降圧剤データ:慈恵医大、元社員に丸投げ「大きな間違い」
毎日新聞 2013年07月30日 21時53分(最終更新 07月31日 07時35分)
府立医大の調査では、データとカルテを突き合わせ、他の薬を服用した患者に起きていない虚偽の脳卒中の記述があるなど、バルサルタンの効果を際立たせる大胆な不正操作があった。一方、慈恵医大ではこうした症例に食い違いは無かったが、結論を導く前提となる血圧値が操作されていた。科学的な再検証で「証拠」は見つかったが、誰がなぜ操作を行ったのか特定できないのは、誰かがうそをついているか、真実を知る人間が調査対象から漏れているからだ。
国は、新薬を承認するための治験と異なり、市販後の臨床試験が適正に行われているかをチェックする有効な手立てを講じてこなかった。このことが今回の疑惑を許した側面がある。厚生労働省は有識者検討会で調査を始める。国民が納得できる結論を導き出す責任がある。【八田浩輔】