【ワシントン】米国防総省は米軍全域にわたる国防費の大幅な削減を計画し、それは米軍の世界展開にここ数世代で最も劇的な変化を及ぼすことになりそうだ。
ヘーゲル米国防長官は先月31日、国防費の強制削減実施に伴う同省が取り得る選択肢を示した。これには、陸軍兵力を現目標の49万人から、38万人規模に減らすことなどが含まれる。これは、クリントン政権終わりの現代の最低水準さえ下回ることになる。
ヘーゲル長官が提示した選択肢の1つでは、海軍は空母を2隻を失い、海兵隊は8000‐3万3000人が削減される可能性がある。また、空軍は爆撃機や輸送機が減らされる見込みだ。
地上部隊の縮小により、米軍はイラクでの長期的な暴動鎮圧作戦といった部隊を集中させる任務を増強することは非常に難しくなる見通しだ。アナリストたちは、支出削減によって軍の戦略と展開上、他にも変更が強いられる公算が大きいと指摘した。
米戦略予算評価センター(CSBA)のアンドリュー・クレピネビッチ所長は「私たちはわずかな変更について議論しているのではない。わが国の防衛体制の根本的な変化について議論しているのだ」と指摘した。
シークエスターとして知られる連邦予算の自動削減措置が継続される場合のみ、こうした最も深刻な国防費削減が実施されることになる。しかし、議会が強制削減を撤回する場合でさえ、米国防総省は最大5万人の陸軍兵力と90‐120の戦術機、そして、中古のC130輸送機を削減する計画だ。当局者は、空軍では、戦車攻撃用に設計されたA10機や中古のF16戦闘機の削減が最も大規模となるだろうとの見方を示した。
ある政府高官は、大幅な国防費削減がシークエスターの下での国防総省の最初の具体的な長期計画を意味すると指摘した。ヘーゲル長官は、米国防総省としては議会が強制削減を撤回することを期待しているが、自身が概要を示した削減方針は「ただの脅し」ではないと述べた。
国防関係の専門家は、今回示された削減の規模を米議員の多くが驚きを持って受け止めるだろうと指摘した。
退役陸軍大将で、通常オバマ政権に支持的なシンクタンクである新米国安全保障センターのシニアアドバイザー、デービッド・バルノ氏は、削減が陸軍に最も大きな影響を与えることになるが、それは陸軍の使命が現行の軍事戦略の下で変化しつつあるからだとの見方を示した。
ヘーゲル長官は、これほどの規模の削減に対する唯一の代案は、軍の近代化プログラムを撤廃することだと述べた。これは、ステルス戦闘爆撃機F35や海軍の艦船、その他の兵器プログラムの大幅縮小や廃止を意味する可能性がある。しかし、こうした削減は今回の報告では、選択肢として明確には説明されなかった。
ヘーゲル長官は「われわれが取る機能と能力、迅速さの間のバランス次第で、今後2年間の軍事力の構成と規模は決まってくる」と述べた。
ヘーゲル長官は、民間人労働力の削減をはじめとする効率性の追求など、国防総省は他のコスト削減策も進めていると明らかにした。しかし、こうした措置でも、米国の中核的軍事力の大幅削減は避けられないだろうとの見方を示した。
Hello
Your question to the Journal Community Your comments on articles will show your real name and not a username.Why?
Create a Journal Community profile to avoid this message in the future. (As a member you agree to use your real name when participating in the Journal Community)