◇新日本プロレス G1クライマックス
棚橋弘至(右)に石井ドリラーをかける石井智宏=後楽園ホールで(中西祥子撮影)
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▽第2戦▽東京・後楽園ホール▽20選手▽観衆2015人(超満員札止め)
棚橋弘至(36)、オカダ・カズチカ(25)、中邑真輔(33)の優勝候補3人が、前日に続いてそろって敗れ、各リーグ1位だけが決勝に進める得点争いは序盤戦から混沌(こんとん)としてきた。棚橋は伏兵・石井智宏(37)に3カウントを奪われる大失態。オカダは後藤洋央紀(34)に完敗し、中邑も鈴木みのる(45)の術中にはまった。
誰も予想しなかった結末に、超満員の観衆が絶句した。2度目の優勝を目指す棚橋が、初日に続いて連敗。しかも、相手はV候補の下馬評にまったく挙がっていない石井。ショックは大きい。
石井は170センチ、100キロと、ヘビー級の中では小柄。師匠の長州力ばりの突貫ファイトで人気があるが、これまでシングル、タッグとも目立ったタイトル歴はない。棚橋から見れば格下だ。だが、後楽園ホールでは不思議と好勝負を繰り広げており、この日も全10試合のメーンイベントに抜てきされた。
試合中、棚橋は何度も首をかしげた。ドラゴンスープレックスやスリングブレイドなど得意技を何度も成功させたが、3つ目のカウントが奪えない。フィニッシュ技のハイフライフロー(ダイビング・ボディープレス)は2度ともかわされた。すべての手を出し尽くしても勝てず、ぼうぜんとしたところに、石井オリジナルの豪快なパイルドライバー「石井ドリラー」を浴びて立ち上がれなくなった。
大物食いに「当然の結果」と涼しい顔の石井に対し、棚橋は「調子は悪くない。集中力もある。どこかに突破口はあるはず」とだけ話して控室に消えた。決勝進出には最大で3敗程度まで許されるとみられているが、勝ちを計算できる相手に取りこぼしたことは大きい。3日の名古屋大会では、巨漢のデイビーボーイ・スミスJr.(米国)と対戦する。3連敗なら早くも崖っぷちだ。 (大西洋和)
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