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映画の魔法,
2013/7/28
レビュー対象商品: オズ はじまりの戦い ブルーレイ+DVDセット [Blu-ray] (Blu-ray)
ストーリーは、想像を超えるような厚みのある展開はないのですが、ペテン師
的なただの手品師だったオズが、『オズの魔法使い』と呼ばれるようになるまで、
生まれて初めて誰かのために本気で戦う成長物語となっています。
映像は息を呑むほど美しく、デジタルとアナログの両方の技術を駆使した陶器
の少女や翼のある猿の動きは凄くリアルです。ミラ・クニス、レイチェル・ワイ
ズ、ミシェル・ウィリアムズの美女3人が着こなす衣装もまた見事。彼ら魅力的
なキャラクターたちとともに、ファンタジックに描かれています。
映像もさることながら、陶器の少女との出会のエピソードがとっても良かった。
悪い魔女たちの軍団に陶器の町が破壊され、少女は両親を失い泣いていた。彼女
自身も脚が折れて歩けないでいた....。明らかに彼女は現実世界、冒頭のサーカ
スのショウで足を直してくれと「車椅子の少女」の象徴でしょう。(声を演じて
いるのも同一人物)
彼女の登場は、彼の罪悪感の投影で、接着剤という『魔法』で彼女を歩けるよ
うにしてあげるのだ。このシーンから、俄然、感情移入というか物語に入り込む
ことができました。
主演のジェームス・フランコは、ジョニー・デップやブラッド・ピットのよう
なオーラはないですが、オズ役は見事にハマっていました。全体的にやる気のな
い雰囲気が醸し出されていて、ふと笑った時の顔がいい。
だけど何より嬉しいのは、壮大な闘いに挑むオズの奇想天外な作戦が、映画黎
明期の発明を利用した“映像マジック”だったこと。このあたりは、「ヒューゴ
の不思議な発明」と通じるものがあるかもしれません。科学と魔法が歩み寄った
とき、そこには思いもよらぬパワーが生まれる!!
武器など持ったことのない仲間たちと、本当は魔法なんて使えないオズが、創
意と工夫と知力で仕掛けるこの戦いが見事。このクライマックスこそ、『映画の
魔法』だ思わせるものでした。
物語は人間の善意を肯定する、いかにもディズニー映画らしいものですが、「
スパイダーマン」シリーズのサム・ライミ監督は、自分の中の善良な心に気付け
ば人はヒーローになれるのだというメッセージを込めているのでしょう。
続編がありそうなラストでしたが、次はドロシー登場となるんでしょうかね?
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