WRAPUP1 -世界の7月製造業指標、米欧が好調 中国安定化
* 米ISM製造業部門景気指数、2年ぶり高水準
* ユーロ圏製造業PMI、2年ぶりに節目の50上回る
* 英製造業PMIは大幅上昇
* 中国の製造業PMI、安定化の兆し
[ニューヨーク/ロンドン 1日 ロイター] - 1日に発表された世界各国地域の7月の製造業関連指標は、米国が2年ぶり高水準となり、ユーロ圏は2年ぶりに節目の50を上回った。
英国も大幅に改善し、中国では景気減速が落ち着きつつある可能性を示唆する内容となった。
各国当局者にとっては心強い結果となったが、早急な金融引き締めにつながる公算は小さい。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁はこの日、政策金利が長期にわたり現在の低水準、あるいはより低い水準にとどまるとの見方を強調。前日には米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長も、米経済は回復しつつあるが、依然として下支えが必要との認識を示した。
ジェフリーズの短期金融市場担当エコノミスト、トーマス・サイモンズ氏は「各国中銀は全般的に依然として非常に緩和的な方向に傾いており、今回の指標でそれが変わることは懸念していない」と語った。
米供給管理協会(ISM)が発表した7月の製造業部門景気指数は55.4と、前月の50.9から上昇し、2011年6月以来2年ぶりの高水準となった。新規受注の伸びが寄与し、アナリスト予想の52.0も上回った。
また、マークイットが発表した7月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は53.7と、速報値の53.2、前月の51.9をともに上回り、4カ月ぶりの高水準となった。
ディシジョン・エコノミクスのシニア・グローバル・エコノミスト、ピエール・エリス氏は「明らかに良いニュースだ。受注が回復している。世界的な改善という文脈の中で起きているとすれば、好ましいことだ」と述べた。
マークイットが発表した7月のユーロ圏製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は50.3と、6月の48.8から上昇し、景況の改善・悪化の節目となる50を2年ぶりに上回った。
ドイツやイタリア、オランダ、アイルランド、フランス、オーストリアで製造業生産が拡大し、スペインやギリシャなどで低迷に歯止めがかかりつつある兆候も見られた。
7月24日に発表された7月のユーロ圏総合PMI速報値も前月の48.7から50.4に上昇し、1年半ぶりの高水準となっていた。
英国の製造業PMI改定値は54.6に大きく上昇し、最も楽観的なエコノミスト予想も上回った。
中国では、民間中小企業の割合が高いHSBC発表の7月製造業PMI改定値が速報値と同じ47.7で11カ月ぶり低水準となり、製造業の低迷が第3・四半期も続いていることが示された。ただ、大企業の動向を示す国家統計局の製造業PMIは50.3と、前月の50.1から上昇し、予想の49.9も上回った。
このほか、インド、韓国、台湾の7月の製造業PMIは生産と新規受注が低下。インドネシアでは生産と新規受注は前月からほぼ横ばいだった。
全体として、7月の各国製造業PMIは、世界経済の一時的な停滞が深刻化するとの懸念を和らげる結果となった。
キャピタル・エコノミクスのシニア・グローバル・エコノミスト、アンドリュー・ケニンガム氏は「地域によって異なる傾向が見られるが、おおむね互いに相殺しあっている」と指摘した。
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