2013年07月26日(金) 08時05分57秒

【28カ月目の福島はいま】自宅除染は済んだけれど…消えぬ息子の被曝不安~二本松市

テーマ:被曝

5カ月ぶりに訪れた二本松市の民家は、宅地除染が終わり、放射線量が低減していた。しかし、庭に埋めたフレコンバッグの耐用年数は3年と言われ、隣家との関係もギクシャクしたまま。3人の息子のうち1人は内部被曝線量が高く健康被害への不安が募る。宅地除染が済めば終わり、ではない現実がそこにはあった。



【自宅除染に参加した10代の2人】

今まで洗濯物を干せなかった場所に干せるようになった。

「少し安心しました」と母親(49)は笑顔を見せた。

除染作業は5月下旬、6日間にわたって行われた。作業員は6人。うち4人は会津若松市、残りの2人は郡山市の男性だった。驚いたのは、郡山市の2人が18歳と19歳だったことだ。

「18歳の男の子は、既に結婚していて今年、子どもが生まれたんだそうです。被曝は気にならないの?って尋ねたら『気になんねえ、嫁も気にしてねえ』って。ため息が出ました。そんな若い人が除染作業をしているなんて」

さらに驚いたのは、6人が作業着のままワンボクスカーに乗り込み、帰って行ったことだった。息子の衣服を常に二度洗いをしている母親にとっては、信じがたい光景だった。

2月に訪れた際、10μSVを軽く超えていた雨どい直下も、除染作業によって0.3μSVにまで低減した。「それでも0.3はあるんですけどね」と苦笑する母親。取り除いた土などの汚染物は、25袋のフレコンバッグに入れられて自宅敷地内の花畑だった場所に埋められた。「何でも、そのフレコンバッグは3年間しか耐久性が無いらしいんです。大丈夫かしら…。ブルーシートを敷いているとはいえ、地下水が湧いてくるような土地ですから」。

そして、何より残念なのが、隣家の反応だった。

汚染物を埋めた土地の横は、隣家のベランダ。埋め立てが終わると、隣家の奥さんがつぶやいた。

「もう、洗濯物を干せなくなっちゃった。ショック」

戸がピシャリと音をたてて閉められた。「ウチが汚染物質をバラまいたのならともかく、何も悪くないのに…」。今も隣家とはギクシャクしたままだ。
民の声新聞-①二本松市の宅地除染
民の声新聞-②二本松市の宅地除染
(上)10μSVを超えていた雨どい直下は、大幅に

放射線量が低減された。しかし、それでも0.3μSV

を上回っている

(下)除去した汚染物は、敷地内の花畑だった場所

に埋められた。すぐ横は隣家のベランダ。除染以降、

隣家との関係はギクシャクしているという



【次男の内部被曝線量は4332Bq】

一番の気がかりは、中学3年生、短大生、社会人の3人の息子の体調だ。

特に東京の短大に通う次男は、3人の中で最も内部被曝線量が高かった。今年2月下旬に受けたホールボディカウンター(WBC)検査で、放射性カリウムが5299ベクレル、放射性セシウム134は4332ベクレルだった。放射性セシウム137は下限値(210-250ベクレル)以下だった。長男の放射性セシウム134=26.66ベクレル、三男の同=15.05ベクレルと比べると、その高さが分かる。

「陸上部員だったので、原発事故のあった3月も、よく屋外を走っていました。他の2人はあまり屋外に出なかったから、その影響でしょう。健康被害が出なければ良いのですが」

また、将来の結婚への心配も少なくないという。

「福島出身だということで結婚してもらえないんじゃないかと、気がかりです。風評被害とは思わないけど…」
民の声新聞-③二本松市の宅地除染

自宅の除染は済んだものの、一歩敷地外に出れば

ホットスポットが点在する=二本松市油井

【東京では原発事故はもはや他人事か】

兼業農家。米は30kg換算で60袋生産する。県の全袋検査の結果、これまでに100ベクレルを超す放射性セシウムは検出されていない。横浜のレストランで使ってもらえることも決まった。「すごく美味しいと言ってくれたんです」と表情が和らぐ。一方、流通はさせていないが、豆やキュウリ、ナスなども生産している。こちらは、一部の野菜が100ベクレルを超したこともあった。祖母は「なんだか畑仕事をやる気が起きなくてね」と苦笑する。

「原発事故はまだ終わっていないんです。福島では、ローカルニュースは必ずと言っていいくらいに原発関連のニュースから始まります。東京ではどうですか?そんなこと無いでしょう。他人事なんでしょうね」

原発事故は現在進行形…。母親は何度も繰り返した。

(了)

PR

コメント

[コメントをする]

1 ■無題

今から夏休みで子ども達と福島の家に帰ります。家に帰るはうれしうけど。汚染地かと思うと複雑です。

2 ■無題

私が出向している避難世帯に対する自立支援事業ボランティア活動も2年が過ぎましたが、そんな私たちに対し
「まだそんなことやってるの?」的な声を時々耳にします。
悲しいことですが、すでに関東では過去の惨事として忘れ去られようとしています。

3 ■ありえない

半減期2年のセシウム134が4332ベクレルなのに半減期30年のセシウム137は下限値(210-250ベクレル)以下とか、物理的にありえない数字を出していては、信頼性ゼロですよ。

4 ■誤検出

JJさんに同意. このWBC較正できてないと思いますよ.
よければどこのWBCか教えてもらえませんか?

5 ■勉強不足では?

 写真にあるように、GM管の測定器で地面近くを測定してはβ線を拾います。精度も高い機器ではありません。きちんと校正されたエネルギー補償つきシンチレータを使いましょう。

WBCのK40が5000Bq/bodyを超えるとは、それはとても大柄か?大きな方でなければありえません。おおよそ男性なら3500Bq±500Bq前後です。100人近くのWBCのデータを見て来ましたが一度も5000Bqありません。また、Cs134だけ検出されるということも一度もありません。
 今年2月となれば、すでに2年近くたっている。ほぼ震災後の食事の被ばくだ。
 食事が同じであれば、ほぼ兄弟で同じ結果になる。
 このような事柄、WBCの担当者が間違えているなら、その測定と測定者はヤブである。
 また、そのような内容を検証もなく、記事の載せるのは、三流のライターで勉強不足だ。
 このような記事の為に福島の復興が遠のく!

コメント投稿

気になるキーワード

    アメーバID登録して、ブログをつくろう! powered by Ameba (アメーバ)|ブログを中心とした登録無料サイト