◇WBO世界バンタム級
亀田3兄弟の末弟で、WBO世界バンタム級5位の亀田和毅(22)=亀田=がWBO同級王者パウルス・アンブンダ(32)=ナミビア=に3−0の判定勝ちを収め、新王者に就いた。採点は118−110、116−112、117−111だった。長男・興毅、次男・大毅に続いて、和毅が世界王者になったことで、世界初の3兄弟世界王者が誕生した。和毅は、日本ボクシングコミッション(JBC)が4月に承認、加盟したWBOの日本人初の世界王者となった。
亀田家の夢がついに実現した。勝ち名乗りを受けた“亀田家の最終兵器”は、父と兄の肩に担ぎ上げられると、涙の雄たけびを上げ、喜びを爆発させた。
無敗の王者の看板はダテではなく、力強いプレッシャーに和毅は攻めあぐねたが、足を使って手数を出し続け、6回は左フック、12回には右ストレートでダウン寸前に追い込むなど優位に試合を進め、最大8ポイント差で押し切った。
控室では「めっちゃうれしい。ちっちゃい時からの夢やったから。今までの涙とは違う」と感無量。長男・興毅は「ようやったね。和毅はオレらと違って苦労してるし、光が当たることがなかったから。これからは和毅の時代やけど、とりあえず、今はゆっくり休んでと言いたいね」とねぎらった。
2人の兄とは違う道を歩んだ和毅。奇抜な髪形が資格に抵触する可能性があるとの指摘を受け、日本でのアマチュアデビューを断念。憤慨した父の史郎さんにメキシコ行きを命じられ、同地で活動することとなった。日本とは勝手の違う異国。リングに上がればブーイングどころか物まで飛ぶ。毎夜のようにこだまする銃声におびえながらも、厳しい環境をたくましく生き抜き、結果を出し続け、チャンスを待った。「行った時は帰りたいとばかり思ってたけど、やり続けられたから今がある。これも行けと言った親のおかげ」と、今では史郎さんに感謝する。
「オヤジの夢もギネス記録も達成できて、ここからがオレのスタート」と、気持ちを引き締めた和毅。9月3日に世界戦に挑む次男・大毅に、3兄弟同時世界王者の夢を乗せたバトンをつないだ。
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