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【社会】

東大43論文 改ざん・捏造 元教授グループ 予備調査「撤回を」

 東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授らが発表した論文に多数の改ざんや捏造(ねつぞう)があり、四十三本は「撤回が妥当」とする予備調査報告書を東大がまとめたことが二十五日、東大関係者への取材で分かった。

 加藤元教授は分子生物学研究の第一人者で、公的資金を使った研究も多かった。取材に対し「改ざん、捏造があったのは事実」と認め、指摘された論文は撤回すると明らかにした。国内では近年、論文の不正が相次いで判明しており、対策が求められそうだ。

 東大は外部からの指摘を受け、一九九六〜二〇一一年に加藤元教授が関わった論文百六十五本を調査。同一画像の使い回しが多数見つかったほか、画像に反転などの加工をした上で、別の画像として使っていたケースもあった。

 報告書は「明らかに意図的な改ざん・捏造」「悪質」などと厳しく批判。「加藤元教授は直接作成に関わっていないにせよ、東大の学術研究に対する社会的な信用を損なう事態を招き、若い研究者の将来に悪影響を与えた。重大な責任を負うべき」と指摘している。

 加藤元教授は〇四〜〇九年に約十八億円の公的助成を受けた大型研究プロジェクトを率いたが、その主な成果となった論文にも撤回勧告が出ている。文部科学省は「不正に関係した研究費は返還してもらうこともあり得る」としている。

 加藤元教授は問題発覚後の昨年三月、東大を辞職した。

◆「あったのは事実」

 加藤茂明元東京大教授のコメント 改ざん、捏造があったのは事実。撤回勧告のあったものは基本的に撤回する。既に二本は撤回済みで、ほかの十本以上で手続きに入っている。当方が無能だったため、間違いを犯していた者を見抜けなかった。すべて当方の責任。(研究室には)常時四十人以上が在籍しており、研究グループもいくつかに分かれ、不正は一つのグループに集中していた。悪質な不正を繰り返していた者は少ない。今回問題になっている不正箇所の多くは、図表を良く見せるためのお化粧と理解している。

 

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