UPDATE 2-ECB理事会後のドラギ総裁の発言要旨
(内容を追加しました)
[フランクフルト 1日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は1日、主要政策金利であるリファイナンス金利を0.5%に据え置いた。
下限金利の中銀預金金利も0.0%に、上限金利の限界貸出金利も1.0%にそれぞれ据え置いた。
理事会後に開かれた記者会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。
<政策金利の据え置きは全会一致の決定だったのかとの質問に対し>
われわれはフォワードガイダンスのみを協議した。フォワードガイダンスに関する確認は、間接的にきょうの金利に関する決定も意味する。ガイダンスの決定は全会一致だった。
<OMTで稼いだ時間を政府は有効に使ったかとの質問に対し>
一部の国は間違いなく有効に使った。著しい進展を遂げた国もあれば、それほどではない国もある。
ただ、ECBの措置を考慮に入れないとして政策実施に焦点を当てた場合、全体的に1年前からの前進は著しいと思う。財政再建の面では明らかに著しい前進が見られた。構造改革に関しては(進展は)まちまちだが、全体としてあらゆる角度から見て状況は1年前より良好に見える。
<OMT>
新たな債券買い入れプログラム(OMT)はユーロ圏の全般的なリスクを後退させ、ECBバランスシートの規模縮小やリスクプレミアムの著しい低下が見られた。これらは、刺激策を最終的に実体経済に波及させる2つの経路、つまり金利と信頼感という経路を再び有効にするために基本的に必要だった。
こうした信頼感と金利の著しい改善が経済に波及しつつあることを示す最初の兆候が表れつつある可能性がある。ただ、これまでに述べたように、これらは一時的な兆候だ。
<フォワードガイダンス終了の見極めに関する質問に対し>
ECBは(フォワードガイダンス変更の)シグナルを発するさまざまな方法を有する。(景気に関する声明の文言)を注視すべきだ。期間や、フォワードガイダンスの文言がどのように変化するなどについて判断するすべての材料を(あなた方は)持ち合わせているはずだ。
<フォワードガイダンスが毎月修正されるかとの質問に対し>
仮にECBが毎月フォワードガイダンスを変更すれば、それは長期的な見通しではなく、単月の見通しと受け止められることになりかねず、理事会はそれを望んでいない。
<デフレ>
ユーロ圏のいずれの国でもデフレは見られない。多様な要因による物価下落が様々なセクターで見られる。現時点で基本的にデフレはどの国においても見受けられない。
<理事会の議事録公表に関する提案について>
ECB理事会は、コミュニケーションの向上が賢明と考えている。われわれは一国の中銀ではない。そのため、加盟国の独立性がECBの政策変更によってリスクにさらされないようにするうえで、コミュニケーションの向上はなおさら重要となる。
役員会は今秋、議事録公表に関する提案を理事会に行う見通しだ。
<正確な時間枠はない>
(フォワードガイダンスは)予想以上の意味を持つ。(声明では)われわれ政策当局者は、ECBの主要政策金利が現行水準またはより低い水準で長期にわかって据え置かれると予想する(とした)。(フォワードガイダンスは)非常に特定の政策当局者による見通しだ。
「長期間」という時間枠に具体的な期限はないことを強調したい。
<十分な流動性>
流動性が潤沢であり続けると再度強調させて欲しい。
銀行各行への固定金利での完全なアクセスが保障される限り、流動性は必要な限り潤沢に維持される。全額供給は少なくとも2014年7月まで続く。ただ、この日付とフォワードガイダンスで示す期間に関連はない。
<利上げ観測は正当化されない>
われわれの判断では、短期金融市場で現在浮上している利上げ観測は正当化されない。
現在の経済指標はわれわれの基本シナリオを裏付ける内容であり、リスクは下向きだ。したがって、ECBがガイダンスを修正するためには、物価安定見通しに関する基本シナリオを大幅に上回る証拠が必要になる。
<構造改革>
競争力を下支えするため、政府は必要な構造改革の実施を強化する必要がある。
若年層をはじめとする高失業率の問題を打開するためには構造改革が不可欠だ。
<前回理事会で示したフォワードガイダンスを確認>
ECBの金融政策スタンスは必要な限り、緩和的であり続ける。理事会は、前回の理事会で示したフォワードガイダンスを全会一致で確認した。
ガイダンスの変更には、状況が現在の基本シナリオから著しく改善することが必要となる。
<赤字削減>
ユーロ圏諸国は財政赤字削減への取り組みを緩めるべきではない。
<ユーロ圏経済>
労働市場は依然低迷している。年内と2014年に関しては、ユーロ圏の成長は、世界の需要の緩やかな回復から恩恵を受けるだろう。
総じて、ユーロ圏の経済活動は安定化し、緩慢なペースでの回復を続けるだろう。ユーロ圏景気見通しをめぐるリスクは引き続き下向きだ。世界や金融市場における最近の動向、およびそれに関連する不透明性は、経済状況にマイナスの影響を及ぼす可能性がある。
また、内・外需が予想より軟調となる可能性や、ユーロ圏諸国における不十分な構造改革の実施なども下方リスクだ。
同時に、最近の信頼感指標は低水準から大きく改善し、経済活動が安定に向かうとの期待を、完全な形ではないにせよ確認する格好となっている。つまり、(成長に関して)見受けられる兆候は、ECBスタッフの分析に基づく年後半の基本シナリオを裏付けているとみられる。
<金利は低水準に維持される>
ECBの主要金利が長期間にわたり、現在の水準、もしくはこれを下回る水準に維持されるとの見通しを理事会は確認する。
<物価圧力>
ユーロ圏における中期的な基調物価圧力は引き続き抑制されることが見込まれる。
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