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2008年8月11日

 「天才バカボン」「ひみつのアッコちゃん」を読み育った世代の一人として、漫画家の赤塚不二夫さんの死は一つの時代が終わった感がある。漫画好きの自民党幹事長、麻生太郎氏の「残念だ。『おそ松くん』に登場するイヤミの『シェーッ』を見た時には、正直言って笑った」との談話に同感
▼その麻生氏が先日、民主党をナチス・ドイツに例え「かつてドイツはナチスに一回(政権を)やらせようとなって、ああいうことになった」と述べたのは、まったく笑えない話だ
▼ヒトラーが権力を握ったのは、選挙で国民がナチスに政権を託したからではない。国民はナチスに絶対多数を与えなかったが、ワイマル共和国大統領ヒンデンブルクが彼を首相に任命した
▼当時、共和国内部で権力闘争があり、ヒンデンブルクの側近が、ヒトラーを首相にしても彼を抑え込むことができると説いて、反対する老大統領に承認させたという(林健太郎「ワイマル共和国」)
▼だが、首相に就くやヒトラーは、テロをはじめ法と秩序を無視して全権を握り、ナチス以外の政党を禁止し、一党独裁を確立。当時最も民主的な憲法を持ったワイマル共和国を壊した
▼こうしてみると、麻生発言は歴史的事実を正確に踏まえていないのではないか。言葉は政治家の命。赤塚さんだって「これでいいのだ」とは言わないだろう。


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