戦場となった国も「日本はもう謝罪する必要はない」
中国と韓国を除くアジア諸国の日本への友好姿勢は、7月中旬に公表された米国の調査機関「ピュー・リサーチ・センター」の各国世論調査でも、いやというほど裏づけられていた。
対象となったのは中国、韓国、マレーシア、インドネシア、フィリピン、パキスタン、オーストラリアと、アジア・太平洋地域の計7カ国である。
そのうち「日本の印象」ではマレーシア、インドネシア、フィリピン、オーストラリアなどで80%前後が「よい」と答えた。ところが中国では逆に90%が、韓国では77%が「悪い」と答えたのだという。
「日本は戦争行動に対して十分に謝罪したと思うか」という問いに対しては、フィリピン、マレーシア、インドネシア、オーストラリアなどが「十分に謝罪した」「もう謝罪する必要はない」という答えが圧倒的多数派となった。他方、中韓両国は「日本は十分に謝っていない」が7~8割以上となる。回答が極端に分かれているのである。
しかし特に目を引かれるのは、戦時中に日本軍が多数攻めこんで、戦場となり、多大な犠牲を出したフィリピン、マレーシア、インドネシアなどという諸国で「もう日本はこれ以上、謝罪する必要はない」という答えが多数派を占めることである。
その一方、そもそも日本と戦争をしたこともない韓国が日本の閣僚の靖国参拝に猛反対し、「日本は侵略戦争を反省せず、美化している」などと断じている。
戦争の美化や正当化を非難する声は、本来、日本軍の進撃や占領を受けた諸国からより強く、長く起きるべきである。日本軍の戦場となった諸国からこそ「日本の軍事行動」に起因する非難が強くぶつけられて然るべきなのだ。ところが現実は逆である。
フィリピンやインドネシアでは、日本軍が米軍やオランダ軍と死闘を展開した。フィリピン人やインドネシア人も日本軍に戦いを挑んだ。日本の歴史認識を問題視する傾向が激しくてもおかしくない。だが実際にはこれらの国では「日本には戦争への反省や謝罪が足りない」という声はほとんどで出てこない。靖国参拝に関しても同様である。
-
自民党の大勝利を米国メディアはどう伝えたのか (2013.07.24)
-
米中戦略・経済対話で米国を見下ろす中国 (2013.07.17)
-
勝手放題がエスカレートする中国の海洋戦略 (2013.07.10)
-
「北朝鮮への拠点爆撃を実行せよ」核攻撃の脅威に元CIA長官が対応策を主張 (2013.07.03)
-
中国当局がニューヨーク大学に圧力?学内にいられなくなった中国の人権活動家 (2013.06.26)
-
日本の政治家の靖国参拝が「正しい」理由 (2013.06.19)
-
「サイバー攻撃」問題提起も成果なし、米国内で「米中首脳会談は大失敗」との声 (2013.06.12)
-
米軍の宇宙システムを標的にする中国 (2013.06.05)
-
日米同盟にとって「現状維持」は危険 (2013.05.29)