認知バイアス【もう聞きたくないから黙れ! (認知的不協和)】
(認知的不協和・・・世界を理解するためのキーワード - David Icke in Japanより引用。)
自分が「常日頃信じていること」や「世界に抱いている理解」が目の前の事実や新たに提示される一般化された情報によって「脅かされた」時、その人々の心の中で起きる不快な気分、「もう聞きたくないから黙れ!」と思わず叫びたくなるこの「不協和」と「ストレス」を取り除くために
普通の人は、
(1)それ以上調べることはやめて、矛盾する情報は間違っていることにして払いのけるか、
(2)行動や信念を別の方法で正当化することになる。
この認知的不協和による精神的葛藤を経験した時、人々はこの葛藤の解決として「思考様式が行動と合致する方向に徐々に修正されていく」(自己正当化)。
1954年にフェスティンガーと二人の同僚が、あるグループ(カルト集団と呼ばれていた)に潜入した後に起きたことである。このグループは、シカゴのマリオン・キーチという女性を信奉していた。彼女は「宇宙人」と接触していたと言われており、宇宙人は、1954年12月21日の夜明け前に大洪水が発生して世界は終末を迎えると彼女に伝えたという。
彼女を信じる人々は、大惨事が起きる予定の数時間前である12月20日の深夜に宇宙船が救出に来てくれることを信じ、仕事や学校を辞めて、家族を離れ、お金も財産も寄付した。
フェスティンガーと二人の同僚は、洪水と宇宙船が実現しなければ、認知的不協和の絶好の事例になると考えて、そのグループに潜入したのである。そして、実際にその通りとなり、その経験と発見を1956年のWhen
Prophecy Fails: A Social and Psychological Study of A Modern Group that
Predicted the Destruction of the World.[邦訳『予言がはずれるとき―この世の破滅を予知した現代のある集団を解明する』勁草書房(1995/12)]という本に詳細に記した。
12月21日、いつも通りに夜が明けたとき、グループを去ったメンバーもいたが、なんとも奇怪なことに、預言が実現しなかったという極めて明白な事実にもかかわらず、ほとんどのメンバーはそのまま留まり、以前よりも熱心な信者になった。
宇宙人も洪水も現れなかったことにより、宇宙人と洪水を信じていた思考は、両方とも発生しなかったという事実と激しく感情的に衝突したため、不愉快で重苦しい認知的不協和(認識の不一致)をもたらした。
この内的な不調和は、騙されたことを認める(ことにより信念と経験を統合する)か、もともと信じていたことを維持できるように事実を説明する方法を見つけるか、のいずれかによって解決されることになる。最初の道を選んだものもいたが、大半は後者を選択した。
大半の人々は、その夜、彼らの小さなグループが光明を流布したことにより、神が世界を破滅から救ってくれたので洪水は起きなかったのだと言うことにより、信念と行動との関係を再構築した。
私はこれと似た多くのグループやニューエイジの異端の信仰システムから同じようなことを何度も聞いたことがある。
(Wikipediaより引用)
認知的不協和は、人がある認知(知識、経験、行動など)と矛盾した認知に遭遇した時に感じる不協和(不快感)を解決しようとする心理状態、社会心理学用語。イソップ物語のすっぱい葡萄としても知られる。アメリカの心理学者レオン・フェスティンガーによって提唱された。
・不協和の存在は、その不協和を低減させるか除去するために、なんらかの圧力を起こす。
つまり、複数(通常は二つ)の要素の間に不協和が存在する場合、一方の要素を変化させることによって不協和な状態を低減または除去することができる。
・不協和を低減させる圧力の強弱は、不協和の大きさの関数である。
つまり、認知的不協和の度合いが大きければ、不協和を低減させる圧力はその度合いに応じて大きくなる。
よく挙げられる例として、「喫煙者」の不協和がある。
喫煙者が喫煙の肺ガンの危険性(認知2)を知る | |
---|---|
認知1 | 私、喫煙者Aは煙草を吸う |
認知2 | 煙草を吸うと肺ガンになりやすい |
このとき、認知1と認知2は矛盾する。「肺ガンになりやすい」(認知2)ことを知りながら、「煙草を吸う」(認知1)という行為のため、喫煙者Aは自分自身に矛盾を感じる。そのため喫煙者Aは、認知1と認知2の矛盾を解消しようとする。
自分の行動(認知1)の変更 | |
---|---|
認知3(認知1の変更) | 私、喫煙者Aは禁煙する |
認知2 | 煙草を吸うと肺ガンになりやすい |
一番論理的なのは認知1を変更することだ。「喫煙」(認知1)を「禁煙」(認知3)に変更すれば、「煙草を吸うと肺ガンになりやすい」(認知2)と全く矛盾しない。
これが小さなことならば、自分の行動を修正または変更することで足りる(例えば、漢字を間違って覚えていたならば、正しい漢字を覚えなおせばよい)。しかし、喫煙の多くはニコチンに依存する傾向が強いため、禁煙行為は苦痛を伴う。したがって、「喫煙」(認知1)から「禁煙」(認知3)へ行動を修正することは多大な困難が伴い、結局は「禁煙」できない人も多い。その場合は、認知2に修正を加える必要が生じてくる。
新たな認知(認知4または認知5)の追加 | |||
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認知1 | 私、喫煙者Aは煙草を吸う | ||
認知2 | 煙草を吸うと肺ガンになりやすい | ||
認知4 | 喫煙者で長寿の人もいる | 認知5 | 交通事故で死亡する確率の方が高い |
「喫煙者で長寿の人もいる」(認知4)を加えれば、「煙草を吸う」(認知1)と「肺ガンになりやすい」(認知2)との間の矛盾を弱めることができる。そして「交通事故で死亡する確率の方が高い」(認知5)をつけ加えれば、肺ガンで死亡することへの恐怖をさらに低減することができる。
なお、アメリカの煙草会社はキャンペーンで以下のように主張する[要出典]。
"煙草を吸う人が肺ガンになりやすいのは、煙草が肺ガンを誘引するのではない。ストレスを抱えている人がストレスを和らげるために煙草を吸うだけであり、ストレスが要因となって肺ガンを引き起こすだけで、煙草と肺ガンの間に因果関係はない。"
この主張は「煙草を吸うと肺ガンになりやすい」(認知2)を変化させることで、認知的不協和状態を解消させようというものである。
フェスティンガーの実験
上記の煙草の例は、対照実験をすることが難しいため、認知的不協和の提唱者フェスティンガーは以下の実験を考案した。フェスティンガーは、単調な作業を行わせた学生に対して報酬を支払い、次に同じ作業をする学生にその作業の楽しさを伝えさせる実験を行った。
この実験では、実際にはつまらない作業という認知と矛盾する楽しさを伝えるという認知から不協和が発生するが、報酬の多寡で楽しさを伝える度合いが異なる事を確かめた。
報酬が少ない学生は、報酬が多い学生よりも楽しさを伝える度合いが強く、割に合わない報酬に対して「本当は面白かったのかもしれない」と、認知に修正を加えて不協和を解消しようとする心理が強く働いているとした。
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目次
認知バイアスとは?
社会心理学【一級市民と二級市民 (内集団バイアス・恨みに訴える論証)】
認知バイアス【勝ち馬に乗れ (バンドワゴン効果)】
認知バイアス【赤信号みんなで渡れば怖くない (リスキーシフト)】
認知バイアス【不快な事実は認めたくない (感情バイアス)】
認知バイアス【印象は基準により変化する (アンカー効果)】
認知バイアス【都合の良い事実しか見ない (確証バイアス)】
認知バイアス【成功は自分の力、失敗は他人のせい (自己奉仕バイアス)】
認知バイアス【もう聞きたくないから黙れ! (認知的不協和)】
認知バイアス【今やめたらこれまでの投資が無駄になる (コンコルド効果)】
認知バイアス【堅実性を選ぶか、賭けに出るか (プロスペクト理論)】
認知バイアス【表現が変われば印象も変わる (フレーミング効果)】
認知バイアス【占いはなぜ当たるのか (バーナム効果)】
認知バイアス【後光が差す (ハロー効果)】
認知バイアス【俺は最初から分かってたよ (あと知恵バイアス)】
認知バイアス【見られていることを意識してしまう (観察者効果)】
教育心理学【どうせ頑張っても無駄だよ (学習性無力感、学習性無気力)】
さらに対人関係における様々な心理効果について知りたい方には、斉藤勇氏の『図解雑学 人間関係の心理学』をお薦めします。(なか見!検索できます。)
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