生活保護:自治体の門前払い NPOが「水際作戦」公開
毎日新聞 2013年08月05日 23時09分
◇拒否→同行者で受理→取り下げ強要
生活保護の申請段階で自治体が門前払いする「水際作戦」について、当事者らを支援するNPO法人「POSSE」と生活保護問題対策全国会議が5日、東京都内で記者会見し、その実態を明らかにした。
それによると、ホームレス状態だった20代男性が6月10日、東京都大田区で生活保護を申請しようとしたところ、「実家に帰れ」と言われ受け付けてもらえなかった。数時間後に男性がPOSSEのスタッフと改めて訪れると、区は「本人が申請の意思を示さなかった」と釈明し、一転して申請を受理したという。
ところが、残る事務手続きのため翌日1人で訪れた男性に、区は簡易宿泊所に入居することが受給の要件であるかのように説明。適応障害を理由に拒む男性に対し、「うちは無理です」と、申請の取り下げを事実上強要したという。
結局、男性は申請を取り下げ1週間後、転居先の千葉市で生活保護を受けられることになったが、「大田区は生活保護を受けさせたくない意図が見え見えだ」と憤る。
POSSEなどは会見に先立ち、区に一連の対応を質す公開質問状を提出。区担当者は毎日新聞の取材に「状況を確認中だが、一般的に同行者の有無で対応は変わらない」と話した。【遠藤拓】