【ＢＯＸ】江藤、暫定王座奪取！タイで日本人初の大金星！

ポープラムック（左）を攻める江藤（共同）

　◆ボクシング世界戦　ＷＢＡ世界フライ級暫定タイトルマッチ　○江藤光喜（判定　３―０）コンパヤック・ポープラムック●（１日・バンコク）　ＷＢＡ世界フライ級７位の江藤光喜（２５）＝白井・具志堅＝が、日本人未勝利の敵地タイで大金星だ！　同級暫定王者コンパヤック・ポープラムック（３１）＝タイ＝を３―０の小差判定で下し、王座奪取に成功した。打撃戦を展開し、最終１２回に連打でダウンを奪って勝利を決定づけた。日本人はタイでの世界戦で１９戦目で初勝利。江藤は元世界王者で所属ジムの具志堅用高会長（５８）が育てた初の男子世界王者となった。江藤の戦績は１７戦１４勝（１０ＫＯ）２敗１分け。

　敵地のリングで「新王者」とコールされると、江藤は涙を流して絶叫した。「技術は関係なしに最後まで諦めないと思った。それだけ」。採点は１１４―１１３が２人、１１６―１１１が１人の３―０の勝利。１９６３年１月にファイティング原田がバンコクでの世界フライ級王座の初防衛戦でポーン・キングピッチに判定負けして以来、日本人選手は１８戦して１分け１７敗。５０年続いた負の連鎖をノーマークの江藤が断ち切った。

　最終１２回、元ＷＢＣ世界ライトフライ級王者でもあったコンパヤックに対し、猛然と襲いかかった。「打ち合って負けたら、負け」と手数を増して連打を浴びせ、疲労の色が濃い王者からダウンを奪った。ダウンがなければ結果は逆。執念が実った勝利だった。

　亀田だけじゃない、こちらも「３兄弟」だ。２００５年に具志堅会長と同郷の沖縄で生まれた双子の弟でスーパーフライ級世界ランカーの大喜（２５）、末弟の伸吾（２４）と上京し、白井・具志堅ジムに入門。３人で競うようにしのぎを削り、亀田３兄弟と同じように長男が初めに世界王座を手にした。

　都内でテレビ番組の収録後に吉報を聞いたという具志堅会長は「タイではよっぽどでないと勝てないからうれしいなあ。涙が出そう。僕と同じＷＢＡだもん」と、かつて自らがライトフライ級で１３度防衛したＷＢＡの黒色のベルトを手にした江藤の金星を喜んだ。

　日本ボクシングコミッション（ＪＢＣ）は乱立傾向にあるＷＢＡの暫定王座を認めておらず、国内で防衛戦はできない。ＪＢＣでは江藤を国内で王者として認めるかは今後検討するとしている。具志堅会長は「正規王者に挑戦させたい。この調子ならどこの国でやっても大丈夫」と意欲。本人も「絶対（正規の）世界王者になってみせる」と勇ましかった。江藤は２日、タイから帰国する。

　◆江藤　光喜（えとう・こうき）１９８８年２月８日生まれ。２５歳。沖縄・本部町生まれ。北部農林高２年でボクシングを始める。双子の弟の大喜（たいき、２５）、末弟の伸吾（２４）と上京し、０８年８月に１回ＫＯ勝ちでプロデビュー。尊敬する選手は元世界３階級王者のアレクシス・アルゲリョ（ニカラグア）。身長１７２センチの右ボクサーファイター。