一方では、自民党の勝利に敏感に反応しない方がいいといった指摘もある。今回の選挙結果は、日本の有権者たちが安倍首相の右傾化政策を承認したわけではなく、アベノミクスに対する支持と期待が表面化しただけというのだ。また、投票率も低調で、民意がまともに反映されていなかったとの主張もある。自民党の勝利が当然視された中、有権者たちがあえて投票場に出向き「反対の意向」を示してみたところでひっくり返すのは困難と考えた、というのだ。
しかし、安倍首相の勝利を投票率の低い選挙がもたらした、現実を正しく反映できなかった結果と捉えることは、本当に正しい考え方なのか。有権者たちは、アベノミクスだけを見て投票したのか。決してそうではないはずだ。ひとまず選挙で勝利したことで、それも衆議院・参議院と立て続けに勝利したことで、国民がしばらくの間、安倍政権に対し、やりたいことをやってみるよう扉を開いたわけだ。安倍首相の日々の持論通りに政治は結果で物を語る。安倍首相は選挙直後「政治は結果であるだけに」改憲準備を進めるとコメントした。
もちろん、日本人たちが皆、安部首相の考え方を支持しているわけではない。今回の政党投票で自民党が得た得票率は約35%だった。残りの人々の心は自民党ではない、野党のどこかに向かっているというわけだ。問題は、これを一つに束ねられる政治勢力が存在しないという点にある。
国民にとって与党は現実で、野党は未来だ。有能な与党が存在する場合、大切なのは健全な野党が存在しているかどうかということだ。安倍首相のいる日本に懸念を抱くのは、安倍政権が目指しているゴールのためでもあるが、これを批判してブレーキを掛けられる野党勢力の力があまりにも弱過ぎる点にある。けん制できる勢力がいない安倍首相の疾走に対し、韓国も難しい外交が迫られるだろう。つまり、今後は韓国をはじめとする国際社会が、日本をけん制する力強い野党の役目を果たす覚悟をしなければならないという意味だ。