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日中世調 双方9割超が印象「良くない」
8月5日 16時35分

沖縄県の尖閣諸島を巡る問題などで日本と中国の関係が冷え込むなか、日中共同で行われた世論調査の結果が5日発表され、相手国に対する印象が「良くない」などと回答した人の割合が両国とも9割以上と過去最悪となり、日中双方の国民感情の悪化がより一層深刻な状況になっています。

この世論調査は、日本のNPO法人と中国の政府系の英字紙がことし6月から先月にかけて共同で行ったもので、各年代の日本人1000人、中国人1540人が回答し、5日、都内で結果が発表されました。
それによりますと、相手の国の印象が「良くない」または「どちらかといえば良くない」と答えた人の割合は、日本が去年より6ポイント増えて90%、中国が去年より28ポイント急増して93%と両国とも9割を超え、8年前に調査を始めてから最も悪くなりました。
その理由を複数回答で聞いたところ、尖閣諸島を巡る対立という回答が日本で53%、中国で78%と最も多く、続いて歴史認識の問題が日本で49%、中国は64%となりました。
さらに、「日本と中国の間で軍事紛争が起こると思うか」という質問には、日本では「数年以内に起こると思う」または「将来的には起こると思う」と答えた人が24%、中国では53%に達しました。
その一方で、「日中関係は重要だと思うか」と聞いたところ、日本は「重要である」と「どちらかといえば重要だ」が合わせて74%、中国側は72%と、どちらも7割を超え、多くの人が日中関係の重要性を認識していることもうかがえます。
調査を行ったNPO法人「言論NPO」の工藤泰志代表は、「両国関係は非常に危険な状況だ。これは、政府間の対話不足が原因で両国政府は国民レベルの感情悪化を重大な課題として捉え、対話を始めるべきだ」と話しました。

中国側が北京での公表に難色

今回の結果は日中双方の主催者が北京で公表する予定でしたが、国民感情が予想以上に悪化しているとして中国側が難色を示し、日本側の関係者だけが出席して東京で開かれました。
今後、双方の主催者は、当初、今月北京で開催する予定だった日中の有識者によるシンポジウムを日中平和友好条約の発効から35年となることし10月に開き、日中関係の改善に向けて意見を交わすことにしています。

専門家「あらゆる分野で対話拡大を」

今回の調査結果について中国駐在の大使を務め、日中関係に詳しい宮本雄二さんは、「国民感情がここまで悪化すると、世論が政府の判断を拘束することになるだろう。日中双方の意思疎通は不十分で、あらゆるレベル、あらゆる分野で対話を拡大し、最低限、相手がどうしてそのように考えるかをお互いに理解し合わなければならない」と分析しています。

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