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「あり得ない」5農協困惑 山形・コメ手数料カルテル疑惑

資料を運び出す公取委の検査官ら=30日午後7時ごろ、酒田市の庄内みどり農協

 コメの販売手数料カルテル疑惑で30日、公正取引委員会の立ち入り調査を受けた山形県庄内地方の5農協からは、販売額に応じた定率制から定額制に移行した時期が異なることなどから「カルテルはあり得ない。何が問題なのか分からない」と困惑する声が上がった。公取委はコメ価格が下落する中、手数料収入減に歯止めをかけようとする農協の思惑があるとみて調査を進める。

 関係者によると、販売手数料(60キロ当たり)は、庄内みどり農協(酒田市)410円、あまるめ農協(庄内町)415円など。5農協の手数料は、販売額の2.7パーセントとする定率制が続いていたが、2010年前後に定額制に移行した。農協関係者は「コメの価格が乱高下し、農家も農協も安定して収益が計算できる定額制への要望が高まった」と説明する。
 手数料額は総代会などの合意を得る必要があり、庄内みどり農協の場合は11年度に定額制移行を提案したが総代会が反対し、12年度に導入した。あまるめ農協は11年度に定額制を取り入れたといい、庄内みどり農協の職員は「金額は総代の了承が必要で農協が勝手に決めることはできない。カルテルはあり得ず、何を問題としているのか分からない」と首をひねる。
 酒田市の60代の農業男性は「農協へのコメ出荷経費は、保管料や輸送料などさまざまな要素が関係する。販売手数料が多少違うからといって、出資もしていない農協に出荷先を変えることはない」と指摘する。
 需要減少や供給過剰によりコメの価格は下落傾向にある。農林水産省によると、10年産米は、農協など出荷業者と卸売業者との間の平均取引価格が1俵(60キロ)1万2711円で、06年の公表以降最低だった。
 農業関係者によると、売上額に応じた販売手数料では収入が減るため、全国の農協が数年前から取引価格に関係のない定額制に切り替え始めた。
 公取委は5農協もこうした背景で定額制に移行する際、関係者が話し合って金額まで決めた疑いがあるとみている。

◎なぜ庄内、なぜ今/参院選影響?広がる臆測

 コメの販売手数料カルテル疑惑で、公正取引委員会が山形県内5農協などを立ち入り検査した30日、農協関係者の間には「なぜ山形・庄内にこの時期に?」との疑問と臆測が広がった。
 念頭にあるのは、21日に投開票された参院選山形選挙区をめぐり、県農協政治連盟が環太平洋連携協定(TPP)に反対する野党候補(落選)を推薦した対応だ。県内のある農協幹部は「農政連に反発した者が通報したのだろう。タイミングが良すぎる」と指摘、「公取委は情報があれば調査しなければいけないから」と話した。
 山形選挙区では自民党候補がわずか2万票差で接戦を制した。ただ、市町村別の得票をみると、立ち入り検査を受けた庄内たがわ、鶴岡両農協の地元鶴岡市では自民候補が約7500票差で上回ったのに対し、山形市は約1500票差で負けた。
 庄内地方の農協関係者は「参院選絡みなら、野党候補が一部で勝った内陸が標的となるはず。庄内はコメどころという点で象徴的だったのではないか」と推測した。


2013年07月31日水曜日


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