緊張感が持続する,
2013/7/28
レビュー対象商品: プラチナデータ Blu-ray プラチナ・エディション (Blu-ray)
物語の舞台は、究極の個人情報であるDNAデータが万に一つの間違いもない
という前提で、犯罪捜査利用のため法律化されようとしている近未来に日本とい
うことになっています。
実は、原作は2年前(?)に読んだのですがほとんど覚えていない(苦笑)。水
上教授は男性だったような気がします。また、あえてネタバレしちゃいますが、
主人公の神楽は二重人格者。ということは覚えていました。二重人格であること
以上の“秘密”が、その先に幾重にも用意されています。
そもそも一人の人間の中に、相反する要素があることは何ら不思議はない。だ
が数値重視の科学は、そんな不確定要素を許さず、そのことが予想外の展開を生
み、本作のテーマとつながっていく仕掛け。
天才科学者の神楽(二宮和也)が、DNAさえあれば人の顔など見なくても犯
罪は解決できると信じるデジタル人間であるのに対し、彼を追う無骨な刑事の浅
間(豊川悦司)は、その考えを疑い、自分自身の足で事件を捜査するアナログ人
間だ。この、正反対の2人が、最初は反発しながらも、神楽自身が容疑者になっ
てしまった事件発生後は、遠隔操作のような設定で協力しあっていくプロセスは
面白い。
プラチナデータに隠された驚愕の事実は、現代社会では十分に有り得ることで、
背筋がゾッとします。もっとも、精神科医の思考や行動は、少々とっぴ過ぎる気
がしないでもないですけどね。
アイドルでありながら、確かな演技力を持つ二宮和也が二重人格の一人二役と
いう難役を演じますが、表情やしぐさなど、わざとらしさはほとんどなく、上手
いです。少々残念だったのは、天才科学者の設定なのに、あまりその雰囲気が出
ていなかった。その辺は、もうちょっと演出してあげても良かったかも。
あとはバイクでの逃亡シーンが長いのと、いちいち出る英語と日本語のテロッ
プが目障り、緊迫したシーンや静かなシーンにも大きな音楽が流れるのも気にな
ったかな。
ともあれ、いわゆる巻き込まれ型サスペンスのスタイルを取る物語ですが、結
構緊張感もあったし、人間愛も含むラブストーリーとして見ると、意外にも楽し
めました。
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