問われる東電救済の意義 実質国有化から1年、増える国民負担 (2/4ページ)

2013.7.31 06:15

 安価な燃料調達や作業工程の見直しといった工夫で、2012年度のコスト削減額を目標より約1400億円増やすなど、成果はすでに出始めている。広瀬直己社長も「まだ評価できる段階ではないが、『変えるんだ』というメッセージを矢継ぎ早に打ち出すことはできた」と話す。

 従来の東電にはなかった顧客目線での改革も進む。5月に生活スタイルの多様化に合わせた選びやすい割引料金プランを導入。加入は6月末時点で約1万件に達し、「まずまずの反応」(担当者)を感じている。

 実質国有化された東電は政府が目指す電力システム改革の“先兵”も努める。「火力・燃料」「送配電」「小売り」の社内カンパニー制を4月から導入した。発電事業と送電事業を別会社に分けて電力会社の地域独占を崩す「発送電分離」を先取りする狙いがあり、将来は競争活発化による電気料金値下げなどのメリットが想定される。

 しかし、足元では電気料金の上昇が続く。柏崎刈羽原発(新潟県)の長期停止を受けた昨年9月の家庭向け料金値上げに加え、円安で液化天然ガス(LNG)など燃料の輸入価格も上昇。管内の9月の料金は標準的な使用量の家庭で前月比26円増の8004円となり、5カ月連続で過去最高を更新する。

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