東電:4-6月期純利益は4379億円-交付金寄与、引き続き燃料費重し
8月1日(ブルームバーグ): 東京電力 は31日、2013年4-6月期の純利益が4379億円だったと発表した。前年同期は2884億円の赤字だった。黒字になったのは原子力損害賠償支援機構から原発事故の損害賠償資金として受けた交付金6662億円を特別利益として計上したため。
一方で、4-6月期の営業損失は235億円(前年同期は1088億円の赤字)、経常損失は295億円(同1243億円の赤字)だった。赤字幅の縮小は、料金の値上げで電気料金収入が約1000億円増えたことや、人件費や修繕費などの費用を削減したことによるもの。しかし、燃料費の負担は依然として重く、柏崎刈羽原子力発電所の運転再開に向けた取り組みが進展しない中で経営に影を落とした。
広瀬直己社長は都内で会見し、「費用のうち一番大きいのは燃料費。原発が全機停止しているので、燃料費のウエートが大きくなる」と話した。広瀬氏は、東北電力など他社からの電力購入を増やしたことに加え、常陸那珂火力発電所や広野火力発電所で計160万キロワット相当の石炭火力が4月に発電を開始したことで燃料費を1000億円削減できたと説明。しかし為替レートが円安となったことで、燃料費は前年同期比で「117億円増えてしまった」と指摘した。
31日までに電力10社が4-6月期の決算を発表したが、東電以外にも関西電力や中部電力など7社が円安による燃料費の増加に直面した。ブルームバーグ・ニュースが各社発表の資料を元に試算した10社の4-6月期の燃料費は2.7%増の1兆7028億円となった。
広瀬氏は、昨年5月に策定した総合特別事業計画で示した今期の黒字化という目標を堅持する考えをあらためて表明。「いろんな工夫から燃料費を削減することをやっている」と強調した。
柏崎刈羽が黒字化の鍵広瀬氏は柏崎刈羽原発の再開なしでの黒字化は難しいとの認識を示し、再開の第一歩となる原子力規制委員会への安全審査申請を可能にするため、新潟県の泉田裕彦知事など地元首長の理解を得たい考えだと話した。
広瀬氏は泉田知事と7月5日に会談したものの、物別れに終わった。同氏は「知事の主張とわれわれの主張を擦り合わせて着地点が見えれば」と今後の協議の成り行きに期待を示した。次の会談を待たずに申請する可能性については「そんなことのないよう、まずはお会いできる機会を設定させていただきたい」と話した。
東電は柏崎刈羽原発の再稼働時期が見通せないとし、14年度上期や通期の業績予想の発表を引き続き見送っている。
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更新日時: 2013/08/01 00:00 JST