「サウンド・オブ・ミュージック」は、一九五九年に初演されたミュージカルの名作です。「ドレミの歌」「エーデルワイス」などなじみ深い歌が多く、劇団四季の名古屋公演は夏休み中の子どもたちでにぎわっているようです。
舞台は第二次世界大戦直前のオーストリア。家庭教師マリアと大佐、子ども七人の心の交流が楽しく描かれていますが、次第にナチス・ドイツの手が迫り、迫害を恐れた一家は祖国を追われることになります。
実話に基づくこの作品を見終え、戦争の罪深さについて考えている時に飛び込んできたのが、改憲論議をめぐりナチス政権の「手口を学んだら」という麻生太郎副総理の発言でした。
本当に驚きました。ユダヤ人大虐殺などを引き起こしたナチスから、いったい何を学べと言うのかと。
内外の批判を受けて、副総理は三日後に「誤解を招いた」と発言を撤回。改憲について「落ち着いて議論することが重要」と説明しました。しかし当時の発言要旨を読む限り「うっかり失言」とは思えません。
半世紀以上にわたり各国で上演され、映画も制作されてきた世界の名作を、副総理にも一度かみしめていただきたいと思います。
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