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国内
参院選で圧勝した自民党政権が掲げる「国土強靭化計画」。インフラ整備費だけで国交省は200兆円かかると試算している。自民党の二階俊博衆議院議員は、強靭化計画で地元に紀伊半島一周高速道路を実現させたいといっている。その高速道路が通る予定の和歌山県新宮市を訪ね、作家の山藤章一郎氏が現場の声を報告する。
* * *
旧道の42号線を走ってみる。
崖地、入江、山裾を縫う片側一車線である。フロントガラスに、末枯れた風景がとびこんでくる。ガソリンスタンドは廃墟になり、貴金属店、食堂、インターネット、カラオケの看板はび、モルタル壁が崩れ始めている。畑地に看板がぬっと立つ。
「世界遺産 熊野参詣道」
「地域発展の起爆剤 高速道路を南紀地方に」
〈世界遺産〉と〈高速道路〉──。
肌触りの悪い不均衡を放って、見る者を落ち着かなくさせる。
先を行く。不整合な光景がだしぬけにまた現われる。スーパー〈オークワ〉の巨大な看板を中心に〈ケーズデンキ〉〈ユニクロ〉〈紳士服はるやま〉、映画館、ゲーセンがモールを成している。〈オークワ〉とゲーセンに入ってみた。あちこちのコーナーで高校生らしき男女がかたまっている。唯一のデートスポットか。
新道バイパス、過疎モール。〈道の駅〉で喫茶店を営業している小西さんも、背中合わせの違和感を抱いている。
「高速道路が出来たら、ここは完全な過疎地になります。残るのは年寄りばっかり。けど、東南海大地震が来たら、三陸と同じかたちをしている海岸沿いの旧道も町も、あっという間に津波に呑まれます。過疎が進むのを承知で、国土強靭化、バイパスはぜったいに要るんです」
新宮市議会議員・杉原さんは共産党員である。
「私は二階さんの〈強靭化〉に大賛成です。共産党には関係なく、ここの住人にしか分からない思いです。早く、紀伊半島一周高速道路をと、願ってます」
杉原さんはここから汽車で大阪に出るのに8時間かかる時代の学生期を過ごした。いまでも特急で4時間かかる。
「2011年の台風12号は、和歌山県だけで56人の死者を出しました。民主、自民、共産党みんなの尽力で復興した。しかし、二階さんがいなければ復旧は相当遅れた。そういう土地です」
※週刊ポスト2013年8月9日号
和歌山県新宮市議会共産党議員 「二階さんの計画に大賛成」
2013.07.31 16:00