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ジャッキー、まだまだやれるよ!,
2013/7/28
レビュー対象商品: ライジング・ドラゴン 特別版(2枚組) [Blu-ray] (Blu-ray)
60歳を前にして、ジャッキー・チェンの最後のアクション映画とのことです。大スターになった今も、出来る
だけ自分自身でアクションをこなす彼は長年の仕事で身体はボロボロだ。そのせいだろうか、近年の作品ではアク
ションは控えめで、師匠のような役柄が多かった気がします。だが監督・製作・脚本・主演を兼ねた本作は本気度
マックス、スケール倍増、完全に“復活”しています。まだまだ、やれるんじゃないかと思いますよ、ホントに。
予告編にあった、全身に装着したローラーブレードでカーチェイスを繰り広げる映像から、期待できそうだとは
思っていましたが、あれが序の口でしかないのですよ。単純に道路を猛スピードで走るだけでなく、トラックの下
や脇をすり抜け、バイク相手に格闘を繰り広げる。かなり新しいこういうアイテムをあっさり取り込み、これほど
過激に用いてしまうのも驚かされるだが、以降のアクション・シーンの質、量の著しさに、終始圧倒されます。
ただしストーリーは大雑把でご都合主義の連打。話作りはあまり巧くないです。状況の連携がいまひとつ観客側
に伝わらず、しばしば事態がどういうふうに展開しているのか飲み込めなくなる。
また、美術品の贋作という興味深いプロットも極めて雑に扱われています。さらに「これは本来、私のモノ」と
主張する中国の姿は、政治的にあまりに微妙ですよね。まぁ、それはさておき、アクション重視でストーリー軽視
のバランスは、往年の香港映画の愛すべきデタラメさを彷彿とさせてどこか懐かしくもあります(苦笑)。
ライバルのトレジャーハンターと、ソファーから離れずに闘うというとぼけた制約の中でみせるカンフーアクシ
ョンは、ジャッキーらしいコミカルさと身近なものを上手く使う創意工夫に満ちた動きで、見ていて実に楽しい。
ガムの曲芸食いはもちろん、渡り廊下などを利用した立体的なアクションや、トラブルの際に上から美女が落ち
てきてジャッキーを下敷きにするシチュエーションなど、これまでのジャッキー作品を連想させる描写も楽しい。
そして、クライマックスは、なんと燃え盛る火山に向かってスカイダイビングアクションという危険きわまりな
いもの。イヤハヤ、よくぞここまでやってくれたと感心します。
直前にジャッキー自身が宣言し、広告でも大きく掲げられ、お馴染みのNG集つきのエンドロールの背景でジャ
ッキーが自らの声でもって、「これが最後の超大作」である、と言い切っています。
まぁ、自身が出演せずとも、完全にスタイルを受け継ぐ後進が現れたなら、彼らを演出するかたちで大作に携わ
るかも知れない。というか、既に編集段階に入っているという次回作が『ポリス・ストーリー2013』らしく、この
題名で彼が手を抜いたり、軽いアクションで済ませる、という状況は想像しづらいのだけれどね....。
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