婚外子相続規定:最高裁大法廷で弁論 合憲見直しの可能性
毎日新聞 2013年07月10日 11時40分(最終更新 07月10日 14時22分)
結婚していない男女の間に生まれた非嫡出子(婚外子)の遺産相続分を嫡出子の半分とした民法の規定が、「法の下の平等」を保障する憲法に違反するかどうかが争われた家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・竹崎博允<ひろのぶ>長官)は10日午前、当事者の意見を聞く弁論を開いた。婚外子側は「規定は憲法違反で、直ちに司法の救済が必要だ」と訴えた。今秋にも大法廷が、従来の合憲判断を見直す可能性が高まっている。
弁論が開かれたのは、東京都に住む父親が2001年7月に死亡し、遺産分割が争われたケース。
規定の目的は「法律婚の尊重と保護」とされるが、婚外子側の弁護士は「家族や結婚に関する価値観は変化し、国際条約も出生による差別を禁じている」と、法改正の必要性を訴えた。婚外子本人も「少年期に精神的不利益を感じ、結婚を意識する時期には引っ込み思案になった」と述べ、規定が差別意識や劣等感を生む要因と指摘した。
一方、嫡出子側の弁護士は「規定は合憲」と反論。「相続分を同等にすることに反対する国民は多い」と強調した。大法廷では10日午後にも、別の家事審判の弁論が開かれる。
最高裁は新たな憲法判断や判例変更が必要な場合、15人の裁判官全員による大法廷で審理する。大法廷は1995年に合憲判断を示しているが、今回はこれを見直す公算が大きい。民法を所管する法務省民事局長を務めた寺田逸郎裁判官は審理を回避し、裁判官14人で担当する。【和田武士】