日本軍による従軍違反婦強制動員の事実を認めて謝罪した「河野談話」の発表から20年を迎え、日本国内で河野談話の見直し論をめぐり、賛否が対立している。河野談話は1993年8月4日、当時の河野洋平官房長官が発表したものだ。一方、日本の極右政治家は日本の終戦記念日に当たる8月15日にA級戦犯が合祀(ごうし)された靖国神社に参拝すると相次いで公言するなど、日本国内の右傾化が加速している。
■論争拡大
河野談話の作成に事務方として携わった石原信雄官房副長官(当時)は、東京新聞のインタビューに対し「日本政府の立場で見るか、被害者の立場で見るかによって、立場の違いが生じる。本人の意思に反する形で慰安婦になった人がいたことは否定できない」と述べた。朝日新聞は3日、「韓国の慰安婦被害者に対するインタビューで、被害者でなければ証言できない内容だ」として、河野談話への支持を表明した。
一方、産経新聞は4日付社説で「慰安婦問題は、知日派といわれる外国の人たちにも十分に理解されていない面がある」とし、日本政府に河野談話の見直しを求めた。読売新聞は1日付社説は「『性奴隷』との曲解を是正するためにも、20年前の河野談話の見直しが欠かせない」と結んだ。読売と産経が異例の社説まで掲げたのは、最近米国で慰安婦の少女像が設置されたのをきっかけとして、米国で反日感情が高まっている点を懸念したためとされる。
■政治家が靖国に集団参拝へ
朝日新聞によると、稲田朋美行政改革担当相、自民党の高市早苗政調会長は、8月15日に靖国神社を参拝する。特に高市政調会長は超党派の議員連盟である「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」と共に参拝を予定している。安倍首相は韓国や中国との外交摩擦を懸念し、8月15日の参拝を避けるとみられるが、相当数の閣僚と国会議員の靖国参拝が予想される。今年4月に靖国神社で行われた春の例大祭には、麻生太郎副総理、稲田行政改革担当相ら閣僚4人、国会議員168人が参拝した。最近の参院選で自民党が圧勝したため、靖国神社に参拝する国会議員は過去最高に上る可能性もある。
■米国、談話見直しと靖国参拝に懸念
米議会調査局(CRS)は2日、日本の政治家による靖国神社参拝と河野談話見直し論に対する懸念を表明する報告書を発表した。報告書は河野談話について「米国だけでなく、(韓国・中国など)周辺国は、安倍首相が日本軍の性奴隷として強制動員された女性の問題にアプローチする方式を鋭意注視している」とした。報告書はまた、「米国は韓米日3カ国の協調に悪影響を与えることがあり得る歴史認識の違いに懸念の声を上げている」とも指摘。さらに、国粋主義的な安倍首相の主な政策目標の一つが軍事力を増強することだと分析した。