原発事故想定、琵琶湖の汚染予測法開発 滋賀県が公表
滋賀県は5日、福島第1原発と同じ規模の原発事故が福井県内で起きた場合に、琵琶湖を含む滋賀県内への影響を予測する手法のモデルを公表した。これによる試算では、放射性物質が県北部の地表や湖面に沈着し、琵琶湖の浅い水域では水中の濃度がゼロに近づくまで1~3カ月を要することが分かった。県は今秋までに精度を高め、地域防災計画の見直しに反映させる。(25面に関連記事)
放射性物質の水中への影響を予測するのは全国で初めて。
予測手法は県琵琶湖環境科学研究センターが開発した。地表などへの沈着量は大気の流れや降水量などの気象データを使って算出し、琵琶湖内の影響は富栄養化を調べるシステムを活用する。
試算では、2011年7月29日の気象条件で美浜原発(福井県美浜町)で事故が起きたと想定。福井県境に近い長浜市北部で放射性セシウムが1平方メートルあたり3千~5千キロベクレルとなる場所があった。国の基準で避難が必要な数値以下といい、県は今後、10~12年度の3年間の気象条件から詳しく予測する。
また、別の日を想定した琵琶湖内や河川への影響の試算では、福島第1原発後の実測値を参考に1平方メートル当たり100キロベクレルのセシウムとヨウ素が降ったと仮定。南湖の水深5メートルまでの層では、事故直後にセシウムが1リットルあたりで最大27ベクレル、ヨウ素は同41・5ベクレルまで上昇した。原発事故時の国の飲用水基準は下回った。北湖より南湖で残留が目立ち、同センターは「南湖は浅く、湖底から巻き上げられるため」とする。
県原子力防災室は「今回の試算は予測手法を確立するため」としており、11月には詳細なシミュレーション結果を公表する予定。
【 2013年08月05日 23時10分 】