柔軟剤:「高残香」タイプで体調不良を訴える人が増加

毎日新聞 2013年08月03日 11時40分(最終更新 08月03日 13時58分)

「香り」をうたった製品が多くを占める柔軟剤売り場。同じブランドで香り違いの製品が並び、数種類の柔軟剤を購入する消費者も少なくないという=2013年8月2日午前11時30分
「香り」をうたった製品が多くを占める柔軟剤売り場。同じブランドで香り違いの製品が並び、数種類の柔軟剤を購入する消費者も少なくないという=2013年8月2日午前11時30分
香りが長く続くタイプのある柔軟剤。ボトル裏の「使用量の目安」の下には「香りをもっと楽しみたい時は、好みに合わせて使用量を増やしてください」との注意書きもある
香りが長く続くタイプのある柔軟剤。ボトル裏の「使用量の目安」の下には「香りをもっと楽しみたい時は、好みに合わせて使用量を増やしてください」との注意書きもある

 洗濯に使われる柔軟剤の香りで体調不良を訴える人が増えている。国民生活センターによると、柔軟剤の香りで「鼻やのどが痛くなる」「気分が悪くなる」という相談は、2012年は48件と、09年の5件から急増した。最近の柔軟剤は香りが長く続く「高残香」タイプの製品が人気を呼んでいるが、関係者は過度の使用に注意を呼びかけている。

 シックハウス症候群や化学物質過敏症の患者を診ている札幌市のクリニックでは、電車やバスの中、隣の家などから来る柔軟剤の香りで体調不良を訴える患者が増えている。主な症状は、頭痛や吐き気、倦怠(けんたい)感など。渡辺一彦院長は「数年前まではほとんどなかった」と驚く。

 大手洗剤メーカーの担当者は、高残香タイプの柔軟剤について「昨年度は売り上げが前年度の1.4倍に伸びた」と話す。このメーカーは年2回の消費者アンケートで、柔軟剤購入の際に重視する点を尋ねているが、05年以降はほぼ一貫して「香りがよい」がトップ。柔軟剤本来の目的である「肌触りよく仕上がる」などを上回り、11年下期の調査では7割近くに上った。

 洗濯の際にメーカーが想定する使用量を上回る量の柔軟剤を使う消費者も多いという。別のメーカーの製品には「香りをもっと楽しみたい時は好みに合わせて使用量を増やして」と記載され、ウェブサイトで「使用量の目安の2倍程度を上限とする」とアドバイスを掲載している。

 一方、神奈川県が11年、国内外の柔軟剤15点を洗濯時の濃度に薄めて香りを調べたところ、香りの強さを示す臭気指数は、大半の製品で、県が定める住宅地での工場排水の規制値並みだった。

 厚生労働省のシックハウス問題に関する検討会委員の中井里史・横浜国立大教授(環境疫学)は「化学物質に過敏な人の大半は、たばこ臭と香料に耐えられない」と指摘。NPO法人「化学物質過敏症支援センター」の広田しのぶ事務局長も「たばこの臭いも、吸う人には快いが、非常につらく感じる人も多い。柔軟剤の香料も同じだと考えてほしい」と訴えている。【田村佳子、写真も】

 ◇ことば:高残香性柔軟剤

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