8月1日の海外株式・債券・為替・商品市場
(ブルームバーグ):欧米市場の株式、債券、為替、商品相場は次の通り。
◎NY外為:ドル上昇、99円台半ば-米指標好調で緩和縮小観測
ニューヨーク外国為替市場ではドルが主要16通貨全てに対して上昇。新規失業保険申請件数が5年ぶりの水準に減少したため、米金融当局が年内に月間の資産購入のペースを減速させるとの見方が強まり、ドル買いが入った。
前日に対ドルで6週間ぶり高値を付けたユーロは下落。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は当局が予見可能な将来において低金利を維持する方針であることを重ねて表明した。米雇用統計の発表を2日に控え、ドルは対円で上昇した。ブルームバーグが実施した調査によると、7月の非農業部門雇用者数は18万5000人増と予想されている。
ファロス・トレーディング(コネティカット州スタンフォード)の調査責任者、ダン・ドロー氏は「この日の米経済指標は非常に強く、非農業部門雇用者数が強い内容になることを示している。金融当局が近く緩和策を縮小するとの見通しを裏付けるものだ」と語った。
ニューヨーク時間午後5時現在、ドルは対ユーロで0.7%上げて1ユーロ=1.3210ドル。一時は0.8%上昇し、7月9日以来の大幅高となった。対円では1.7%高い1ドル=99円48銭。4月8日以来の大幅高となった。円は対ユーロで1%安の1ユーロ=131円46銭。
主要10通貨に対するブルームバーグ米ドル指数は0.9%上昇して1034.46。前月は1.4%低下した。
ポンドポンドは対ユーロで3月以来の安値水準から戻した。イングランド銀行(英中央銀行)が1日の金融政策委員会(MPC)で、資産買い取りプログラムの規模を維持したことが買いを誘った。
ポンドは対ユーロで0.1%高の1ユーロ=87.35ペンス。一時は87.70ペンスと、3月12日以来の安値を付ける場面もあった。ポンドは対ドルでは0.6%下落。
ドラギECB総裁は記者会見で、「ユーロ圏の経済見通しをめぐるリスクは引き続き下向きだ」と発言。「今後、金融政策の姿勢は必要な限り緩和的なものにとどまるだろう」と話した。
先進10カ国の通貨で構成されるブルームバーグ相関加重通貨指数によると、ユーロは過去3カ月に4.3%高と、上昇率首位。ユーロ圏が過去最長のリセッション(景気後退)から抜け出しつつある兆候が背景にある。円は1.2%高、ドルは3.1%上昇。
ウェスタン・ユニオン・ビジネス・ソリューションズのシニア市場アナリスト、ラビ・バラドワジ氏(ワシントン在勤)は電話インタビューで、「ユーロ圏の経済成長をめぐり、金融市場の失望は高まっている。それがユーロを圧迫している」と指摘した。
ドル上昇ドルは対円でほぼ4週間ぶりの大幅高。新規失業保険申請件数 (季節調整済み)は、前週比1万9000件減少の32万6000件。これは2008年1月以来で最低だった。
バラドワジ氏は「米国の雇用関連指標は予想より明るい内容で、ドル高につながった」と述べた。「2日の経済指標がどのような形であれ、上振れすれば、ドルにとって大きなプラス材料となり、年内の金融緩和縮小の可能性を高めるだろう」と続けた。
米供給管理協会(ISM )が発表した7月の製造業総合景況指数を受け、ドルは上げ幅を拡大した。同指数は55.4と、前月の50.9から上昇。2011年6月以来の高水準となった。
原題:Dollar Advances as Jobless Report SpursFed TaperExpectations(抜粋)
◎米国株:上昇、S&P500種は初の1700台-緩和継続と経済統計で
米株式相場は上昇。S&P500種 株価指数は初めて1700を超えた。米連邦公開市場委員会(FOMC)が前日の声明で緩和策を維持する方針を示したのに続き、欧州中央銀行(ECB)もこの日、政策金利を過去最低水準で据え置いた。製造業活動の拡大を示すデータも追い風になった。
S&P500種の業種別10指数はすべてが上昇。米生保最大手のメットライフと消費財のプロクター&ギャンブル(P&G)はいずれもアナリスト予想を上回る決算を材料に上昇。アニメーション映画のドリームワークス・アニメーションSKGは大幅増益で買われた。一方、利益が予想を大きく下回ったエクソンモービルは値下がりした。
S&P500種 株価指数は前日比1.3%高の1706.87。ダウ工業株30種平均は128.48ドル(0.8%)高い15628.02ドル。
フェデレーテッド・インベスターズのチーフ株式ストラテジスト、フィリップ・オーランド氏(ニューヨーク在勤)は電話取材に対し、「世界中で中央銀行は緩和姿勢を維持している。誰も中央銀行と争いたくはない」と述べた。「経済という観点に立てばあらゆるデータが景気の継続的な回復、労働市場の改善、予想を上回る企業利益を示している。相場は上昇を続けるはずだ」と続けた。
FOMCとECBFOMCは前日、毎月850億ドルの債券購入を継続していく方針を維持した。継続的な低インフレが景気拡大の妨げになる可能性も指摘した。同日発表された4-6月(第2四半期)の米国内総生産(GDP)速報値は予想を上回る伸びだった。ECBのドラギ総裁はこの日、ユーロ圏経済が最悪期を脱したと示唆した上で、予見可能な将来において金利を維持する方針を強調した。
ハンティントン・アセット・マネジメント(オハイオ州コロンバス)のランディ・ベイトマン最高投資責任者(CIO)は電話取材に対し、「相場が大台に乗せると人々の関心が集まる」と指摘。「様子をうかがっていた大量の資金がこれから流入してくるかもしれない。強気な状況だ」と述べた。
米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景況指数は前月から上昇し、約2年ぶりの高水準となった。中国や欧州でも予想を上回る製造業の拡大が示された。
米労働省が発表した先週の新規失業保険申請 件数(季節調整済み)は、前週比1万9000件減少の32万6000件。これは2008年1月以来で最低だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は34万5000件だった。
非農業部門雇用者数米労働省は2日に7月雇用統計を発表する。ブルームバーグが80人以上のエコノミストを対象にまとめた調査によると、非農業部門雇用者数は18万5000人の増加、失業率は7.5%への低下が予想されている。
この日の相場上昇は景気の変動に敏感な銘柄が率いた。モルガン・スタンレー・シクリカル指数は1.8%上昇。ダウ輸送株平均株価は3.2%上げた。
KBW銀行株指数は1.9%上昇し、構成24銘柄すべてが値上がり。アメリカン・エキスプレスは2.5%高。バンク・オブ・アメリカは2.4%上昇。
メットライフは6.3%急伸。一部の投資業績を除いたベースでの1株利益はブルームバーグがまとめた予想を上回った。
P&Gは1.7%高。利益がアナリスト予想を上回った。2カ月前に最高経営責任者(CEO)に復帰したA・G・ラフリー氏の業績てこ入れが奏功した。
ドリームワークスは8.8%の大幅高。映画「ザ・クルッズ」のヒットが寄与し、75%の増益となった。
エクソンは1.1%の下げ。製油事業の利益率落ち込みが響き、1株当たり利益はアナリスト予想を18%下回った。
原題:S&P 500 Climbs Above 1,700 on StimulusBets, EconomicReports(抜粋)
◎米国債:30年債利回りが2年ぶり高水準、統計受け緩和縮小観測
1日の米国債は下落。30年債利回りは2年ぶりの高水準に上昇した。新規失業保険申請件数が減少、米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景況指数は2カ月連続上昇となり、金融緩和策の縮小を後押しする材料になるとの見方が広がった。
米連邦公開市場委員会(FOMC)が前日の声明で「経済活動は今年上期に緩慢なペースで拡大したことが示唆された」と指摘し、月間850億ドルの債券購入を維持する姿勢を示したが、投資家は経済成長のペース加速を見込んでいる。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想中央値によると、先月の米失業率は低下が見込まれている。
クレディ・スイス・グループの金利ストラテジスト、アイラ・ジャージー氏は「統計内容は非常に素晴らしい。米金融当局が資産購入の縮小を開始できるようなペースで成長する可能性を示唆している」と述べ、「2日発表の雇用統計が予想以上に良好な結果になるとの楽観がある。投資家は米国債に対し、ロングポジションよりはむしろショートポジションを取るだろう」と続けた。
ブルームバーグ・ボンド・トレーダーによれば、ニューヨーク時間午後5時現在、10年債利回り は前日比13ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇の2.71%。同年債(表面利回り1.75%、償還2023年5月)価格は1 2/32安の91 26/32。30年債利回りは12bp上げて3.75%と、2011年8月以来の高水準をつけた。2年債と30年債の利回り差 は343bpに拡大した。
ブルームバーグ米国債指数 によると、7月の米国債リターンは3カ月連続でマイナスとなった。
新規失業保険申請件数FOMCは前日の声明で「インフレ率が長期にわたり目標の2%を下回れば経済にリスクとなり得ると認識しているが、中期的に目標水準に戻っていくとみている」と記述した。
米労働省が発表した先週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は、前週比1万9000件減少の32万6000件。これは2008年1月以来で最低だった。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト予想の中央値は34万5000件だった。
ノバスコシア銀行の米国債トレーディング責任者、チャールズ・コミスキー氏(ニューヨーク在勤)は「失業保険申請件数からは雇用の見通しが改善しつつあることがうかがえる」と述べ、「7月の雇用統計が非常に重要となる」と続けた。
7月のISM製造業総合景況指数は55.4と、前月の50.9から上昇した。これは2011年6月以来の高い水準。ブルームバーグがまとめたエコノミスト予想の中央値は52。同指数で50は活動の拡大と縮小の境目を示す。
米雇用統計予想2日に発表される7月米雇用統計では18万5000人の雇用増と、失業率の7.5%への低下(前月7.6%)が見込まれている。
CIBCワールド・マーケッツのマネジングディレクター兼米国債トレーディング責任者、トム・トゥッチ氏(ニューヨーク在勤)は「これまでにも良好な統計が発表されている。景気の強さを示す統計が発表されるたびに当局による緩和策の縮小が近づく」と述べた。
米政府債のディーラー間ブローカーで最大のICAPによると、米国債の出来高は3753億ドル。7月の1日当たりの出来高は平均で2778億ドル、6月は同4462億ドルだった。
メリルリンチ・オプション・ボラティリティ・エスティメート(MOVE )指数は91.40bpに上昇した。これは7月12日以来の高水準。
原題:U.S. 30-Year Yield Reaches 2-Year High asReports Back FedTaper(抜粋)
◎NY金:3日続落、代替投資の買い後退-好調な経済統計でドル上昇
ニューヨーク金先物相場は3日続落。予想を上回る米経済指標を受けてドルが上昇したことを背景に、代替投資として金買いが後退した。
ドルは主要16通貨すべてに対して上昇。先週の週間失業保険申請件数は前週比で減少し、約5年ぶりの低い水準となったほか、7月のISM製造業景況指数は約2年ぶりの高水準となったことで、金融当局が年内に資産購入のペースを減速するとの観測が強まった。
ロジック・アドバイザーズのパートナー、ビル・オニール氏は電話インタビューで、「きょうの経済指標はどれも予想より好調だった」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)COMEX部門の金先物12月限は前日比0.1%安の1オンス=1311.20ドルで終了した。3日続落は6月下旬以来の最長。
原題:Gold Futures Decline for Third StraightDay on StrongerDollar(抜粋)
◎NY原油:大幅続伸、製造業統計を好感-リビア輸出に不安
ニューヨーク原油相場は続伸。約3週間ぶりの大幅高となった。米国と中国で製造業の景況改善が示されたことが好感された。またリビアの原油積み出しターミナルが労働争議の影響で閉鎖されたことも買いを誘った。
米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業景況指数は前月から上昇し、約2年ぶりの高水準となった。中国の製造業活動を示す購買担当者指数(PMI)は市場予想に反して上昇。リビアのアルシ石油相は前日の時点で、一港を除いてすべての港が操業不能になったと発表し、原油の輸出能力は80%近く低下するだろうと述べていた。
ソシエテ・ジェネラル(ニューヨーク)の石油市場調査グローバル責任者、マイク・ウィットナー氏は「原油に関して言えば、マクロ経済ニュースは明るい内容だ」と指摘。「リビアからの輸出が一時的に減少すれば、ブレント価格を押し上げるのは間違いない。ひいてはウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)を含め石油全般を支えるだろう」と述べた。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物9月限は前日比2.86ドル(2.72%)高の1バレル=107.89ドルで終了した。値上がり率は7月10日以来で最大。終値としては7月19日以来の高値。
原題:Crude Surges the Most in More Than ThreeWeeks onManufacturing(抜粋)
◎欧州株:9週ぶり高値、好決算で銀行株が高い-中国製造業も追い風
1日の欧州株式 相場は上昇し、指標のストックス欧州600指数は9週間ぶり高値を付けた。ソシエテ・ジェネラルやロイズ・バンキング・グループの予想を上回った利益を好感し、銀行株が高い。中国政府が発表した7月の製造業購買担当者指数が生産活動の拡大を示し、鉱山株も値上がりした。
フランスのソシエテ・ジェネラルは1年半ぶりの大幅上昇。英ロイズは2010年10月以来の高値となった。上期(1-6月)決算が黒字に改善した同行は、配当再開で当局との協議を開始する方針を示した。英豪系鉱山会社のリオ・ティントとBHPビリトンもそれぞれ買われた。
一方、仏製薬会社サノフィは4.1%安。通期利益見通しの下方修正が嫌気された。英蘭系石油会社ロイヤル・ダッチ・シェルは11年8月以降で最もきつい値下がり。四半期利益が予想に反して減少した。
ストックス欧州600指数 は前日比1.2%高の303.29で終了。5月30日以来の高値引けとなった。構成銘柄の株価収益率(PER)は13.7倍と、09年以来の高水準。
ライファイゼン・キャピタル・マネジメント(ウィーン)の株式部門責任者、ヘルベルト・ペルス氏は電話インタビューで、「欧州株には引き続き強気で、株価は過小評価されていると思う」と述べ、「銀行決算が良かった一方、シェルは大きく外れた。だが、全般的に四半期決算はこれまでのところ順調だ。中国製造業の指標も支援材料だった」と続けた。
この日の西欧市場では、取引が行われた17カ国全てで主要株価指数が上昇。スイス市場は祝日のため休場だった。
原題:Europe Stocks Rise to Nine-Week High onBank Results, China Data
◎欧州債:ドイツ2年債が上げ消す、ECB総裁発言で-英国債は続落
1日の欧州債市場では、ドイツ2年債相場が一時の上げを消した。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が政策発表後、最近の経済指標は域内経済が最悪期を脱したことを示唆していると発言したのが手掛かり。
ドイツ10年債も上げを消す展開となった。ドラギ総裁の発言でECBが借り入れコスト低下に向けて追加措置を講じるとの観測が後退した。ただ、総裁は長期にわたり低金利を継続するとあらためて表明した。各国の国債も上げを解消した。米新規失業保険申請件数の減少と製造業景況指数の上昇に伴い米国債が大幅下落したことが背景にある。一方、スペイン国債は上昇。この日の入札で目標上限を上回る国債を発行したことが買い材料。
クレディ・アグリコルCIB(ロンドン)の債券ストラテジスト、ピーター・チャトウェル氏は「今会合でフォワードガイダンス(時間軸政策)の効果が損なわれたことを主因に失望感が広がった。ECBが利下げについて協議しなかったためだ」とし、「フォワードガイダンスに関する一段の透明性、ないしは議事録の時期や発表方法に関する具体的な内容を市場は期待していた」と語った。
ロンドン時間午後5時現在、ドイツ2年債利回りは前日比ほぼ変わらずの0.15%。同国債(表面利率ゼロ%、2015年6月償還)価格は99.71。10年債 利回りはほぼ横ばいの1.67%。一時は8ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下した。
ECBは政策金利を過去最低の0.5%に据え置いた。ブルームバーグ・ニュースがまとめたエコノミスト調査では63人中62人が据え置きを予想していた。
スペイン国債の10年物利回りは3bp低下の4.62%、5年物利回りは4bp下げて3.28%となった。
英国債相場は続落。英国と米国の製造業指標がいずれも予想を上回ったことから、比較的安全とされる資産の需要が後退した。
英10年債利回りは3週間ぶりの高水準に接近。イングランド銀行(英中央銀行)の金融政策委員会(MPC)はこの日、資産買い取りプログラムの規模を維持することを決めた。
ロンドン時間午後4時50分現在、10年債利回りは4bp上昇の2.40%。7月25日には2.43%と、同月10日以来の高水準に達していた。同国債(表面利率1.75%、2022年9月償還)価格は0.34下げ94.705。
原題:German 2-Year Notes Erase Advance asDraghiDamps Rate-Cut Bets(抜粋)Gilts Fall Second Day as Manufacturing Expands,BOE Holds Rates(抜粋)
更新日時: 2013/08/02 07:00 JST