技能の定義
- 技能の定義は、その技能の意図と範囲を全体的に要約したものでなければならない。特別な使い方については、キーパーと相談しなければならない。
- 技能の名前の後ろに示されているカッコに入った数字は、その技能の基本成功率である。
- 一般的に言って、ある技能のレベルが50%だということは、そのキャラクターはその技能でかろうじて生計を立てることができるということである。
- 言いくるめ(5%)
- この技能を使うと、対象をこちらの望んだとおりのことに一時的に賛成させることができる。対象はあまり深く考えずに書類にサインしたり、敷地内を通してくれたり、自動車を貸してくれたり、そのほか理屈に合うことであれば何でも頼まれたことを許してしまう。ただし、対象にちょっと考える時間があって、しかも〈アイデアロール〉に成功した場合には、対象はわれに返る。〈言いくるめ〉の効果が消えてしまうわけである。
- 〈言いくるめ〉を使えば、時間のほんの1分か2分で、疑わしい品物を価値のあるものだと思わせたり、ニセの事実を信用できるものだと思わせたり、ちゃんとした物をつまらない物だと思わせたりすることもできる。それに比べると〈説得〉や〈値切り〉は、結論を出すまでに何時間あるいは何日もかかる場合がある。〈言いくるめ〉は効果を発揮するのも早いが、せいぜい多くても数人の人間に対してしか使うことができない。〈言いくるめ〉はすでに心を決めてしまっている対象には通じない。その場合は代わりに〈説得〉を使えばいい。
- 医学(5%)
- この技能を使う者は、事故、傷、病気、中毒などを診断し、治療することができるし、公衆衛生に関する助言を行うこともできる。時代によってはある病気に対する適切な治療法がない場合もあり、この技能による努力にも限度があったり、不確実であったり、決定的でないような場合もある。この技能ロールに失敗した場合には、もう一度試みる前にある程度の時間が経過する必要だが、別の探索者が試みるのであれば、すぐ次のラウンドで行うことができる。
- 緊急の場合に〈医学〉に成功したの者は、1つの負傷につき1回、1D3ポイントの耐久力をただちに回復させることができる。
- 〈医学〉によって手当を受けている探索者は、最初の週も含め1週間につき2D3ポイントの割合で耐久料を回復していく。
- 緊急の手当を含めると、〈医学〉の技能を適用された場合に第1週目で回復できるのは、合計で3D3ポイントである。
- ノックアウト攻撃の犠牲者となっていた者、あるいはそのほかの理由で意識不明に陥っていた者が〈医学〉の手当を受ければ、ただちに意識を取り戻す。
- 今死んだばかりの探索者が、同じ戦闘ラウンドあるいは次の戦闘ラウンドで耐久力が少なくとも+1ポイントまで上昇した場合には、息を吹き返すことができる。
- キーパーはある病気や症状には治療法がないということにしてもかまわない。〈応急手当〉の項も参照のこと。
- 運転(20%)
- この技能を持つ者は、ロールなしで乗用車あるいは軽トラックの運転ができる。普通の操作ができ、通常の車両の問題(故障など)が起こった場合に解決することができる。しかし、追っ手をまこうとしたり、逆にだれかを追跡しようとする場合には、追う方と追われる方が両方とも〈運転〉のロールを行うことになる。一方が成功して、もう一方が失敗するまで行うのである。もっと複雑なカーチェイスの場合は、選択ルールである”カーチェイスのルール”を参照のこと。危険な運転をする場合には、いつでも〈運転〉のロールが必要になる。
- 大型の自動車や、特殊な車両を運転する際は、〈運転〉や〈重機械操作〉をキーパーの裁量で使うことにしてもよい。
- 1890年代では、この技能は馬車の〈運転〉を表し、同じような効果と危険性を持っている。この場合の馬車は、1頭立ての軽装四輪馬車か二輪馬車、2頭立てあるいは4頭立ての荷馬車か大型四輪馬車などである。この時代のキャラクターであって、自動車の〈運転〉の技能が欲しい者は、まず1%からスタートする。もっとあとの時代の探索者が馬車の〈運転〉の技能が欲しい場合にも、やはり1%から始める。
- 応急手当(30%)
- 意識不明や素誕生対に陥っている仲間の意識を取り戻してやったり、骨折した手足を固定したり、火傷の手当をしたり、おぼれた人間の息を吹き返させたりするための技能である。〈応急手当〉は病気や微妙な体調の不全には効果がない。また、キーパーがロールすることを許したのでないかぎり、毒を盛られた場合にも使うことはできない。〈応急手当〉を施されたあとの探索者の回復率は普通通りに1週間に1D3ポイントずつのままである。病院には行ってちゃんとした〈医学〉の手当を受けると、回復率は1週間に2D3ポイントに上昇する。
- 〈応急手当〉に失敗すると、もう一度試みるのはある程度の時間が経過してからでなければならない(しかも何か別のことをしなければならないだろう)。別の仲間が〈応急手当〉技能を使うのであれば、すぐ次のランドで行うことができる。
- この技能に成功すると、1つの負傷で失った耐久力のうち1D3ポイントをただちに回復させることができる。しただgって、何発もの銃弾をうけた探索者は、傷1つ1つに〈応急手当〉を受けることができる。
- ノックアウト攻撃の犠牲者となっていた者、あるいはそのほかの理由で意識不明に陥っていた者が〈応急手当〉の手当を受ければ、ただちに意識を取り戻す。
- 今死んだばかりの探索者が、同じ戦闘ラウンドあるいは次の戦闘ラウンドで耐久力が少なくとも+1ポイントまで上昇した場合には、息を吹き返すことができる。
探索者がある傷に対して、一度〈応急手当〉を受けて成功した場合、さらにその同じ傷に〈応急手当〉あるいは〈医学〉を施しても効果はない。別の新しい傷に対してなら、また別に手当を受けることができる。この技能を施すためには、1戦闘ラウンドの時間が必要であるが、キーパーの好きなように決めてもかまわない。〈医学〉の項も参照のこと。
- オカルト(5%)
- この技能を使う者は、オカルト関係の小道具とか言葉とか概念に出会えば、それがどういうものであるかわかる。また魔術の本やオカルトの暗号などをみせれば、それがそうであることがわかる。オカルトに詳しい者は秘密の知識を持つ一族のことをよく知っているものだ。そういう一族は、エジプトやシュメール、忠誠やルネッサンス時代の西欧、あるいはアジアやアフリカなどからも秘密の知識を代々伝えてきたのである。
- ある種のオカルト本を理解すれば、オカルトの技能値が上がるかもしれない。〈オカルト〉の技能はクトゥルフ神話の呪文、本、魔術などには適用されないが、グレート・オールド・ワンの崇拝者は普通のオカルトの概念も取り入れている場合が多いので、この技能が役に立つことがあるかもしれない。
- 回避([DEX×2]%)
- 自分への一撃、飛び道具、待ち伏せなどを本能的に避ける技能である。戦闘ラウンドで〈回避〉技能を行使するキャラクターは受け流しも行うことができるが、攻撃を行うことはできない。〈回避〉はほかの技能と同じように、経験によって向上させることができる。何かを〈回避〉しようとすることができるのは、その攻撃が目に見えた場合である。銃弾に対しては、回避を試みることができるのは、1つのランドで自分に向かってく射撃された第1発目だけである。
- 化学(1%)
- 試料のの成分、温度やエネルギーや圧力が試料に与える影響、試料同士の化学反応などを研究する学問である。〈化学〉の技能によって、複雑な化合物を作り出したり、抽出することができるかもしれない。例えば簡単な火薬、毒、ガス、酸などだが、そういうものを作ったり抽出するためには、時間が丸1日程度、そして適切な装置や化学薬品が必要だ。この技能で、未知の物質を分析することもできるかもしれない。その場合にも適切な装置や試薬が必要である。
- 鍵開け(1%)
- この技能の使用者は、鍵を修理したり、鍵を作ったり、合い鍵や先のとがった道具を使って鍵を開けることができる。特別に難しい鍵の場合には、成功率が低くなるかもしれない。〈鍵開け〉の技能によって、車のエンジンをかけたり、図書館の窓をこじ開けたり、寄木細工を開けたりすることもできるし、普通の市販の警報装置のようなものなら通り抜けることができる。しかし、複雑な金庫や金庫室などの特別厳重な警備装置に対しては、この技能ではどうすることもできない。不正なことをこっそりと行うような状況に対処する為には、キーパーは〈鍵開け〉のロールにDEXあるいはPOWのロールを組み合わせるようにするといいだろう。
- 隠す(15%)
- 〈隠れる〉と名前は似ているが、これは物を人に見つからないようにうまく隠す技能であり、〈隠れる〉とは違う。単数あるいは複数の物を、がれき、布、そのほかの視界を隔てる材料で覆ったり、幻影を出すような材料でごまかしたり、秘密のパネルとかニセの小部屋を作ったり、あるいはその物の特徴を隠すためにペンキを塗って見かけをごまかすことも含まれる。
- この技能によって、人間も人にわからないようにできることはできるのだが、ちょっと気をつけて見ればすぐにわかるようなごまかししかできない。物が大きければ大きいほど、〈隠す〉のが飛躍的に難しくなる。象よりも大きい物は、1人の人間が〈隠す〉ことはできない。グループで協力して隠すことはできるかもしれないが…。
- 〈隠れる〉の項も見て、〈隠す〉と比較してみるといい。
- 隠れる(10%)
- 〈隠す〉とは反対に、〈隠れる〉は姿を見つけられても仕方がないような位置にいる者が、見つからないようにする能力である。この技能を使うのは、追跡を逃れる場合、あるいは監視やパトロールの目から逃れる場合だけにすべきである。この技能の使用者は、一時的にその背後に身を潜めるための物、灌木、濃い影などを選ぶ。そういう物は実際に存在する物でなければならない。この技能を使えば、監視されている範囲内であっても、隠れながら移動することができる。移動に成功するには、〈隠れる〉の技能値を半分にしたロールに成功しなければならない。
- 機械修理(20%)
- この技能をもつ探索者は、壊れた機械を修理したり、新しい機械を作ることができるが、初歩的な大工道具や配管仕事を試みることもできる。特別な道具あるいは部品が必要になるだろう。この技能でその時代の家庭にあるような普通の錠なら開けることが可能だが、それ以上の複雑なものは無理だ。それには〈鍵開け〉の技能を使う。〈機械修理〉は〈電気修理〉と組み合わせになっている技能で、自動車や航空機など複雑なものを修理するには、その両方の技能が必要だろう。
- 聞き耳(25%)
- 探索者が音を聞いて、その音の意味を解釈し理解する能力を表す。その中には立ち聞きした会話、閉めたドア越しの聞き取りにくい会話、喫茶店の中でささやかれた言葉なども含まれる。キーパーはこれから起こる遭遇の前兆としてこの技能を使ってもかまわない。あなたの探索者は小枝の折れるあの音で目を覚ましたか?拡大解釈をすれば、〈聞き耳〉の値が高いことは全般的に鋭い知覚を持つということかもしれない。
- キック(25%)
- 股ぐらやあごを直接狙ったキックであれ、空手スタイルの優雅な跳び蹴りであれ、床に寝た形からの両足によるキックであれ、当たれば必ずダメージを与える強力な技能である。〈キック〉は受け流しに使うこともできる技能であり、〈マーシャルアーツ〉によって、効果を高めることも可能だ。また、特殊な状況の場合以外には、〈キック〉にはノック多少持っているとアウトのルールは適用されない。
- クトゥルフ神話(0%)
- 〈クトゥルフ神話〉はほかの技能とは違う。職業上の技能ポイントとしても、個人的な趣味の技能ポイントとしても、〈クトゥルフ神話〉のポイントをほしがる探索者は1人もいないだろう。探索者シートのこの技能の脇にはチェックマークをつけるための四角がない。この技能を使ったからといって、技能値が向上することはないからである。
- 〈クトゥルフ神話〉の技能を獲得するのは、遭遇すると狂気になってしまうようなクトゥルフ神話怪物に遭遇した場合や、宇宙の恐ろしい真の力を目にした場合や、禁断の書物そのほかのクトゥルフ神話の呪文を読んだ場合などである。ときには、何かの儀式を目撃したとか、何かの出来事に参加した場合にも、キーパーは探索者に〈クトゥルフ神話〉のポイントを与えることにするかもしれないが、その点はキーパーにまかされている。
- 〈クトゥルフ神話〉のポイントを多少持っていると役に立つことがあるかもしれない。しかし、探索者はそう多くは欲しがらない。というのは、99から探索者の〈クトゥルフ神話〉ポイントを引いた値が、探索者の最大正気度になるからである。〈クトゥルフ神話〉のポイントが多くなると、その分最大正気度ポイントを減少させてしまい、探索者は精神が傷つきやすくなってしまうのであう。
- 〈クトゥルフ神話〉の技能が役に立つのは、例えば次のような場合である。クトゥルフ神話のモンスターの痕跡あるいはそのほかの証拠を見つけた探索者は、D100でこの技能に成功すれば、その存在が何であるかがわかったり、どんな行動をとるか推論できたり、あるいはその存在が持っているかもしれない物質を推論できる。また、この技能成功することによって、クトゥルフ神話に関する何かの事実を思い出したり、だれかが呪文をかけているのを見てその呪文が何であるかわかったり、ある特定のクトゥルフ神話の本の中にある特定の呪文や情報が載っているはずだということを思い出したりする。あるいは、そのほかの何か仕事を遂行することができる。
- クトゥルフ神話の完全な知識を持つ人間はいない。たとえ〈クトゥルフ神話〉技能値が99%の者でも、完全な知識は持っていない。グレート・オールド・ワン持っていないと言っていいだろう。グレート・オールド・ワンの〈クトゥルフ神話〉の技能値が100%だということは、単に人間に比べて少し高いというだけのことで、クトゥルフ神話の謎を全部知っているということではないのだ。外なる神たちは全部知っているかもしれない。もっとも彼らがそんなことを考えることがあればの話だが…。無限というものに対処できるのは神だけなのである。クトゥルフ神話の非情な暗黒は永遠のかなたへと広がっている。クトゥルフ神話の謎をマスターしたと思ったとすれば、それは一時的なことであり、局部的なことであり、幻想にすぎないのである。
- 組みつき(25%)
- 〈組み付き〉は特殊な素手の技能である。相手を傷つけることなしに相手の自由を奪いたい場合によく使われる。〈組み付き〉の攻撃は、対象による〈組み付き〉あるいはそのほかの技能によって、受け流しされてしまうこともある。ただし、受け流しができるのは攻撃の最初の〈組み付き〉だけである。
- 最初のラウンドに〈組み付き〉の攻撃が成功して、しかも受け流しされなかった場合、攻撃者は対象をつかまえたことになり、そのあとの行動には次のようないくつかのオプションがある。
- 抵抗表によるロールで攻撃者のSTRが対象のSTRに勝つことにより、相手をしっかりと押さえ込んで動けなくする。成功すれば、その状態は攻撃者が次に別のアクションを起こすまで、いつまでも続く。
- 対象を倒す。このオプションを選んだ場合には、自動的に成功する。
- 最初のラウンドあるいはあとのラウンドに、対象をノックアウトする。
- 対象の武器を取り上げる。探索者が2ラウンド続けて〈組み付き〉に成功すれば、最初のラウンドで接近戦攻撃をされないために対象を〈組み付き〉しておいて、次のラウンドで武器を取り上げたり、武器となる腕を押さえつけることができる。
- 対象を肉体的に傷つける。その場合、相手はすでに〈組み付き〉によって押えられている状態でなければならない。その上で、そのラウンド、あるいはあとのラウンドでさらに2回目の〈組み付き〉に成功しなければならない。成功すれば、相手は耐久力から[1D6+攻撃者のダメージ・ボーナス]を失う。その後の各ラウンドで相手に傷を与え続けるには、各ラウンドで再び〈組み付き〉に成功しなければならない。与えるダメージは同じ計算式である。
- 対象の首を締める。首を締めると宣言したラウンドから、対象は、”溺れ、窒息”のルールにしたがって窒息していく。これは次以降のラウンドでも続き、攻撃者はこれ以上〈組み付き〉のロールを行う必要はない。
上に挙げたオプションの最後の2つの〈組み付き〉の場合には、どちらも犠牲者が攻撃者の手から逃れるための方法は抵抗表に従ったSTR対STRの競争に勝つこと以外にはない。攻撃者が2人いる場合は、2人のSTRを合計する。
- 芸術(5%)
- 歌、いずれか1種類の楽器、絵画、料理などの専門分野に分かれている。すなわち文学以外の芸術で、創造的な人間が生涯をかけて修練にはげむような芸術である。この技能に成功すれば、その作品あるいはパフォーマンスは人々に喜ばれ、満足を与える。失敗すれば、音をはずしてしまったり、何の印象も与えられなかったということになる。ラヴクラフトの世界の芸術家達は、伝統的な芸術にたずさわっている者たちばかりだが、キーパーは「芸術」という言葉をもっと広い意味に受け取ってもかまわない。どこからどこまでが〈芸術〉で、どこからが〈制作〉になるのかは、キーパーによって違うだろう
- 探索者シートにはこの技能の中身を書き記すための、空いたスペースがある。単に芸術というのではなく、プレイヤーは芸術の形や方法も指定しなければならない。例えば、オペラ歌手とか油絵描きというぐあいにである。
- 経理(10%)
- この技能によって経理のやり方がわかり、会社あるいは個人の財政的な状態が理解できる。帳簿を調べることにより、不正をしている雇用人を見つけたり、資金が吸い上げられているのを発見したり、ワイロや口止め料を払っている事実を突き止めたり、実際の財政状態が本人の主張よりも悪いか、良いかなどを知ることができる。古い会計書類に目を通すことにより、過去においてのどのように金を儲けてきたか、あるいは失ってきたかがわかる(穀物、奴隷売買、ウイスキー密売など)。また、誰に対して、どんな理由で支払いがされたかもわかる。
- 拳銃(20%)
- ピストルに似たどの火器でも1発ずつ射撃する場合にこの技能を使う。現代のマシンピストル(MAC11、ウージーなど)の連射の場合には、〈サブマシンガン〉の技能を使わなければならない。1ラウンドに射撃できる回数は、武器の装填機構、再び対象を捕らえるのに必要な時間によって違ってくる。
- キーパーのオプションとして、黒色火薬ライフルを使う場合、それを正しく装填して射撃させるためには、〈ライフル〉技能のほかに〈歴史〉技能も必要であることにしてもかまわない。
- 考古学(1%)
- この技能によって、過去の文化の遺産であるアーティファクトからその制作年代の鑑定や特定ができるし、ニセ物を識別もできる。この技能をもちいてある場所を完全に調べることにより、その廃墟を残した者の目的や生活の仕方を推理できる。その場合には〈人類学〉の技能も助けになることだろう。考古学の技能をを持つ者は、死滅した言語で書かれたものをみてそれを識別することができる。
- こぶし/パンチ(50%)
- 文字どおりの技能である。握りこぶし、空手チョップ、大振りのパンチ、乱暴な平手打ちなどが含まれ、また、これに〈マーシャルアーツ〉が加わると威力が大きくなる。この技能を用いて、〈キック〉と〈頭突き〉を受け流すことができる。この技能にはノックアウト攻撃のルールが適用される。
- コンピューター(1%)
- パーソナルコンピューターを使う場合や普通の市販のソフトウェアを使う場合には、この技能は必要ない。パーソナルコンピューターであっても、システムに対して特別な操作をするような場合には、この技能が必要になるだろう。
- 〈コンピューター〉は現代の技能である。この技能によって、探索者はいろいろなコンピューター言語で目的のプログラムを作ることができる。新しいプログラムを書くだけでなく、わかりにくいデータの復旧や分析をしたり、保護されているシステムに入り込んだり、複雑なネットワークを検索したり、進入、不正手段、ウイルスなどを検知したり悪用したりすることもできる。
- この技能を使う場合には、使うたびに少なくとも半日の時間がかかり、何回もロールに成功しなければならないだろう。キーパーは実際の必要性と結果を判断しなければならない。そして〈コンピューター〉のロールは、時にはプレイヤーに知らせずに行わなければならないかもしれない。いったんコンピューター・ネットワークの中に入ることができたら、〈図書館〉を使うといいだろう。
- サブマシンガン(15%)
- マシンピストルやサブマシンガンで射撃する場合に使う技能である。スコルピオンのような現代のマシンピストルはあまりにも小さいので、そういうものを単射する場合には〈射撃〉の技能を使うべきだろう。なお、1880年代にはサブマシンガンは存在しない。
- 忍び歩き(10%)
- 人に気づかれずに、そっと移動する技能である。〈隠れる〉と組み合わせて使う場合は、探索者はD100ロールを1回だけして、その結果を自分の〈隠れる〉と〈忍び歩き〉の両方の技能値に照らし合わせる。この組み合わせロールは、音を立てずに動かなければならない場合に使う。〈隠れる〉の説明のところも参照されたい。
- 写真術(10%)
- 静止した写真にも、ムービーにも適用される技能である。この技能を使えば、はっきりとした写真を撮ることができ、それをうまく現像することができる。また、半分隠れたようになっている細部をはっきりとさせることができるかもしれない。技能に失敗したということは、ピンボケだったり撮りたかった物が撮れていなかったということだ。現代では、この技能は。ビデオ・カメラ、ビデオ再生装置、デジタル写真にも適用される。
- 重機械操作(1%)
- 戦車、掘削機、蒸気シャベル、大型の建設機械などを操作するのに必要な技能である。この技能をもっていれば、特別に難しい操作や危険な操作の場合、あるいは危険な条件下での操作の場合でないかぎり、技能ロールをする必要はない。いつもと全然違う種類の機械を用いる場合、そして遭遇する状況が慣れていない状況だった場合には、キーパーの意志で通常の技能値より低くしてもかまわない。例えば、ブルドーザーを動かすことには慣れている者でも、船のエンジン・ルームで蒸気タービンを操作するのが上手とは限らないだろう。
- 乗馬(5%)
- 乗用馬あるいはロバあるいはラバに乗る場合を想定した技能である。ラクダに乗る場合も、成功率を低くして適用することができるだろう。また、この技能で乗用の動物に関する基本的な世話の仕方や乗るための道具の知識も得られ、馬を疾走させる方法や地形の悪い場所でどう取り扱ったらよいかもわかる。
- 乗用馬がいきなり後脚で立ったり、つまずくなど、思いがけない行為をしたとき、探索者が落ちないで乗っていられる成功率は、その探索者の〈乗馬〉の技能値と同じ値である。探索者が乗っていた馬(ロバ、ラバ)から落ちた場合、その理由が馬がつぶれたり、倒れたり、死んだせいであるにしろ、〈乗馬〉ロールに失敗したせいであるにしろ、探索者は1D6ポイントの耐久力を失う。しかし、〈跳躍〉ロールに成功すれば、そのうち1D6ポイントを軽減できる。
- 動物に乗っているときに武器を効果的に振るうためには、その武器の技能と〈乗馬〉技能どちらも50%より高くなければならない。キーパーは状況に応じて数値を修正してもかまわない。
- ショットガン(30%)
- この技能は散弾銃ならどんな銃にも使える技能である。散弾は広がる形で飛んでいくので、射程が遠くなっても命中率は変わらない。しかし与えるダメージは変わる。射程10〜20mでは、お互いにすぐ近くにいる1D3人の対象が1発分の弾で撃たれる。20〜50mでは、すぐ近くにいる1D6人が1発分の弾で撃たれる。1発分の弾で一緒に撃たれるほど近くにいたかどうかは、キーパーが決める。
- 二連式のショットガンは、目立たなくするためと持ち運びに便利なように銃身を切り落とすことができる。アメリカでは銃身を切り落とした銃は1920年代までには違法なものとなっていた。
- ライフル・スラッグを撃つ場合には、〈ライフル〉の技能を使う。キーパーのオプションとして、〈ライフル〉と〈ショットガン〉の技能を組み合わせて1つの技能にしてもかまわない。散弾とスラッグという違いがあるだけにするのである。
- 信用(15%)
- 狭い意味で言えば、探索者がどのくらい豊かで自信に満ちて見えるかということである。人の好意を当てにしなければならないときや、銀行や会社から金を借りたいようなときに使うことのできる技能だ。また厳しいチェックを通り抜けなければならない場合や、信用状のようなものが必要なのにハッタリで押し通さなければならないような場合にも使う。
- 例えばエドワード朝時代(20世紀初頭)のイギリスのような小さな町あるいは狭い社会の中では、お互いがみんな顔見知りである。そんな所では、〈信用〉は経済的な価値だけでなく、人格的な評価の指標ともなるものだ。スキャンダルやその人物の行いが〈信用〉値を大きく増減する原因になり、金をたくさんためたとか、金を失ってしまったなどということは、〈信用〉値にはたいした変化を与えないか、全然影響を与えない場合さえある。キーパーは場合に応じて、キャラクターにそのような区別をはっきりさせるようにするといいだろう。
- 心理学(5%)
- すべての人によく知られている技能である。人間を観察し、その人間の動機や性格などを探るための技能だ。一般的には、この技能のロールは技能の使用者ではなく、キーパーが行い、結果は秘密にしておく。キーパーは技能の使用者がこの技能によって得る情報だけを伝える。情報が真実である場合も、うその情報である場合もあるだろうが、キーパーはそのまま伝える。プレイヤーはこの技能で相手の巧みなごまかしを見破ることができると期待してはならない。それができるのは、相手の自信をぐらつかせることができた場合だけである。
- 人類学(1%)
- この技能によって、人の振る舞いを見ればその人間の暮らし方がわかる。この技能を使う者が、違う文化圏へ行ってその文化を内部からしばらくの間観察するとか、絶滅してしまった文化に関する正確な記録を調べるなどすれば、不十分な証拠しかなくてもその文化のあり方やその文化の心をしることができる。ある文化について1ヶ月あまりも研究すれば、その文化がどのように機能しているか理解し始める。この技能を〈心理学〉技能と組み合わせて使えば、その文化圏の者の行動や信念を予測することができる。もちろん、実際に存在する(存在した)文化に関してのみ有効である。
- 水泳(25%)
- 水やそのほかの液体の中で、浮かび、かつ移動する技能である。〈水泳〉のロールが必要になるのは危機や危険のあるときだけで、そうであるかどうかはキーパーが決める。〈水泳〉のロールに失敗すると、”溺れ、窒息”のルールに従って窒息していく。溺れている者は、各ラウンドに〈水泳〉のロールを試みることができる。成功すれば、水面に出て呼吸することができる。2回目の成功で、水の中を移動し始めることができる。2回目の〈水泳〉ロールに失敗すると、再び溺れ始める。
- 製作(5%)
- 〈制作〉は特定の実用的な品物を作ったり修理したり、あるいは良い効果を作り出したりする技能である。これには手先が器用であること、あるいは芸術的な応用力が必要だろう。〈制作〉をなりわいとする者(職人)は、単純肉体労働よりも高い収入を得られるのが普通だが、頭脳的な専門職ほどではない。
- 職人にはさまざまな種類がある。家のペンキ塗り職人からライオンの調教師から金庫破りまである。探索者シートにはどういう種類の職人であるのか明記しておかなければならない。〈芸術〉の場合と同様で、例えば〈制作〉(靴の修繕)とか〈制作〉(理髪)とか、あるいは〈制作〉(真空管を作る)というように書き込む。
- 何かを作ったり修理したりすることには、普通、道具と時間が必要であるが、必要な場合には、キーパーが決める。ロールの結果が特別に低かった場合には、その職人は特別に素晴らしいものを作ったということである。ロールに失敗した場合は、作った品物を最初に使ったときに壊れてしまったとか、全体の中に組み込もうとしたらうまくはまらなかったということかもしれない。〈制作〉のロールに成功することによってある品物に関する情報が得られるということもある。例えば、その品物がどこでいつ制作されたのか、その品物の来歴の一部や技法、誰が作ったのかわかるといったようなことである。
- 精神分析(1%)
- この技能を使う者は、一時的狂気あるいは不定の狂気に陥った者を1日くらいの間なら正気にしておくことができる。その期間を超えても狂気が続く場合、技能の効果は切れ、あとは時間が癒してくれるのを待つしかない。この緊急の処置は、施すのに最高で1時間かかる。また、この処置を施すことができるのは1つの件について1回だげである。技能を持つ者が何人もいたとしても、だれかが1回だけ施すことができる。
- 〈精神分析〉で手当をされると、不定の狂気に陥っている者の正気度ポイントが上がる。
- 〈精神分析〉の技能では相手の正気度ポイントを。その相手の[POW×5]より上に上げることはできない。また[99−〈クトゥルフ神話〉のポイント]より上にもならない。
この技能は情緒的な面の治療法全般をさしていて、単にフロイト的な療法だけをさしているのではない。1890年代には、正式な精神療法というものはほとんど知られていなかったが、ある意味での精神療法のようなものは、人類の歴史と同じくらい古くからあった。1920年代になってさえも、精神療法はインチキ臭いものと見られがちだった。そのころには、精神分析者とか精神病学者たちを称する一般的な言葉は「エイリアニスト」というのもだった。エイリアン(異質の者)を扱う学者ということだろうか。現代ではいろいろな療法を組み合わせた療法が発展し、この技能は「精神科治療学」という名前で呼んだ方がいいかもしれない。
- 生物学(1%)
- 生き物に関する科学である。植物学、細胞学、エコロジー、遺伝学、組織学、微生物学、生理学、動物学などがある。探索者の理解度は、プレイする時代での理解度を表す。この技能を使うことによって、恐ろしいクトゥルフ神話の細菌に対するワクチンを開発するというようなこともできるかもしれないし、密林の植物の幻覚成分を分離することができるかもしれない。
- 説得(15%)
- 対象に特定の考えや概念や信念をしっかりと納得させたいときに使う技能である(〈言いくるめ〉と同じように、〈説得〉も真実や事実には関係なく用いることができる)。しかし、〈言いくるめ〉と違うところは、〈説得〉の効果は無期限的・潜行的に続くということである。ときには何年も続くかもしれない。何かの出来事や別の〈説得〉のせいで相手が別の方向に考えを向けるまで続くのだ。〈説得〉を成功させて適用させるためには、1時間から数日の時間がかかる。どのくらいの時間がかかるかは、説得しようとする内容による。
- 操縦(1%)
- 基本的には〈運転〉と同じものだが、これは空を飛ぶものまたは水の上に浮かぶものを操縦する技能である。探索者がどのような種類のものを〈操縦〉する技能を持っているのか、探索者シートに書き込むスペースがある。どのような種類のものであれ、すべて1%からスタートする。
- 〈航空機の操縦〉の技能は時代によって違う。〈ボートの操縦〉の技能は時代によって変わることはないし、帆船とモーターボートの区別もしない。悪天候、視界不良、ダメージなどの修正条件は航空機の場合にも船の場合にも同じように適用される。
- この技能の技能値が15%未満の者は、苦境に陥る可能性がある。そういう者は視界良好な穏やかな日であればロールなしで操縦することができるが、そういう場合でも、離陸、着陸、ドック入り、帆の張り替え、風や潮の流れの判断などの際には〈幸運〉ロールが必要である。〈操縦〉のロールが必要になるのは、嵐や計器操縦や視界不良そのほかの難しい条件がある場合である。
〈航空機の操縦〉:下記に名前が示されているような普通のクラスの航空機のことが理解でき、操縦能力もどんどん高くなっていく。着陸の際には、どんなに良い条件の下であっても〈操縦〉ロールをしなければならない。ただし条件がよい場合には、成功率は2倍になる。難しい条件の下ではパイロットの通常の成功率で着陸する。ロールに失敗したということは、ただ航空機に何らかのダメージを受けたというだけかもしれない。次の離陸の前に修理しておかなければならないが、パイロットや乗客の方は普通に歩いて帰れる。あるいはひどい傷を負わずにすむためには〈幸運〉ロールが必要かもしれない。結果が「00」であった場合は、ひどい事故になってしまったということで、少なくともパイロットは死亡する。
- 違う種類の航空機の操縦は別の技能として数えられるので、それぞれ別々にリストしておかなければならない。あるいはキーパーが適切に判断してもかまわない。1890年代には、〈気球の操縦〉だけしかない。1920年代には〈気球/飛行船/民間プロペラ機の操縦〉だけしかない。現代には、〈民間プロペラ機操縦〉、〈民間ジェット機操縦〉、〈定期旅客機の操縦〉、〈ジェット戦闘機の操縦〉、〈ヘリコプターの操縦〉がある。
〈ボートの操縦〉:小さなモーターボートあるいは帆船が、風の中、嵐の中、潮流の中でどのようになるかが理解でき、波や風の動きを読んで隠れた障害物や近づいてくる嵐を察知することができる。風があれば初心者にとって、手こぎボートを岸壁につけるだけでも難しい仕事だろう。
- 地質学(1%)
- 岩の層を見てだいたいの年代を知ったり、化石のタイプを識別したり、鉱物や結晶をほかと区別したり、削岩や採鉱に適した場所を指摘したり、土質を鑑定したり、火山の噴火や地震や雪崩などの自然現象を予測するための技能である。シャーロック・ホームズはロンドン周辺の土のエキスパートで、人のブーツについている泥を調べて、その人間の行動を言い当てることができた。
- 跳躍(25%)
- この技能に成功することにより、探索者は垂直方向に飛び上がり、自分の身長分高いところにあるものをつかむことができ、また身長分の距離を垂直方向に安全に飛び降りることができる。また、水平方向にも、助走なしで自分の身長分の距離を飛ぶことができるし、助走してから飛べば、身長の2倍の距離を飛ぶことができる。高いところから落ちた場合に、落下による負傷に備えて〈跳躍〉ロールに成功すれば、落下で失う耐久力から1D6ポイントを差し引くことができる。
- 追跡(10%)
- この技能を使って、探索者は柔らかい土か葉っぱの上を通った人や車や動物の跡をたどっていくことができる。足跡がついてから時間がたって追跡する場合には、1日経過するごとに成功率を10%引く。その間に雨が降れば、追跡は不可能になるだろう。生き物を、水の上、コンクリートの上、あるいはヤカンに追跡することはできない。ただし、特殊な状況の場合はこのかぎりではない。
- 頭突き(10%)
- 酒場のけんかにはなくてはならない素手の技能である。〈頭突き〉は相手の腹に当てることが多いが、そのほか、こめかみ、脳天、鼻、あご、後頭部などに当てることもある。混み合った中でも行うことのできる技能だ。〈頭突き〉は驚くほど素早く行える攻撃であり、相手の戦意を失わせるほど強烈なものでもある。〈頭突き〉で相手の攻撃を受け流すことはできないが、〈マーシャルアーツ〉で〈頭突き〉の効果を高めることができる。この技能にはノックアウトのルールが適用される。
- 電気修理(10%)
- この技能を使うことによって、探索者は電気装置(例えば自動点火装置、電動モーター、ヒューズボックス、警報器など)を修理したり再構成したりすることができる。現代ではこの技能は〈電子工学〉とはほとんど関係がない。電気器具を修理するためには、そのための部品とか道具が必要かもしれない。1920年代においては、就職のためにこの技能と〈機械修理〉技能の組み合わせが必要になるかもしれない。
- 電子工学(1%)
- 電子的な装置の故障点検や修理のための技能である。また、簡単な電子的装置を作ることもできる。これは現代だけの技能である。1890年代と1920年代においては、電子工学的な開発のためには〈物理学〉お〈電気修理〉を使う。〈電子工学〉をつかった仕事のための部品は、〈電気修理〉の場合とは違って、間に合わせのものではだめである。部品はそれぞれ特定の目的のために精密にデザインされて作られているからだ。正しいマイクロチップや回路基盤がなければ、技能だけ持っていても何の役にも立たない。
- 天文学(1%)
- この技能を使うことによって、ある特定の日あるいは特定の夜あるいは特定の時間に、どんな恒星あるいは惑星が頭上にあるかわかる。たとえわからなくても、それを見つける方法はわかる。また、日食や流星群がいつ起こるかわかり、主要な星の名前もわかる。また、別の世界にどんな生命体がいるのかということについて、現在知られている範囲のことはある程度知っている。銀河系の存在や構成なども知っている。専門家であれば、軌道を計算したり、星のライフ・サイクルについて議論したりすることもできる。時代が現代であれば、赤外線天文学や超長基線電波干渉計などの専門家であることもありうる。
- 投擲(25%)
- 手元にある物を投げて対象に当てたいとき、あるいは投げた物の適切な部分を対象に当てたいとき(例えばナイフや斧を投げて、刃の部分が相手に当たるようにしたいとき)、〈投擲〉の技能を使う。手の平サイズの物でバランスの適度な物であれば、その物のSIZを超えた探索者のSTR1ポイントにつき、3m投げることができる。ただし、投げるようにデザインされている物の場合には、その物のSIZ超える探索者のSTR1ポイントにつき、6mまで投げることができるし、バウンドしてもっと遠くまでいくかもしれない。キーパーは実際の物に応じて、数値を修正しなければならない。なぜなら、例えば、野球の球は投げ槍とは違う飛び方をするからだ。
- 〈投擲〉のロールに失敗した場合には、投げた物は対象からランダムに離れた場所に着地する。その際、実際のロールの結果と、成功するために必要とされる数値の最大値とを比べ、投げた物が目標から何mの近さまで届いたと見なしていいかを決める。
- 登攀(40%)
- 高いところへ上がる場合、3mから10mごとにこの技能に成功しなければならない。何mにするかは、登攀の難しさの度合いによってキーパーが決める。登る場所の表面の状態、風、昼間か夜か、雨などの条件を考慮に入れて決めるのである。
- 探索者が物音を立てずに登る必要がある場合には、D100ロールの結果を〈登攀〉と〈忍び歩き〉の療法に照らし合わせてみる。〈登攀〉には成功したが〈忍び歩き〉に失敗したという場合は、うまく登れたけれども物音を立ててしまったということになる。〈登攀〉に失敗して〈忍び歩き〉に成功した場合には、落ちたけれども大した音は立てなかったということになる。
- 図書館(25%)
- これはいろいろな意味でこのゲームで最も重要な技能である。〈図書館〉の技能によって、探索者は図書館にある所定の本、新聞、参考資料、書類などを見つけることができる。ただしそれらがそこにあった場合に限る。この技能は1回試みるごとに、連続した4時間がかかる。したがって、探索者が1日に3回以上この技能を使うことはほとんどない。
- この技能によって、鍵の掛かった本箱や稀覯本の特別なコレクションなどのありかを察することもできるが、それらの本に実際に到達するためには、〈言いくるめ〉、〈信用〉、〈説得〉、〈値切り〉の技能、あるいはワイロ、あるいは特別な資格証明書などが必要になるかもしれない。
- ナビゲート(10%)
- この技能を使う者は、嵐の中であれ、よく晴れた日であれ、昼間であれ、夜であれ、進路を決めて進んでいくことができる。この技能値が高い者は、天文学上の表や図、機器、人工衛星による位置測定などに慣れている。ただし、そういう物がその時代に存在している場合に限る。このような技能のロール結果は秘密にしておくべきである。探索者が自分で試みてから結果がわかる問題だからだ。この技能はまた、ある地点の距離を計ったり地図を書いたりするのにも使うことができる。面積が何平方kmもある島でも、1つの部屋の内部でもかまわない。
- 値切り(5%)
- 納得できる値段で物を買うための技能である。この技能を使う者は、まず自分がその物をいくらで買いたいのかいわなければならない。その値段と要求された値段との差2%ごとに、〈値切り〉技能値から1%を差し引く、探索者がどんなにうまく〈値切り〉したとしても、売り手は自分が損をするまで値引きすることはないだろう。キーパーはこっそりと最低値を決めておくのが普通である。
- 実際に物を買う場合でなくても、価値を交換するような場合にはこの技能を使うことができる。この〈値切り〉技能を、〈信用〉や〈言いくるめ〉あるいは〈説得〉の技能との”組み合わせロール”にすれば、値切るために大いに役に立つかもしれない。
- 単純な〈値切り〉はほんの数分で終わるが、複雑な契約などになると、何週間もかかることがある。そんな契約の場合には〈値切り〉と〈法律〉を組み合わせるといいかもしれない。
- 博物学(10%)
- もともとはある種の環境のもとでの植物および動物の生活を研究する学問だった。19世紀になるまでは、この学問は数多くの研究分野に分かれていた。ここでは1つのゲームの技能として、農民、漁民、熱心なアマチュア、趣味人などの持っている知識や個人的な観察結果などを表す技能になっている。この技能によって、一般的な意味での動植物の種が判別できたり、動植物の習慣や環境がわかる。また、その種にとって何が重要であるかを推察することもできる。博物学の知識は正確なものである場合も不正確なものである場合もある。それは好みとか、判断力とか。伝統とか、熱心さの領域である。チョウのコレクションを見て本当に内容的に素晴らしいコレクションなのか、あるいは展示の仕方が素晴らしいだけなのかを判断することができる。
- 物理学(1%)
- 圧力、物体、運動、磁気、電気、光学、放射能、およびそれに関連した現象に対する論理的な理解力を与えてくれる技能である。また、アイデアをテストするための実験装置などを作る能力も与えてくれる。知識の程度は、時代によって違う。実用的な機械(例えば自動車など)は物理学者の領域ではないが、実験的な機械ならその領域にはいるかもしれない。その場合は〈電子工学〉や〈機械修理〉の技能と共にこの技能が使われることだろう。
- 変装(1%)
- 姿態、衣装、声などを変えて、別の人物あるいは別の種類の人間に見せかける技能である。舞台化粧を施せばもっと効果的かもしれない。証明が暗ければもちろん助けになるだろう。自分とは性別の違う人物、年齢や体の大きさの違う人物、話す言語の違う人物に変装したときには、カンパされる可能性が高くなる。ある種類の人間というのではなく、ある特定の人物に変装する場合には、〈変装〉の技能値を半分しなければならない。ある特定の人物を装って看破されないためには、遠くから見られるだけにした方が無難である。
- 変装している者を見た者が〈目星〉あるいは〈心理学〉のロールに成功すれば、疑いを持つかもしれない。その場合、変装しているキャラクターのプレイヤーが〈言いくるめ〉ロールに成功すれば、どちらの技能の成功率も10%低くなる。
- ダイス・ロールの結果を説明することはキーパーの役割であるが、D100の結果が、小さい目で〈変装〉に成功した場合には、変装したキャラクターに相手を納得させるような命令を出す能力、あるいは親しい者たちからさえ見破られない能力を与えてもいいだろう。〈変装〉のロールに失敗した場合は、装っている人物には合わない振る舞いや表情をしたのに気づかれてしまうことになる。90から100といった大きい目で失敗した場合には、相手にこう叫ばれてしまうだろう。「この人、怪しいよ!早く調べて!」
- 法律(5%)
- 関係のある法律、判例、法的工作手段、裁判手続きなどの知識を探索者がどのくらい持っているかを表す技能である。本職の弁護士になればそういうことに堪能になるし、行政官庁へ顔も利くようになるだろうが、弁護士になるには長い年月にわたって厳しい適用が要求される。また〈信用〉値が高いことが必須条件となる。弁護士という職業ほど、探索者にありがちな、妙な振る舞いによって傷がついてしまう職業はないだろう。アメリカにおいては、弁護士を開業するには特定の州の州法曹教会(State
Bar)による認可が必要である。外国にいる場合には、成功率が半分になる。ただし、探索者がその国の法律を[30−INT]ヶ月学んだ場合には、半分にしなくてもかまわない。
- ほかの言語(1%)
- どの言語か指定する。探索者が知ることのできる言語の数には制限はない。この技能は母国語以外の言語の理解/読み/書き/会話の能力を表している。古代語や未知の言語(例えばアクロ語など)は選ぶべきではないが、地球上の普通の言語であれば何語でもかまわない。キーパーによっては、1つの書類や1つのスピーチの中に、別々の複雑なポイントがいくつか存在しているということで、そのポイントごとにこの技能ロールを何回も要求してもよい。また、キーパーはその言語の中に古代的な話し方とか文字があったとして、一時的に技能値を下げてもかまわない。通常の場合には、本1冊全部を理解するために、技能ロールを1回行うだけでいい。
- 探索者がある言語に関して〈ほかの言語〉のポイントを数ポイント持っていた場合には、その言語による会話を聞けば、いつもだいたいの意味は取れる。母国語でない言語を自分の母国語であるかのようなふりをするためには、その言語について[INT×5]以上のポイントを持っていなければならない。探索者シートには母国語以外の言語を書き込むためのスペースがある。
- 現在存在する人間の言語で何語であるかわからないものを何語であるのか識別するためには、〈知識〉ロールを使う。すでに死滅した人間の言語を識別するためには、〈考古学〉ロールを使う。人間以外の異界の言語を識別するためには、〈クトゥルフ神話〉あるいは場合によっては〈オカルト〉ロールを使う。
- 母国語(EDU×5%)
- どの言語か指定する。生まれたばかりのころや幼児時代には、たいていの人間は1つの言語しか使わない。アメリカのほとんどの人間の言語は、英語の何らかの方言だろう。プレイヤーが探索者のためにある言語を〈母国語〉として選んだら、その言語の技能値は自動的に[EDU×5%]から出発する。それ以後は探索者はそのパーセント値あるいはそれ以上で、その言語の理解/読み/書き/会話を行うことになる。
- 母国語を使うのに、普通は技能ロールは必要ない。書類が極端に読みにくいものであった場合、あるいは古い方言で書かれていたような場合には、キーパーはその状況での成功率を低くしてかまわない。
- 作家の〈母国語〉の技能値は高いのが普通だ。
- マーシャルアーツ(1%)
- 〈こぶし/パンチ〉、〈頭突き〉、〈キック〉、〈組みつき〉で攻撃するときに、この技能を組み合わせて使うことができる。攻撃ロールが攻撃者の〈マーシャルアーツ〉の値以下だった場合には、その攻撃によるダメージが2倍になる。したがって、〈こぶし/パンチ〉が引き起こすダメージは2D3ポイント・プラス通常のダメージ・ボーナスということになる。攻撃が命中すれば〈マーシャルアーツ〉はダメージを2倍にするが、ダメージ・ボーナスは2倍にはならない。
- 〈マーシャルアーツ〉の技能を持つ者は、どの攻撃を受け流すことにするか、その攻撃の直前になってから選ぶことができ、ラウンドの初めに受け流しの宣言をする必要はない。
- 〈マーシャルアーツ〉の技能を使って、弾丸などの飛び道具を受け流すことはできない。
本ゲームで述べる〈マーシャルアーツ〉とは以下のものである。柔道、合気術、合気道、カポエラ、空手、サバト、テコンドー、白鶴拳、七星蟷螂拳など。上記の中から1つ選ぶか、あるいは新しいものを発明してもかまわない。古い時代にはこれらの技能の各派は技を門外不出として秘密を守ってきたため、マーシャルアーツは現代になるまでその文化の圏外にはほとんど知られていなかった。
- マシンガン(15%)
- 2脚以上の安定した銃架から連射するものであれば、どんな銃でもこの技能を使う。2脚架から単発で射撃する場合には、〈ライフル〉の技能値の方が高ければ、〈マシンガン〉の代わりにそちらの方を使う。現代ではアサルト・ライフルとサブマシンガンと軽機関銃の違いはあまりにもわずかである。
- 目星(25%)
- この技能を使えば、秘密のドアや小部屋を見つけたり、隠れている侵入者に気がついたり、人目につかない手がかりを見つけたり、色を塗り替えた車でもそれとわかったり、待ち伏せしている敵に気がついたり、ふくらんだポケットに気がついたりする。ゲームの中で大変重要な技能である。
- 薬学(15%)
- この技能を使う者は、広い範囲の薬物を識別し、調合し、場合によっては投与することもできる。自然の薬物でも人工的な薬物でもかまわない。また、薬の副作用を理解し、その薬が望ましくない場合もわかる。また毒物や解毒剤に関する実用的知識を持っていて、毒にオカされた者に対して、〈薬学〉の技能を応急手当として使うことができる。しかしこの技能では病気の診断をする能力は得られない。薬を処方する資格も得られない。
- ライフル(25%)
- この技能を使う者は、どんなタイプのライフルでも射撃できる。すなわち、レバー・アクションでもボルト・アクションでもセミ・オートマチックでも同じである。軍用のアサルト・ライフルで単発で射撃するとき、あるいは連射をする場合でも、この技能を使う。ショットガンでライフルド・スラッグを射撃する場合にもこの技能を使う。
- 1ラウンドに射撃できる回数は、武器の装弾機構、再び対象を捕らえるのに必要な時間によって違ってくる。
- キーパーのオプションとして、黒色ライフルを使う場合、それを正しく装填して射撃させるためには、〈ライフル〉技能のほかに〈歴史〉技能も必要であることにしてもかまわない。キーパーのオプションとして、〈ライフル〉と〈ショットガン〉の技能を組み合わせて1つの技能にしてもかまわない。散弾とスラッグという違いがあるだけにするのである。
- 歴史(20%)
- この技能をしようすることによって、探索者はある国、都市、地域、人物が持ってる意味を何かとの関連で思い出す。特別にあいまいな事実を思い出さなければならない場合には、成功率は低くなる。〈歴史〉ロールに成功すれば、昔は普通に見られたが今はほとんど知られなくなっている道具、技術、考えなどが識別できる。