共同通信就活セクハラ事件で
石川社長「引責辞任」の舞台裏
5月30日、共同通信の石川聰社長(68)が、6月20日で退任する意向を表明した。
今藤悟(こんどう・さとし)前人事部長が就活中の女子大生を呼び出し、ホテルに連れ込んで関係を迫ったのは、小誌既報の通り。これを受けた共同は先月20日、今藤氏の懲戒解雇を決定。石川社長は報酬減額とされたが、この甘すぎる処分に内部からも批判が殺到した。
「警察の不祥事を追及している記者が『おたくの会社も不祥事を隠蔽していたじゃないか』と言われるなど、取材にも影響が出た」(共同記者)
全国の組合支部からは「社長の責任を問うべきだ」とのアピールが続々と送られてきた。歴代社長も激怒したという。さらには、
「23日に開かれた理事会は『社長が事件を隠蔽しようとしたのではないのか』と紛糾。理事たちの追及に、社長はしどろもどろでした」(共同関係者)
この理事会は、共同の主要加盟社の代表を中心に構成される、最高意思決定機関。
「石川社長が8年にも及ぶ長期政権を築けたのは、加盟社の覚えがめでたかったことも大きい。その加盟社からの突き上げに、さすがの社長も耐えきれなくなった」(同前)
そこで石川社長は、常務理事の佐藤雄二郎氏や、有力子会社社長の古賀尚文氏を後任に据えようとしたが、
「彼らは石川の子飼いの人間。当然、この人事案も加盟社から蹴飛ばされました」(同前)
退陣発表もお粗末だった。30日の午後2時に開かれた緊急本社部長会で、石川社長は「体制を一新して出直す」と辞任を明言したが、
「当初、これを公表するつもりはなかった。実はこの日の朝、産経が『辞任へ』と報じたのですが、他社の問い合わせに広報は『申し上げることはない』と突っぱねていた。この対応に加盟社からもクレームがつき、ようやく発表に至った」(前出・記者)
石川社長は相談役に就任予定で、次期社長には福山正喜氏が内定している。
「福山さんは政治部出身で、当時は小沢一郎に近かった。元々は社長候補の1人とされてきましたが、石川社長とソリがあわず、子会社に飛ばされていた。かなりガードの堅い人で、今のように危機管理が問われる中での登板にはふさわしいでしょうね」(同前)
共同を再生させられるか。
※この記事の公開期間は、2016年06月05日までです。