【個別銘柄】ツムラやミツミが急落、都民銀は急伸、コスモ石も大幅高
8月5日(ブルームバーグ):きょうの日本株市場で、株価変動材料があった銘柄の終値は以下の通り。
ツムラ (4540):前週末比6.6%安の2683円。4-6月期の連結営業利益は前年同期比11%減の54億円だった、と2日発表した。これを受け、野村証券では同日付で投資判断を「中立」から「ウェート下げ」に引き下げた。新規医師の獲得数が減少し、市場構造として医療用漢方の伸びしろが限られてきている可能性がある、と指摘。円安による生薬価格高騰影響が拡大し、収益性は今後さらに悪化しよう、との見方を示した。
ミツミ電機 (6767):5.9%安の729円。4-6月期の連結営業損失は27億円と、前年同期の33億円からは縮小したが、赤字は継続。機構部品でスマートフォン関連製品が伸びた半面、アミューズメント関連は低調、半導体デバイスも減った。野村証券ではモバイル機器向けVCM(ボイスコイルモーター)の受注増予想などを踏まえ、投資判断「中立」を継続したが、ゲーム関連で流通在庫が残っている点を見ると、計画に対する業績のダウンサイドリスクは依然残るとした。
東京都民銀行 (8339)と八千代銀行 (8409):都民銀が6.1%高の1190円、八千代銀が9.2%高の3155円。東京都に地盤を置く両行は経営統合に向けた交渉に入った、と5日付の日本経済新聞朝刊が報じた。共同持ち株会社を設立して傘下に両行が入る案を検討しており、2014年秋の統合を目指すという。実現すれば預金量は4兆4000億円となり、首都圏の地銀・第二地銀では上位グループに入るとしており、経営基盤の強化などを期待した買いが膨らんだ。
コスモ石油 (5007):7.1%高の197円。SMBC日興証券が2日付で、投資判断を「中立」から「アウトパフォーム」に、目標株価を210円から300円に引き上げた。主力の千葉製油所の全面再稼働により、14年3月期の営業利益予想を627億円から956億円(会社計画640億円)、来期を802億円から989億円に増額修正した。坂出製油所の閉鎖も決定し、構造的な固定費削減が進む見通し、と指摘している。
カシオ計算機 (6952):5%高の972円。4-6月期の連結営業利益は前年同期比9.8%増の40億円だった、と2日に発表した。時計の収益性改善により、コンシューマ事業が好調だった。クレディ・スイス証券では、時計の成長、赤字事業の改善で、業績に安心感がある、とリポートに記述した。
日立造船 (7004):5.7%安の149円。4-6月期の連結営業損失は46億円(前年同期は4億6700万円の赤字)だった、と2日に発表した。機械部門で舶用原動機などが低調に推移したほか、環境・プラント部門では環境大口工事の売り上げ減少が響いた。14年3月期の連結営業利益予想は前期比14%増の130億円を据え置いた。
三和ホールディングス (5929):5.6%高の601円。三菱UFJモルガン・スタンレー証券が2日付で、投資判断を「中立」から「アウトパフォーム」に、目標株価を640円から700円に引き上げた。重量シャッターなどの国内受注が大幅に増加しており、非住宅分野を中心に国内業績は堅調と指摘。株式市場が住宅着工ピークとその後の反動減を懸念視するなか、非住宅分野へのエクスポージャーが大きい同社が相対的に選好される可能性があるとした。
旭化成 (3407):4%高の706円。2日午後に発表した水島地区エチレンセンター設備の集約について、クレディ・スイス証券は、汎用石油化学事業の競争力低下が懸念されるなか、具体的な集約が発表されたことはポジティブ、と2日付リポートで評価した。同事業の集約とコスト競争力強化が進むことで、ケミカル事業の収益基盤がより安定し、非石化事業の収益拡大による高い成長性が確保されようと、分析した。旭化成と三菱ケミカルホールディングス(4188)は、水島地区エチレンセンターを16年春めどに三菱設備に集約すると発表した。
新東工業 (6339):7.3%安の754円。4-6月期の連結営業利益は前年同期比58%減の2億400万円だった、と2日に発表。欧州で鋳造装置、北米でシェールガス採掘向けサンドコーティング設備が低調だったほか、造船や建機向けの大型表面処理設備の低迷などが響いた。14年3月通期見通しを39億円から35億円に下方修正、前期比では2.3%増益計画が一転、8.2%減益になる見込み。
JUKI (6440):4.5%安の149円。1-6月期の連結営業利益は15億円と、従来計画の17億円から12%下振れたもようと2日に発表。在庫削減のため、生産調整を前倒しで実施したほか、新興国市場向けなどでの低価格商品の販売増、価格競争激化による利益率の低下が響いた。前年同期は6億6300万円の赤字。
プレシジョン・システム・サイエンス (7707):13%高の19万8500円。13年6月期の連結純損益は10億1400万円の黒字と、従来計画の5億6000万円の黒字から利益幅が拡大したもようと2日に発表。前の期は1億8900万円の赤字。投資有価証券売却益が発生したほか、税務上の繰越欠損金等の一時差異の回収可能性を検討した結果、繰延税金資産を計上することに伴い法人税等調整額が発生する。
ダブル・スコープ (6619):4.9%安の423円。1-6月期の連結営業損益が2億9100万円の赤字になったもよう、と2日に発表。従来計画は3200万円の黒字。主力のリチウムイオン2次電池セパレータの販売数量が減少、製造原価の上昇や想定以上の販売単価下落の影響を受ける。
三井倉庫 (9302):4.7%高の510円。14年3月期の連結純利益は前期比58%増の50億円になる見通し、と5日午後1時半に発表した。従来予想は37億円だった。資産の効率的活用、財務体質の改善を図る観点から実施する固定資産の売却益を見込む。
クレハ (4023):3.5%高の353円。4-9月期の連結営業利益は従来予想を12億円上回り、35億円(前年同期比27%減)になる見通し、と2日発表した。クレディ・スイス証券は2日付リポートで、決算の印象や短期的な株価への影響をポジティブ、と評価。通期営業利益計画(90億円)は据え置いたが、中間決算時に上方修正の見通しで、同証予想(105億円)の達成確度が高まった、と指摘した。
ユニチカ (3103):5.8%高の55円。4-9月期の連結純損益は9億円の黒字(前年同期は9億3100万円の赤字)の見通し、と5日午前11時に発表した。従来予想は2億円の黒字だった。高分子事業を中心に販売数量が回復。為替差益や投資有価証券売却益の計上も寄与する。
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更新日時: 2013/08/05 15:28 JST