのアルシ石油相は首都トリポリで、月間産油量を現行の日量70万バレルから9月には80万バレルに引き上げるだろうと述べた。別のリビア当局者によると、マルサブレガ港は操業を再開した。ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)は先週、リビアからの輸出減少を材料に2.1%値上がりしていた。イランのロウハニ大統領は前日、石油輸出の解禁を欧米諸国に訴えた。
エネルギー関連の商品に重点を置くヘッジファンド、アゲイン・キャピタル(ニューヨーク)のパートナー、ジョン・キルダフ氏は「リビア石油相による増産発言が伝わるとすぐ、相場は1ドル下げた」と指摘。「先週の上昇を支えてきたリビア輸出への懸念がこれで和らいだ」と続けた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前営業日比38セント(0.36%)安の1バレル=106.56ドルで終了。一時は1.24ドル下げる場面もあった。
原題:WTI Crude Falls for Second Day on Libyan Plans for OutputBoost(抜粋)
◎欧州株:年初来最長の6日続伸、サービス業指標で-ロイズに買い
5日の欧州株式相場は上昇。指標のストックス欧州600指数は年初来最長の6営業日続伸となった。英銀HSBCホールディングの利益が予想を下回ったものの、ユーロ圏のサービス業経済活動の縮小ペースが当初見積もりから鈍化したことが好感された。
英銀ロイズ・バンキング・グループは2.7%高。同行が利益の最大70%を配当に充てると、フィナンシャル・タイムズ(FT)が報じたことが手掛かり。英旅行会社トーマス・クックとイタリアのメディア大手メディアセット、英発電会社ドラックス・グループは大幅高。いずれもアナリストらによる投資判断引き上げが買い材料。一方、英銀HSBCは1年8カ月ぶりの大幅安。
ストックス欧州600指数 は前週末比0.2%高の304.74で終了。一時は0.6%高となった。先週は1.8%上げた。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が政策金利は長期にわたり低水準にとどまるとあらためて表明したことが相場の支えになった。
ロイヤル・ロンドン・アセット・マネジメントで欧州株の責任者を務めるアンドレア・ウィリアムズ氏は「経済データがようやく改善しつつある」とし、「米国発のデータは引き続き強く、欧州の中核国もまあまあ。バリュエーション(株価評価)はまだ支援材料だ」と語った。
ブルームバーグがまとめたデータによると、ストックス欧州600指数 の株価収益率(PER、予想収益ベース)は13.9倍と、2009年12月以来の高水準。
5日の西欧市場では17カ国中11カ国で主要株価指数が上昇。仏CAC40指数は0.1%上昇。独DAX指数は0.1%下げ、英FTSE100指数は0.4%安となった。アイスランド市場は祝日のため休場だった。
英マークイット・エコノミクスがこの日発表した7月のユーロ圏サービス業景気指数(改定値)は49.8と、6月の48.3から上昇。先月24日発表の速報値49.6から上方修正された。同指数は50が活動拡大・縮小の分かれ目。英国では7月のサービス業活動がエコノミスト予想を上回るペースで拡大し、6年余りで最速となった。
原題:European Stocks Rise for Sixth Day inLongest Streak This Year(抜粋)
◎欧州債:ドイツ債下落、サービス業指標で需要後退-英国債も下げる
5日の欧州債市場ではドイツ国債が下落、10年債 利回りは1カ月ぶり高水準に接近した。7月の米非製造業景況指数がエコノミスト予想を上回る伸びとなり、比較的安全とされる資産を求める動きが後退した。
フランスとベルギーの国債も下げた。ユーロ圏サービス業の7月の経済活動の縮小ペースが鈍化し、域内経済が過去最長のリセッション(景気後退)から脱却しつつある兆候が強まった。スペイン国債も下げ、利回り は6週間ぶり低水準から上昇。オランダとフランスはこの日、証券入札を実施した。
INGグループのシニア金利ストラテジスト、アレッサンドロ・ジアンサンティ氏(アムステルダム在勤)は「米サービス業のデータは非常に印象深い」と述べ、「米経済指標に見受けられたプラスのトレンドを裏付ける内容だった。ドイツなど中核国の国債利回り上昇につながるだろう」と語った。
ロンドン時間午後5時2分現在、ドイツ10年債利回りは前週末比4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の1.69%。2日には1.73%と、7月5日以来の高水準に達した。同国債(表面利率1.5%、2023年5月償還)価格はこの日、0.32下げ98.32。
米供給管理協会(ISM)が発表した7月のISM非製造業総合景況指数は56と、前月の52.2から上昇した。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は53.1だった。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。
英マークイット・エコノミクス発表の7月のユーロ圏サービス業景気指数(改定値)は49.8と、6月の48.3から上昇。先月24日発表の速報値49.6から上方修正された。
スペイン10年債利回りは3bp上昇の4.59%。6月19日以来の低水準となる4.54%まで下げる場面もあった。
英国債相場は下落。7月の英サービス業活動が6年余りで最速のペースで拡大し、安全資産を求める動きが後退した。45億ポンド相当の入札を翌日に控えた5年債は5営業日続落となった。
英10年債利回りは前週末比5bp上昇し2.47%。2日には2.49%と、先月9日以来の高水準を付けた。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格はこの日、0.385下げて94.135。5年債利回りは6bp上昇の1.38%。
原題:German Bonds Fall With France’s as U.S.Report Damps Safety Bid(抜粋)Pound Strengthens as U.K. Services BeatEstimates; Gilts Decline(抜粋)
更新日時: 2013/08/06 06:44 JST