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◆巨人6x―5ヤクルト(1日・東京ドーム) 高橋由が接戦にケリをつけた。同点の9回2死一、三塁、代打で出ると、2年ぶりのサヨナラ打を中前に運び、今季7度目のサヨナラ勝ち。阿部と村田に今季6度目のアベック弾が飛び出すなど、打線の勢いは止まらない。2位の阪神が中日に敗れたため、ゲーム差は今季最大を更新する7・5。2日からの直接対決で連勝すれば、3日にもVマジック「43」が点灯する。
落ちてくれ!! 祈るような思いで走りだした。地鳴りのような大歓声の中、緩やかに飛んだ打球が中前に落ちた。サヨナラだ。高橋由は一塁を蹴って右手を掲げ、喜びを爆発させた。すぐにナインに囲まれ、水やコーラを容赦なくかけられた。「落ちてくれと思っていた。ここで決めたいという思いが強かった」。ベトベトになったユニホームも気にせず、満面の笑みでハイタッチを繰り返した。
同点の9回、阿部が敬遠され2死一、三塁となったところで、代打で出番が回ってきた。初球は外角に大きく外れたが「勝負しかないと思った」と集中。3球目の内角カットボールを打ち返した。サヨナラ打は自身2年ぶり7本目。「橋本が送れば勇人が決めるか、慎之助が歩かされて回ってくるなと」と、先頭の長野がヒットで出た時点でスイッチを入れていた。
左ふくらはぎ肉離れのため2軍でリハビリ中、普段から熱心に応援してくれているファンの一人が入院したと聞いた。すぐにサイン色紙に「確固不抜」と激励のメッセージを書いて贈ったが、7月5日のDeNA戦(東京D)で今季1号を放ったその日に亡くなった。すい臓がんの大病だったという。翌朝、訃報を聞くと「えっ、本当ですか」と絶句。家族からは「由伸さんのおかげで闘病生活を頑張れた。頑張ってください」と逆にエールを送られ、活躍を胸に誓っていた。
チームは後半戦、若手の台頭もあって好調。オフに一緒に自主トレを行う中井の活躍には「刺激にもなるし、頼もしさもある」と発奮材料になっている。最近は、代打で待機する試合が多いが「それはそれでそういう場面(チャンス)で何とかしてくれるんじゃないかという期待だと思ってやるよ」。まさに一振りで主役になった。
2カード連続3タテで2位・阪神とのゲーム差を7・5に広げた。マジック点灯は目前だ。原監督は「由伸? 最後の攻撃というところで切り札としてよく打ってくれた」と絶賛した。「若い力がうまくかみ合えばそう(好調に)なると思う」。ヒーローは、歓喜のシャワーがにじんだユニホームを照れくさそうに見つめた。
(2013年8月2日06時05分 スポーツ報知)
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