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匿名被害者―起訴状に統一ルールを

性犯罪やストーカーなどの被害をためらうことなく司法に訴えられる。そんな環境づくりに工夫を尽くしてほしい。東京地検が、強制わいせつの被害に遭った子どもの氏名を伏せて被告を[記事全文]

カンボジア―改革の民意にこたえよ

かつて悲惨な戦場だったカンボジアは、経済開発の時代を経て、今や民主化を求める若い芽が育ち始めている。20年以上も権力の座にあるフン・セン首相にとっては敗北に近い結果だろ[記事全文]

匿名被害者―起訴状に統一ルールを

 性犯罪やストーカーなどの被害をためらうことなく司法に訴えられる。そんな環境づくりに工夫を尽くしてほしい。

 東京地検が、強制わいせつの被害に遭った子どもの氏名を伏せて被告を起訴した。子どもの親の意向をくんだ。

 東京地裁の見解は違った。起訴状に被害者の氏名を明記するよう命じた。このままでは裁判が打ち切られ、被告は処罰を免れる可能性がある。

 被害者の情報が加害者に知られたことで、新たな事件を招いたケースは幾度もあった。

 強姦(ごうかん)された女性が警察に届け出たことを逆恨みした男が、服役後に女性の居場所をつかみ、殺害する事件が97年にあった。

 昨年起きた神奈川県内のストーカー殺人事件では、別の事件の逮捕状の読み上げによって、加害者は被害女性の氏名や住所を知ることができた。

 加害者に自分について知られるくらいなら告訴しないと泣き寝入りするケースは多い。刑事手続きが、被害者を再犯や、つきまといの危険にさらすことがあれば、本末転倒である。

 一方で、被告には訴追から身を守る権利がある。

 できる限り起訴内容を特定することを刑事訴訟法は求めている。起訴状に被害者の氏名を書くのは大原則とされてきた。

 起訴という公権力の行使は重い。検察は、被告が誰に、何をしたことを罪に問うのか明示するのは当然のことだ。

 被告に心あたりがなければ、弁護人は被害者に事情を聴こうとするだろう。同じような犯罪を繰り返していた場合、どの件かをはっきりさせて二重に罰するのを防ぐ必要もある。

 こうした被告の権利と調整しつつ、被害者を守る方策も少しずつとられてきた。07年の法改正で、証拠の開示では、被害者を特定する情報を被告に伝えないよう検察が弁護人に求められるようになった。

 ただ、起訴状に被害者名を明示する原則は変わっていない。裁判所と検察・弁護の法曹三者は、例外を認める見直しができないか検討を始めるべきだ。訴追のあとに再犯が起きる可能性が高いとき、被害者を氏名以外で特定しても支障がないケースはあるはずだ。

 実際、被害者の職場名と姓、親の氏名と「その長女」などで被害者を表した起訴状を裁判所が受け入れた例がある。

 起訴状の運用が事件ごとにまちまちになるようでは、司法の信頼性にも傷がついてしまう。統一したルールづくりを急がねばならない。

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カンボジア―改革の民意にこたえよ

 かつて悲惨な戦場だったカンボジアは、経済開発の時代を経て、今や民主化を求める若い芽が育ち始めている。

 20年以上も権力の座にあるフン・セン首相にとっては敗北に近い結果だろう。5年ぶりに行われた先月末の総選挙は、安定よりも改革を求める民意を浮き彫りにした。

 与党人民党は下院の過半数を守ったものの、議席を大きく減らした。サム・レンシー党首率いる野党救国党が躍進した。

 変化の波を巻きおこしたのは若者たちだ。選挙戦中に恩赦をうけ、亡命先から帰国したレンシー氏を熱狂的に迎え入れた。

 若い世代は、91年の和平合意前の内戦はもちろん、ポル・ポト政権下の大虐殺や飢えの悲劇も体験していない。

 苦難の時代を生きた親たちはなによりもまず平和と安定を望んだ。だが今回は、わいろのない公平な社会を望む若い世代に共鳴する声が広がった。

 フン・セン氏が首相になったのは85年。まだ30代の若さだった。和平合意後、国際支援を受けて経済発展に尽力した。一方で、行政や軍・警察、メディア、司法にまで支配の網を広げた。人権活動の弾圧など、近年は強権的な姿勢がめだつ。

 首相は今回の民意の変化を受け入れ、汚職を一掃する改革に踏み出すべきだ。野党への圧迫をやめ、国会を中心に建設的な議論を進めてほしい。

 カンボジアの民主主義の発展には日本も深い関係を持つ。

 92年から展開した国連平和維持活動(PKO)には、日本から自衛隊や警察とともに、選挙ボランティアが参加した。その一人、中田厚仁さんは凶弾に倒れたが、多くの仲間が遺志を継いで選挙の成功に奔走した。

 その後も貧困削減や地雷除去の活動地として、カンボジアは多くの人材を引きよせ、育ててきた。今回の選挙監視にも日本から多くの有志が加わった。

 東南アジア諸国と中国の争点になっている南シナ海の領有権問題では、フン・セン政権は中国寄りだ。中国の援助額は日本の倍にも達している。

 とはいえ、日本の経済支援には内戦前からの息長い取り組みがある。90年代からはベトナムからタイに抜ける道路や橋の整備を手がけ、日本企業の民間投資も活発になってきた。

 安倍首相は、自由や民主主義、人権の尊重をアジア外交の柱にする考えを示している。

 民主改革を求め、さらなる発展に向けて進もうとしているカンボジア国民の努力を、日本は官民で支えていきたい。

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