企業組織の一員に終止符
サタデースペシャル編集長は基本的に順風満帆で、その後、ニュース面とは性格を異にする企画面のデスクに就き、やがてサタデースペシャル時代に培った裏原感覚を活かす新興勢力・個性派勢力の動きをくくる面のデスクを勤めて私の新聞記者時代は終わる。その後、再び人生を変える決断をするきっかけになった業務局での仕事を2年弱経験して、私のサラリーマン生活に終止符を打った。企業組織の一員としての私の人生はこれで全てだ。
このシリーズを始めたのが10年2月18日からでした。そもそも08年12月から木曜日更新で私は延々と「和」を掲げて書いてきたものです。書いている本人が、よくも飽きもせずと思ったし、おなじような話をしょーもないとも思って綴ってきてしまったほどです。私のサラリーマン生活を綴るのがメインになってしまって、本当にきものや和を学ぼうと思って読んでくださった方には、申し訳ない思いでいっぱいです。
いずれ私が継承しなければならない和やきものの知恵をまとめる機会も作りたいとは願っているのですが、今日で一旦終了とさせていただきます。ご愛読を続けてくださった奇特な方がいらしたら心から感謝。私の人生がまた、明日からガラリと変わってしまうもので・・・・。
本日、卒業致します
このシリーズ終盤にはお気楽・不真面目サラリーマンの私でさえ、気がふさぐ毎日を送る経験をしたことをズルズル書かせていただきました。それは特殊な例ではないはずです。
これから働く若い方々にも教訓となるように書けたかどうか分かりませんでしたが、私が過ごした企業はもちろん、日本国中の大半の企業が当時より良くない雰囲気になっていると思うのです。繊研新聞のコンペティターだった業界紙もずいぶん舞台から降りていきました。中小零細に止まらざるをえない業界紙はもとより、新聞はじめマスコミそのものが存立基盤を疑いなおさなければならない局面を迎え、昔の仲間・同士が苦しむ様をたっぷり見聞きしてきましたから、つい昔語りをしたくなってしまったのです。
何とか明るい結末でとりあえず終了できましたが、このシリーズを終えた後のサラリーマン生活でもウツ病に陥る体験をしています。
今日の不満を抱き、明日の不安に震え、将来の恐怖に慄き・・・、でも未来に何が起こるかわからないからこそ人生は面白いしやりがいがあると今の私は言い切りたいし、次の世代に呼びかけたいのです。そのあたりの経験も整理してみたいですし、バブル崩壊後の働く条件を、働く立場で冷静に総括する必要も抱いています。
企業組織の一員としては6年前に卒業したので会社員の身分は無くなりましたが、大組織と契約し、仕事の大半は企業組織と折り合いをつけつつ仕事をしてきたわけで半分サラリーマンでした。本日はその完全卒業の日。明日からは本当の一匹狼として多数の企業組織の方々と接していくことになるはずです。新しい立場は新しい物語を生み出すに違いありません。
しばらくは新しい環境条件に慣れるために不定期になるでしょうが、気持ちが整ってきましたら、装いを整えて再開いたします。それまで今しばらくの時間の猶予をいただきたくお願い致します。(このシリーズ了)
(繊研新聞で育ったことは感謝の言葉だけでは言い尽くせない。繊研新聞の誇るべき精神は「目・手・耳」。業界の目となろう、手となろう、耳となろうだ。そして購読収入と広告収入を常にフィフティフィフティに保っていることも私はプライドを持っていいことだと思っている。「広告を取れない」力足らずではあるのかもしれないが、偏った広告主におもねらずに主張、報道ができるということだ。現下、喫緊の課題では巨額な宣伝料や研究費を注ぎ込んでいる電力会社とマスコミ・教育機関の力関係で浮かび上がりつつある問題点もあるわけだから。ファッションの一般誌と話していると収入構造は彼らの方がギョーカイ紙ではないか!といつも叫んでいたものだ。企業体としては「金持ち」を実感できなくとも、現場はいつも心豊かに働き続けて欲しいと願っている。愛すればこその憎しみも抱くのが凡人ゆえ、このシリーズでも繊研の評価を貶めるような文章を綴ったと受け止めた方がいらしたら陳謝して、このシリーズを閉じさせていただきます)