対象:ペットのしつけ・訓練
アルファシンドロームは正しい?
2007/03/17 23:52イアン・ダンバー、テリー・ライアンなど日本でも著名な行動学者やトレーナーは、今は「アルファシンドローム」という考え方に否定的な意見のようですが、実際のところはどうなんでしょうか?先生方はどうお考えですか?
わらびもちさん
回答:9件
α-シンドロームは正しいか?
私は学者ではありませんので、私自身の経験からお答えするしかありませんが、過去にはα-シンドロームの症状の犬を百頭以上も訓練してきました。
つまり、自分(犬)の要求を通すために手や足に穴が開くほど噛む犬、威嚇的に吠えて触らせない犬など。
実際、犬を家族の一番下位にすることと、犬を上位にさせない為の接し方をアドバイスすることで、良い結果が出ています。噛まれるのが怖くて触れなかった飼い主さんが、どこを触られても嬉しがっている犬を見て喜んでいる姿を見るのは、こちらもうれしいものです。
こんなことを言ったら怒られるかもしれませんが、私は学者さんの言うことがすべて正しいとは思ってません。
私も色々な本を読んできました。中には、「犬の行動はすべて反射行動で、そこに意思はない」と言う学者もいました。そこには宗教も絡んでいて、「犬に意思があると認めると、犬も天国にいけるということになる。それは許されることではない」と言う理由で、犬に意思はないと結論づける学者もいるからです。そして言う事はみんなバラバラだからです。
ただ、犬は群れで行動する動物である事は間違いありませんし、群れで行動するからにはそこにはリーダーが存在することも自然の流れです。そしてリーダーの座から降ろしてあげたことで、精神的に落ち着いてきた犬を百頭以上も見ている経験から、α-シンドロームはあるんじゃないですか?って感じです。
学者の見解で訓練法がガラッと変わる訳でもありません。ドッグ・トレーナーは創意工夫をして、その犬に合った訓練法を常に考え、研究していくことが大事だと思っています。
補足
あまり情報に振り回されない方が良いと思いますよ。
α-シンドロームの定義があってもなくても、犬の訓練やしつけの方法は、生活環境や犬の性格・性質で千差万別。著名な方のしつけ方も、その方法の一つに過ぎません。
一番大切なのは、その犬の性格・性質を見極めて、根本的な解決に導くことです。
それから、私のα-シンドロームについての認識不足については、コラムの「α-シンドロームについて」で、お詫びと訂正をしています。
回答専門家
- 渡部 真也
- (東京都 / しつけインストラクター)
- ワタナベ・ドッグ・トレーニング
超大型犬、成犬、訓練を断られてしまっても、私にご相談ください
「楽しい愛犬とのライフスタイルを、飼い主さんと一緒に構築していく」をモットーに活動しています。犬の個々の性格に合わせた訓練法で、飼い主さんと愛犬とが理想の関係に近づけるように訓練し、アドバイスをしていきます。
α-シンドローム
数年前のセミナーで、イアン・ダンバーは「犬が問題行動を起こすのは、自分がリーダーだと感じているから(=α-シンドローム)ではなく、自分のランクが決まらないことによる」と言っていました。
確かにα-シンドロームという考え方では説明できないケースもあったので、当時の私はこれを聞いて「ほぉ〜」と思いました。
ただその後の私の経験で、α-シンドロームと考えられるケースもありましたし、ダンバー先生が言っていたようなケースもありました。
ですから、私は否定はしません。
この議論は「α-シンドロームが正しいor間違っている」ということが重要なのではなく、「α-シンドロームという一言で犬の問題を片付けてはいけない」ということなのだと思います。
回答専門家
- 小川 亜紀子
- (しつけインストラクター)
- Dog Signal
問題行動の解決は飼主の意識改革から。しつけのコツを伝授します
愛犬の問題行動は飼主さんの接し方にあると言われていますが、実際にどのような接し方が正しいのかは分かりにくいと思います。飼主さんが愛犬と日々楽しい生活を送れるように、適切なしつけ方・接し方をアドバイスしています。
川野 なおこ
しつけインストラクター
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アルファシンドロームは正しい?
最近、アルファーシンドロームや群れ理論(パックリーダー論)自体が、違うのでは??と、
言われている事は確かですね。
それらの、最近の考えの傾向を知らないわけではなく、
知った上で、あえて、群れ理論(パックリーダー論)を
かざすトレーナー、専門家の方もいらっしゃると思います。
私は、、以前は、比較的後者でしたけど、、
現在は、肯定も否定もしません。(中途半端でごめんない。。)
結局のところ、アルファシンドロームを肯定するも、否定するも人間が決めた事。実際のところは犬に聞いてみないとそんな事分からないからです。
学者の方が出す結論は、膨大な実験結果からの結論。
でも、100%の確率を示す結果なんて殆どありえない。統計の範囲でしかないとう事。
アルファシンドロームに限らずですが、、
国内外の論文等色々な文献を読ませて頂いても、
最終的には「まだ解明されていない部分も多々ある」というフレーズの多いこと、多いこと。
そして、傾向、考え方は変化してゆきます。
いつの時代も。
あまり、深く考えすぎないで、シンプルに考えられた方が良いのでは?
中西 典子
しつけインストラクター
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私自身が感じること
アルファシンドロームという言葉は知っていますが、
私自身、本当のところはきちんと理解できていない気がします。
なので、問題行動改善の仕事でお客さま先に伺い、
感じていることを書きます。
実際、愛犬の足を拭こうとする、寝ているところを動かす
程度のことで噛まれて流血している飼い主さんたちがたくさん
いらっしゃいます。
足を拭く程度のことでしたら、それほど犬に嫌な思いをさせる
訳ではないと思いますので、なんでなんだろう?と疑問に思います。
そういう愛犬と飼い主さん場合、決まって、犬が嫌がることは
ほとんどすべて、やろうとすると噛まれたり、威嚇されたり
してしまいます。
他人がやると、やらせてくれる場合も多いです。
それって、どういう意味なのでしょう?
我が家の群は、4頭のシュナウザーと私という構成です。
決して特別に穏やかな性質の子ばかりだとは思えませんが、
足を拭く、寝ているところを動かす、爪を切る、耳を掃除する
歯を磨く、目薬をさす、注射をする、トリミングをする、
彼らに対してできないことはありません。
私は自分が犬たちから一目おかれている、と感じることがあります。
ボスだと実感することも、多々あります。
そう考えると、「アルファシンドローム」という言葉を
ただ否定する気にはなれなかったりします。
もちろん、アルファシンドロームは、犬の問題ではなく、
まったくもって飼い主さんの問題だと思いますので、
「アルファシンドロームと呼ばれる犬を作り出してしまう
飼い主さんシンドローム!」
と呼ぶ方が、私にはしっくりきます。
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アルファシンドロームは古い考え方ですね。
犬はオオカミと同じ生態を持ち、オオカミの群れにアルファ(第一位の存在)がいるように犬の群れにもアルファが存在し、飼い主と暮らし始めた犬は飼い主家族を群れと認識し、その群れのアルファの言うことには従うが自分より下と見たもののいうことには従わない、家族の中でアルファがいない場合は自分がアルファになろうとする。
犬の問題行動の多くは、家族という群れの中で地位を高く感じているか、その地位を高めようとして起きる。
自分の地位を誇示する、または地位を高めようと挑戦してくる、そうした犬の問題行動を、アルファシンドローム(日本語訳は権勢症候群)と呼ぶ。
この考え方は90年代に日本に輸入され、行動学をベースにした、当時は科学的で正しいものと理解されていました。
私は、94年、家庭犬のしつけについて元全米ドッグトレーナー協会会長のテリーライアンから、このアルファシンドロームを学びました。
しかし、「犬はオオカミと同じ」をはじめとした、そのベースにしていた認識(=パック理論)の多くが疑わしいとされ、前提が疑わしいのであるから、そこから導き出されているアルファシンドロームや権勢症候群も疑わしいとする考えに、私は2000年に出会います。行動学者のルーサーの問題行動のセミナーでした。
おっしゃるようにイアンダンバーも、コッピンジャーも、ジーンドナルドソンも、著名かつ先進的な行動学者、ドッグトレーナーたちの多くは、このアルファシンドロームに今や否定的です。もちろん、テリーライアンも。
私も10年近いインストラクター経験から、アルファシンドロームには否定的です。
未だにアルファシンドロームを持ち出すトレーナーが存在するのであれば、イアンダンバー、コッピンジャー、ジーンドナルドソンなどの著書を読んだりセミナーに参加なされたことがない方かと思います。
補足
アルファシンドロームは、シンドロームと言っても病気でも何ではありません。そんな病名はありませんので、くれぐれもお間違いのないように。
ちなみにアルファシンドロームは人間が定義したものです。
名付けたのは誰だかわかりませんが、おそらく行動学者やトレーナーでしょう。
行動学から導き出されています。
その定義をした行動学者やトレーナーたち自身が、その定義に疑問を持ったり、もはや否定しているということですから、アルファシンドロームの症状の犬を直したという人がいれば、定義とは何かという国語力に欠けているともはや言わざるをえませんね。
あ、それとジーンドナルドソン、テリーライアンは学者ではありません。著名なドッグトレーナーです。
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アルファシンドロームは正しい? お答え
私もアルファシンドロームは否定的です。
最近のしつけ方の本・雑誌頭はほとんどのトレーナーが否定しています。何年も前からイアンダンバーや、テリーライアンも否定しています。
私は、多くの飼い主様に各方面で古い考えであることを伝えています。間違って伝えることによって恐がりのわんちゃんであればさらに恐い状況に、窮地に追い込むことになってしまうこともあり得るからです。
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言葉の定義より犬を見る
「α-シンドローム」という言葉はまだまだ犬の飼育本やネット上にも溢れかえっていますね。一方でこれを否定する意見があれば混乱するのは当然かもしれません。
私自身は飼い主さんとお話する時にあまり専門用語は使いませんが、「犬に主導権を握られないように」という趣旨のアドバイスは多いです。
犬が「α-シンドローム」であるかどうかは問題ではなく、その犬の問題行動の原因がどこにあるのかを探し出すことが大切だと考えます。
ペット後進国と言われる日本で「褒めるしつけ」はだいぶ浸透してきました。しかしながら、未だに体罰によって犬を訓練しているプロは山ほどいます。
犬の行動心理学は今も多くの学者に研究されていますし、これからも新しい定義が生まれることと思います。
大切なのは、ひとつの情報を鵜呑みにすることなく、さまざまな考えに耳を傾け、しっかりと自分と自分の犬を客観的に見つめ、自分達に合うと信じるトレーニング法に自信を持って取り組むことだと思います。
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事件は現場で起こっている
なんでも、犬のせいにしたがる。
病名として存在しないのは、そんな理由からではないでしょうか?
我々人間は、自分を肯定したいもの。
その時に、しゃべらない犬のせいにしてしまうことは簡単です。
αシンドロームとは如何なるものか?という論議よりも
まずは、飼い主が自分を見つめ直してみる勇気を持つことの方が
大事だと思います。
学術的なものも大事。
でも現場はもっと大事。
できれば、双方抑えたいものです。
いづれにしても、現場を観ていない学者さんの考えについて論議を交わすよりも、現場をみて相談にのってくれる身近な専門家を探してみて欲しいと思います。Pro File の専門家の方々でしたら、みなさん、適切なアドバイスを下さるはずですよ。
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完全否定はしていません
人と共に暮らす犬にとっては、その家族が犬社会の群れであり、自然に順位も出来上がります。
犬によっては性格がきつい子もいますので、それに拍車をかけて家族の誰もがリーダー性を持っていないと、バランスが崩れるために『アルファ』がおきていると考えます。
完全否定はしませんが、どうしてもその現場でのカウンセリングでは、たいていが状況に当てはまってしまいますので、私は『アルファ』が存在すると思います。
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