広島、長崎での被爆者が原爆症と認めない国の処分の取り消しなどを求めた集団訴訟の判決が2日、大阪地裁であった。山田明裁判長(西田隆裕裁判長代読)は原爆症の認定を求める8人全員の訴えを認め、国の処分を取り消した。この8人と提訴後に国から認定された1人が求めた計約2500万円の国家賠償請求については退けた。
原爆症認定訴訟をめぐっては、国が条件を緩和した新基準を2008年に導入し、09年8月には新たな救済措置を設けて訴訟を終わらせることで被爆者団体と確認書を交わした。だが、その後も却下が相次ぎ、被爆者らが8地裁で提訴。昨春の大阪1次訴訟の判決も2人の処分を取り消しており、改めて国の認定のあり方が問われることになる。
今回の原告は原爆投下時に広島や長崎にいたり、投下後に被爆地に入って「入市被爆」したりしたという70〜80代の9人(提訴後1人死亡)。放射線の影響で心筋梗塞(こうそく)や甲状腺機能低下症になったとして、06〜08年に原爆症と認めるよう申請したが、うち8人は新基準に基づき却下された。