【東京】福島の子 三鷹で夏休み満喫 「子どもの楽校」3回目に23人
福島第一原発事故に伴う放射線の影響で外遊びに不安を抱く福島県の子どもたちを三鷹市の市民団体が招き、夏休みを満喫してもらう「三鷹子どもの楽校(がっこう)サマーキャンプ」が、八日まで二週間の日程で開かれている。二十三人の子どもたちがボランティアに支えられ、新たな発見の感動や達成感を共有しながら、かけがえのない夏を過ごしている。 (阿部博行) 「うれしいのはパンを作ったことです。今日は一番の日」。小学二年の男児はキャンプ四日目の日記にパン作りを体験した喜びを記した。先月二十六日の初日は「何か変な気がする」と親元を離れた不安をのぞかせたが、リラックスしてきた様子がうかがわれる。 原発事故が起きた二〇一一年、市民有志で発足した「三鷹子どもの楽校」が主催し、今回で三回目。口コミで評判が広まり、福島県小野町やいわき市、福島市、郡山市から、小学生二十人と中学生三人が参加している。 代表の加藤綾音さん(24)によると、「子どもの生活リズム」を第一に考えつつ、遊びを含むプログラムを子どもたちの話し合いで決めている。遊びは複数の選択肢が提案されるが、参加は自由だ。 公園や公営プールで遊んだり、ボール遊びや肝試し、キャンプファイアを楽しんだり、商店街の夏祭りに出かける子もいる。一方で屋内で地域のお年寄りから竹とんぼづくりを教わったり、読書をして過ごす子もいる。 合宿所は、活動を支援するスキンケア用品会社「あきゅらいず美養品」(三鷹市野崎)の社屋を利用。キャンプ経験豊富な市民や学生ら三十人が、ボランティアでキャンプリーダーなどのスタッフを務める。地域住民も食事や洗濯の世話を分担するなど協力している。百五十万円を超える運営費は企業や個人からの寄付金で賄う。 加藤さんは、福島の生活環境が決して普通ではないことを常に心にとめている。「お母さん方は『普通に外で遊ばせちゃっています』と話す。子どもたちは三鷹の子から『遊びに行くよ』と言われると、笑顔で『来ない方がいいよ』『大人はだめって言うよ』と応える。放射能を気にしながら日常のいろんなことを妥協せざるを得ない悲しさを感じる」 昨年のキャンプでは保護者から「たくましくなって帰ってきた」「入浴など一人でできることが増えた」「来年も行く気満々です」と感謝の言葉が寄せられた。 加藤さんは「子どもたちのおかげで地域交流も図られ、むしろ私たちの方が感謝している。残りの日々を楽しんでもらい、健やかな成長を願う保護者の期待に応えたい」と話している。 PR情報
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