これが、40年間で支払う厚生年金の保険料だ(ただし、妻が支払う国民年金は加算していない)。
それに対して、もらえる年金の総額はいくらか。
まずは65歳支給開始の場合。支給開始年齢から男性の平均寿命である80歳までの15年間、年金が満額もらえるとすると、夫婦2人分の老齢基礎年金を含めて、月額23万1648円×12ヵ月×15年=約4170万円となる。
これがもし70歳からの支給となると、10年間しか年金をもらえないので、約2780万円だ。65歳支給開始の場合と比べると、支給額は約1400万円も減る。さらに1人当たりの年金額は1390万だから、40年かけて支払った額1230万円から、約160万円しか増えないことになる。これほど効率の悪い利殖も他にない。
社会保険労務士の北村庄吾氏は、40年間年金を支払い続ける若い男性をサンプルに試算してくれた。
●'91年生まれ、現在20歳の男性の場合
20~22歳まで国民年金に加入し、23~60歳まで厚生年金に加入。標準報酬月額32万円、標準賞与44万円を前提とすると、年金の個人負担分は約1658万円となる。
他方、支給が70歳からの場合、80歳までの支給総額は約1937万円。
「支払い総額に対して、もらえる額が279万円あまりプラスになっていますが、実際には会社が個人の支払い保険料と同額を国に納めるので、総計約3257万円を払っていることになります。それなのに国からは1937万円しか受け取れないのだから、実質は大きなマイナスでしょう。
65歳支給開始の厚生年金受給者は80歳までに2818万円もらえますから、70歳支給開始時の1937万円と比べると、5年間の違いで900万円近くも減額されてしまう。個人で貯蓄や運用をしたほうが得ということになります」(北村氏)
あまりに不公平
自営業者が払う国民年金はさらにひどいと北村氏は指摘する。20歳から60歳まで毎月保険料を支払い続けると、59歳で払い終えるまでの総額は約811万円。対して70歳から80歳までの支給額は880万円で、約69万円しか変わらない。
しかも、年金額の2分の1は国庫負担。つまりわれわれの税金でまかなわれているのだから、自分で支払った分で言うと、34万円しか増えていない計算になる。
「厚労省の試算は全く当てになりません。5年に一度、年金財政に関する見通しを発表していますが、'09年度版を見ると、現役男子の手取り収入は35・8万円、夫婦の年金支給額は22・3万円となっています。これが'25年には手取り収入51・9万円、年金支給額28・7万円となり、'50年には手取り収入96・2万円、年金支給額48・2万円になるという。右肩上がりの成長を前提にしていますが、今は世界経済が低迷状態にあるのだから、この想定はあまりに非現実的です」(北村氏)
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