東日本大震災の復興予算が被災地と関連の薄い事業に使われているとして、国が地方自治体に返還を求めた問題で、県の四基金に交付された五十五億二千六十六万円のうち、未執行などで残っている計十二億四千四百三十六万円が返還対象となることが分かった。
内訳は、森林整備加速化・林業再生基金の八億四千六百万円が最も多く、緊急雇用創出事業基金は三億七千八百八十万円、自殺対策強化基金で千百九十万円、高校生修学支援基金が七百五十五万円。いずれも二〇一一、一二年度に復興予算から積み立てられた。
森林整備では、一二年度から三カ年の事業計画がすでに決まっており、来年度に予定する間伐や林業用作業道整備の分は使わずに返還する。県森林・林業経営課の担当者は「林業関係者も期待していたので残念だが、復興加速のためにはやむを得ない」と受け止める。
復興予算は、国の方針で被災地以外の事業にも使うことが認められていた。緊急雇用では、本年度までに県と市町で計千四百人を雇ったが、被災三県からの雇用は七人という。
鈴木英敬知事は六月の定例記者会見で、国の返還要請に対し「総論としてはやむを得ないが、そもそも制度設計の段階で(使途の)仕切りをしなかったことは疑問に思う」と話していた。
(安藤孝憲)
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