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破滅は自明の理だった!? オリンパスが“負の遺産”を売却
オリンパスは、携帯電話販売など情報通信事業の子会社、ITX(東京・港)を530億円で投資ファンドの日本産業パートナーズ(東京・千代田)に、9月28日付で売却する。そのカメラで取るのは准一?「オリンパス」HPより。
ITXは、携帯電話の販売代理店を全国に500店運営し、業界では第3位。スマートフォン(高機能携帯電話)の販売が好調で、12年3月期の売上高は2294億円、最終損益は33億円の黒字だった。売上高はオリンパスグループの4分の1を占めるが、旧経営陣が巨額の損失隠しの発覚を防ぐためにITXを利用していたこともあって、売却することでけじめをつける。
ITXは日商岩井(現双日)の情報通信部門が前身で、オリンパス光学(現オリンパス)が2000年3月、50億円を出資した。名目は新規事業の開拓。旧経営陣の菊川剛・元社長、山田秀雄・元監査役、森久志・元副社長(いずれも金融商品取引法違反で起訴)らは、98年当時、財テク失敗による損失が1000億円弱に上ったため、海外ファンドなどへ損失の飛ばしを開始していた。
そこで、ITXの上場によるキャピタルゲインを損失の穴埋めに使うことを計画。250億円を投じて連結子会社にした。
巨額損失の穴埋め策を指南したのは、野村證券の事業法人部門でM&Aを手掛け、新宿支店長をやった経営コンサルタント会社・グローバル・カンパニー(GC)の横尾宣政代表(詐欺罪で起訴)。オリンパスがITXへの出資を本格化させた頃のITXの社長は横尾昭信氏。GCの横尾氏と兄弟だった。
01年6月には、菊川剛氏がオリンパスの社長に就任。一方ITXは、同年12月にナスダック・ジャパン(現ジャスダック)に上場した。だが、ITバブルはすでに崩壊し、株価は低迷。評価損が発生し損失の穴埋めどころか、損失はむしろ拡大した。このためオリンパスはITXの上場によって得られるつもりでいた利益を損失穴埋めに充てることを断念した。
オリンパスがファンドに飛ばした損失は03年時点で最大1177億円に拡大していた。06~08年にかけて国内外合計4社の買収や買収に伴う成功報酬の名目で1348億円を捻出し、これを損失の穴埋め資金とした。
ITXは当初、ベンチャーキャピタルのような投資事業で収益をあげることを計画した。この間、「不可解な買収」といわれ株式市場を賑わしたことがある。06年1月のことだ。翼システムのパッケージソフト事業を172億5000万円で買収した件である。同事業の受け皿としてITX翼ネットを設立。早期に株式上場を目指して、買収後、商号をブロード・リーフに変更した。
翼システムは自動車の整備・板金・塗装業者向けのパッケージソフトを開発していた。そのノウハウを生かした「カーコンビニ倶楽部」を立ち上げ、全国展開に乗り出した。歌手・美川憲一の「突っつくわよ」のテレビコマーシャルで話題となった自動車板金補修の全国チェーンである。ベンチャーがらみの事件が起こる度に、翼システムの名前が取り沙汰されるようになった。
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