UPDATE 1-ECB、金利据え置き フォワードガイダンスを再確認
* ECB、リファイナンス金利を0.5%に中銀預金金利をゼロに据え置き
* ドラギ総裁、フォワードガイダンスを再確認
* ECBの金融政策、2014年まで景気回復を支援=ドラギ総裁
* 議事録公開など一段の情報公開を検討 (内容を追加しました)
[フランクフルト 1日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は1日、主要政策金利であるリファイナンス金利を予想通り0.5%に据え置いた。また金利を当面、現在の水準またはそれより低い水準に据え置く方針をあらためて表明した。
下限金利の中銀預金金利も0.0%に、上限金利の限界貸出金利も1.0%にそれぞれ据え置いた。
ドラギ総裁は理事会後の会見で「われわれの金融政策スタンスが年内、および2014年に段階的な経済活動の回復を支援する」と述べた。
また「理事会は、ECBの主要政策金利が長期間にわたり現在の水準、もしくはそれを下回る水準にとどまると予想していることを確認した」と発言。前回打ち出したフォワードガイダンス(将来の金融政策指針)をあらためて表明した。
金融引き締めが行われるのは早くても来年に入ってしばらくしてからになると示唆したが、次回の政策金利変更時期については具体的な見通しを示さなかった。
総裁はフォワードガイダンスに関する決定が全会一致だったことも明らかにした。だが利下げを協議したかと問われると明確な回答は避け、「フォワードガイダンスについてしか協議しなかった。フォワードガイダンスを確認したことで、今回の金利に関する暗黙の決定が読み取れるはずだ。実際、フォワードガイダンスに関する決定は全会一致だった」と述べるにとどめた。
前回の理事会では利下げに関して「広範囲にわたる議論」を行ったとしていた。
ベレンバーグ銀行のエコノミスト、ホルガー・シュミディンク氏は、利下げに関する発言の変化に加え、年後半にかけ景気が上向くことを経済指標の改善が示しているとECBが見込んでいることは、利下げ観測を後退させる可能性があるという点で「ややタカ派的ととらえることができる」と述べた。
ユーロ圏ではこのところ経済指標が上向いている。7月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)は2年ぶりに景況の改善・悪化の節目となる50を上回ったほか、6月のユーロ圏失業者数は2011年4月以来初めて減少に転じた。
ただ、経済指標は改善しているものの、米連邦準備理事会(FRB)の資産買い入れ縮小動向に金融市場は神経をとがらせており、ECBは金融政策運営をめぐり難しい選択に迫られている。
<フォワードガイダンスに「明確な期限ない」>
前回の理事会開催時は、FRBが量的緩和縮小の方針を示唆したことで金融市場が激しく混乱しており、ECBは異例のフォワードガイダンスを導入し沈静化を図った経緯がある。
ただその後、ECB当局者がフォワードガイダンスをめぐりそれぞれの見解を表明。ECBの意図したメッセージは不明瞭になり、市場を完全に沈静化することはできなかった。
アスムセン専務理事はフォワードガイダンスについて「期間は12カ月を超える」と発言。一方、バイトマン独連銀総裁は、ECBはフォワードガイダンスに縛られていないとの考えを強調した。
これに対しドラギ総裁は会見で「正確な期限はない」と説明。「現在の金融市場の利上げ予測は、われわれの見解に照らし合わせれば正当化されない」と述べた。
また超低金利維持の目安としてFRBが採用している数値基準については、ECB内で議論はなかったとした。
<議事録公開、年内提案へ>
ドラギ総裁は自身が望んでいる理事会の議事録公開について、市場への一段の情報提供に関する提案を年内に行う意向を示した。政策決定の背景をより詳しく説明するなど「より豊かなコミュニケーション」が望ましいとしている。
ただ「われわれは一国の出身者で構成されている訳ではない」とも述べ、変更によってECBメンバーの独立性が脅かされないことが不可欠との考えを示した。
中銀の透明性向上をめぐっては、各国政府の圧力が増すなどとして一部当局者が懸念を示す可能性がある。
© Thomson Reuters 2013 All rights reserved.
ドリンク剤依存か決別か
バーナンキ米FRB議長は来年1月の任期満了前にQE縮小・停止への道筋をつけたいのではないかと加藤元財務官は指摘。
記事の全文 | 特集ページ