河北春秋

 「北限の海女」で知られる久慈市小袖地区で、観光客向けの素潜り実演が始まった。かすりはんてん姿の海女がウニを採ってみせる。先月末の休日は1回当たり200人ほどが押し寄せ、海辺に二重三重の人垣ができた▼放送中のNHK朝の連続テレビ小説「あまちゃん」でロケ地となった効果だ。主人公と同年代の「海女クラブ」の高校生も一緒に潜り、大きな声援を受けている

 ▼残念ながら、今季はウニ資源を守るため、実演後の試食はお預け。採ったウニは海に戻す。ベテラン海女の中川やえ子さん(56)は「本当は食べさせたいんだけど」と申し訳なさそうに言う▼小袖地区も東日本大震災の被害を受けて、前年に完成した活動拠点、海女センターが全壊した。「磯にウニが一個もなくなった」と中川さんは振り返る

 ▼それでも仮設のセンターを設け、沖で採れたウニを磯に入れて、震災の年も素潜り実演を休まなかった。そこへ、ご褒美のように飛び込んできたのがドラマのロケだった▼岩手県の観光客は昨年、震災前と同水準まで回復したが、沿岸部に限ると約半分にとどまる。久慈の元気をわが方にも、と県内で官民のさまざまな取り組みが始まっている。波及効果の大漁を。観光復活は三陸の復興に欠かせない。

2013年08月05日月曜日

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