H2B4号機 4日打ち上げへ8月3日 17時26分
国際宇宙ステーションに物資を運ぶ日本の宇宙輸送船「こうのとり」を載せたH2Bロケット4号機は、4日の早朝、鹿児島県の種子島宇宙センターから打ち上げられます。
機体はすでに発射地点に移動され、まもなく燃料の注入が始まる予定です。
日本の宇宙輸送船「こうのとり」を載せたH2Bロケット4号機は、3日午後1時すぎに組み立てられた建物から出され、およそ350メートル離れた発射地点に移動されました。
これまでのところ準備作業は順調に進んでいて、まもなく燃料の液体水素と液体酸素が機体に注入されることになっています。
「こうのとり」は高度およそ400キロの軌道を回る国際宇宙ステーションに物資を運ぶため日本が開発した無人の輸送船で、今回が4度目の打ち上げです。
ことし11月から宇宙ステーションに長期滞在する日本人宇宙飛行士、若田光一さんらが使う水や食料、実験装置のほか、すい星を撮影するための高性能カメラなど、合わせて5.4トンの荷物が積み込まれています。
「こうのとり」は4日の打ち上げ後、5日余りかけて宇宙ステーションに近づき、ドッキングする計画です。
今のところ発射場周辺の天候に問題はないということで、このまま準備が進めば、「こうのとり」を載せたH2Bロケット4号機は、4日の早朝、午前4時48分に打ち上げられます。
高性能カメラと若田さん
4日、H2Bロケットで宇宙に運ばれるカメラは、「アイソンすい星」を撮影するために開発された「超高感度4Kカメラ」と呼ばれるもので、ハイビジョンカメラの4倍の画素数があるカメラに特別な改造を加えています。
撮影を行うのは、ことし11月から国際宇宙ステーションに2度目の長期滞在をする日本人宇宙飛行士の若田光一さんです。
若田さんは、ロシアの宇宙船「ソユーズ」で国際宇宙ステーションへ向かい、およそ半年間、滞在する予定で、期間の後半には日本人として初めて、宇宙ステーションの船長を務めます。
若田さんが撮影する「アイソンすい星」は、11月29日に太陽に最も近づき、この100年で最も明るい満月ほどの明るさの大すい星になることが期待されています。
地上からでも肉眼で十分、観測できる見通しですが、日の出直前の地平線近くでしか見えません。
また、大気の揺らぎによる影響も受けます。
このため、今回、JAXAなどが行う宇宙空間からの撮影では、地上からは見ることができないような鮮明なすい星の映像が期待されています。
若田さんは先月末からすでに撮影の訓練を始めていて、「日本の優れた技術を使って撮影できることに本当にわくわくしている。宇宙からの映像を地上の多くの皆さんに見ていただきたい」と話しています。
アイソンすい星とは
ことし11月、太陽に最接近する「アイソンすい星」は、この100年の間で最も明るい、満月ほどの明るさの大すい星になると期待されていて、専門家は「誰にとっても『一生で一番のすい星』になるのではないか」と話しています。
「アイソンすい星」は、去年9月に国際的な観測チームによって発見され、チームの名前のアルファベットの頭文字からその名が付けられました。
ことし4月には、すでに、NASAのハッブル宇宙望遠鏡が尾を伸ばしているアイソンすい星の様子を捉えています。
すい星は現在、火星より遠く、木星より近い太陽からおよそ4億キロの場所にあります。
今後、太陽に近づくにつれ、熱にさらされて大量のちりやガスを吹き出し、尾はさらに明るく長くなる見込みです。
そして、太陽に最も接近することし11月29日には、この100年の間で最も明るい満月ほどの明るさの大すい星になると期待されています。
夜明け前の東の空を見れば肉眼で観察できるため、天文ファンだけでなく、一般の人でも十分、楽しめるということです。
ただし、太陽に最も接近している11月末ごろは、すい星の見え始める時間と日の出の時間が重なるため観測することが難しく、見頃は、1週間ほどたって太陽との距離が離れたころになりそうだということです。
「アイソンすい星」は、76年周期で太陽に近づく「ハレーすい星」のようなだ円軌道を描くのでなく、太陽には1度しか近づかない放物線の軌道のため、地球から見ることができるのは今回限りです。
国立天文台の渡部潤一副台長は、「これほど明るくなるすい星は、50年か100年に1つしかやって来ない。明るさや尾の長さから誰にとっても『一生で一番のすい星』になるのではないか」と話しています。
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