はだしのゲン:英語版入門書を出版
毎日新聞 2013年08月02日 21時32分
漫画家の故・中沢啓治さんが広島での被爆体験を基に描いた「はだしのゲン」の英語版全10巻から名場面を選び、英語とともに平和の大切さを学べる単行本「『はだしのゲン』を英語で読む」(A5判304ページ、税込み1680円)が、毎日新聞社から出版された。同名の講座を2010年10月から2年間、計90回開催した毎日文化センター広島(広島市中区)が編集。87シーンを見開きで掲載し、各章のあらすじ、読み進めるのに必要な単語、心に残る表現などを紹介した。
本の元になった講座は、09年夏に完訳された英語版の読書会。広島市に住む通訳ガイド、柏博子さん(57)が単語や表現、擬音語、擬態語などを細かく分析して指導した。全10巻を完読した昨年10月23日の講座には、中沢さんと妻ミサヨさん(70)が参加し、中沢さんは「ゲンが英語を話したね」と喜んだ。中沢さんは2カ月後に73歳で亡くなった。
英語版を翻訳した市民グループ「プロジェクト・ゲン」(金沢市)の浅妻南海江(なみえ)代表は「英語版自体が難しいと思う人には『第0巻』と言える入門書」と評価し、ミサヨさんは「中学生や高校生に、ぜひ読んでほしい」と話している。【山口一朗】