日銀がマネタリーベースを毎日公表、透明性確保が狙い
[東京 2日 ロイター] - 日銀は現金と金融機関が日銀に預ける当座預金残高の合計であるマネタリーベース(資金供給量)を1日から毎日公表し始めた。4月に開始した「異次元緩和」で緩和度合いの目安を従来の金利からマネタリーベースに変更したのに伴い、これまで月1回だった公表頻度を高めた。マネタリーベースは日々の変動が大きいため、こまめに公表した方が緩和姿勢に対する不要な誤解を生まないとの判断もあったもよう。
異次元緩和は2%の物価上昇率を2年で達成するためにマネタリーベースを2倍にすることで、人々のインフレ期待を高める政策。巨額の国債購入などを通じて、3月末には146兆円だったマネタリーベースを、2013年末に200兆円、14年末に270兆円まで引き上げるのが目標だ。このため日々のマネタリーベースに関する問い合わせが増えたことに伴い、公表頻度を高めた。
1日に公表したマネタリーベースの7月31日の残高は173兆3100億円となり、直近で判明している6月末の173兆1250億円を上回って過去最高を更新した。
マネタリーベースの内訳の半分を占める当座預金残高は、財政資金や現金の動きで日々大きく振れるため、マネタリーベースも変動する。8月1日実績も173兆2100億円と前日比で減少に転じている。これまでは短期的な減少が緩和姿勢の後退と誤解されることもあり、毎日公表することで常に変動が大きいことが広く認知されれば誤解が解けるとの狙いもあったようだ。
なお、日銀は現在マネタリーベースを、「本年末の200兆円に向けて、幾分早めのペースで積み上げている」(黒田東彦総裁、7月29日講演)。6月は国債の大量償還などで季節的に増えるほか、4月と5月の金利急変時に日銀が多額の資金供給を行ったためだ。月平均で4月から7月までは毎月6.75兆円のペースで増加。8月以降は月5.4兆円増のペースで年末200兆円の目標を達成できる計算だ。
(ロイターニュース 竹本 能文 編集;佐々木美和)
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